2話- 高性能なロボット -
お父さんは自慢げにロボットを指さすと私の方を見てにっこりと笑った。
「このFTR-2612がいれば安心だろ?」
「いや…ちょっと急すぎてまだ整理が……、」
「このFTR-2612は最新機種でな、楓の毎日の行動から現在地まで全部父さんに送ってくれるんだ!」
「……はぁ!?」
「あ、もちろん今のはそういう機能がついてるっていう説明で本当に全部把握しようとはしてないからな!安心してくれ」
私があまりに嫌そうな顔をしてたのかお父さんは慌てた様子で弁明してるけどそれがなんだか逆に怪しい。確かに凄い機能かもしれないけどそんなの監視されてるみたいでちょっと息が詰まる。それに私だってこの春から大学生だし親に言えないことの一つや二つくらい経験するかもしれない。それをロボットにバラされたら、なんて考えると恐ろしささえ感じる。
「その、本当に違うんだ!父さんは楓のことが心配で…ほら、病気とかになった時ひとりだと困るだろ!?だからな、そういう時だけ父さんに連絡が来るようには設定するけど、監視するみたいな使い方はしないから!」
「…わかった、それならいいよ」
私の言葉を聞くなり嬉しそうにスマホを取り出しロボットとなにやら話してる。さっき言ってた体調が良くない時に連絡するように設定をしてるんだろうけど、ああやって話すだけで設定できるなんて本当に高性能なんだなぁ…
「FTR-2612は、楓の生活をきっと支えてくれるから家族の一員だと思って大事にしてやってくれ!」
「それは…わかったけど……、いつまでFTR-2612って呼ぶの?」
はっとした顔をしてお父さんはゆっくりとロボットを見つめる。かと思えばがしがしと髪をかき小さな声で言葉を発した。
「…父さんな……壊滅的に名付けのセンスがないんだ。」
「……え?」
「楓の名前は母さんがつけたんだ。父さんが考えた名前は全部だめだって怒られちゃって……、」
照れたように笑うお父さんを見ながら随分昔にお母さんが“あの人プロポーズのセンスはあったけど名付けのセンスはどこかに忘れてきちゃってるのよ”と笑いながら言っていたのを思いだした。
ソレはロボットらしい √29 @ruuut29
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