ソレはロボットらしい
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1話- FTR-2612 -
「今日から新しく家族の一員になるロボットのFTR-2612だ!」
どうだと言わんばかりに自信満々な表情をしたお父さんの横にソレは当たり前のように鎮座していた。
FTR-2612と呼ばれたソレはどこからどうみてもいわゆるイケメンと呼ばれるにふさわしい顔立ちをしている。白く透明感がある肌、さらさらの黒い短髪、ぱっちりとした二重。
これは芸能人も目じゃないな、さすがは作られたロボットなだけある。と少し感心する気持ちも浮かぶが、それよりも強く疑問が沸き立った。
これは本当にロボットなの?
***
「楓、父さんはなやっぱりお前が一人暮らしすることは反対なんだ」
何度も何度も聞いたこのセリフ。またその話か、なんて肩を落としてみてもお父さんはちっとも気付かない。
「…わかってるよ、お父さんが心配してくれてるのは」
でも、と続けかけた言葉はお父さんの大きな声でかき消された。
「ちょっ…お父さん?急に大きい声出してどうしたの……?」
「父さんな、いいこと思いついた!楓はそのままちょっとまっててくれ!」
あっという間にぽつんと置き去りにされてなんだか手持ち無沙汰だ。相変わらずお父さんはそそっかしいなぁ、なんて考えながらお父さんに話しかけられて中断した荷造りの続きを再開した。新しい部屋はそんなに広くないから持っていくもの、きちんと考えて選ばなきゃ。
ああ、でも。
「お母さんが買ってくれたテディベアは、持っていこうかな。」
ふわふわの毛並みは少し色があせてしまったけど、それでも大切なものには変わりない。潰れてしまわないようにそっとダンボールに入れているとガチャリと扉が開く音がした。
「お帰りなさ……」
お父さんの横には、顔の整った青年が立っていた。
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