第4章 エルフの里と封じられし龍王

第53話 お家をさがそう①

 前話を修正しました。

 お手数ですが、見ていない人は見てみてください。

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 ————チュンチュン。


「———仁、起きて」

「……んっ……」


 俺がゆっくり目を開けると、どうやら俺は横を向いて寝ていたらしく、目の前に枕に頭を預けたメアの顔があった。

 メアも起きたばかりなのか、少し眠たげな目をしている。


 何気に初めて見るな……メアの寝起きの顔。

 

 その顔が新鮮でとても可愛かったので、抑えきれず頬に手を添えてそっとキスをする。

 メアも嫌がる事はなく自然に受け入れてくれた。


「……んっんっ……おはよう仁」

「おはようメア」


 俺はメアに挨拶すると、そっと体を起こす。

 昨日の夜の事がまるで夢では無いかと思っていたが、メアの一糸纏わぬ姿を見てそれが現実なのだと実感する。


 まさか俺がメアと一線を超えるなんてな。

 これが世のモテ男子が経験する『朝チュン』と言うやつか。


 思い出しただけで恥ずかしくなるが、物凄く良かった。

 あれほど気持ちいいとは……前世でどんだけ損してたんだ俺は。


「仁……これからどうやって呼べばいい?」


 昨日の行為の事を思い出していた俺に、メアがふと訊いてくる。

 十中八九、ジン様と仁、どちらで呼べばいいか迷っているのだろう。


「一応俺の事は誰にも言ってないから、2人の時以外はジン様で頼む」

「分かった。じゃあ……今は2人だから仁でいいね」


 メアはそう言って顔を綻ばせる。


 ……いやめちゃくちゃ可愛いんだが。

 何だよ、いつも敬語だったのが素で話してくれるだけで可愛さ倍増するとかズルすぎ。


「ねぇ……仁」

「ん? どうしたんだ?」


 メアがもじもじとしながら恥ずかしそうに、でも期待の篭った瞳を向けて訊いてくる。


「私達って付き合ってるの?」


 俺はその言葉を聞いて固まる。


 ……愛してるとは言ったけど、そう言えば付き合ってくださいとは言ってないな。

 よ、よし!

 昨日はメアが勇気を出したんだ。

 今日は俺が勇気を出そうじゃないか!


「め、メア!」

「どうしたの、仁?」


 俺は一度目を閉じて呼吸を整えてから口を開く。




「———お、俺と結婚してくださいっ!」




 …………あれ?

 俺……完全に言い間違えたよな?


 俺が内心めちゃくちゃ焦っていると、メアがクスリと笑いながらぎゅっとを俺を抱きしめて、




「———喜んで」




 耳元でそう囁いた。





▽▲▽






「———ねぇ仁、私達のお家を作らない?」

「お家?」


 俺が緊張しすぎて『結婚して』とプロポーズして、それを受け入れてくれた後。

 メアが唐突にそう言い出した。


「そう。どうせ結婚するんだから、わざわざこの家に泊まる必要は無いと思うの。それに2人とも【転移】は使えるから住む場所が離れてても問題ないし」


 ふむ……確かにそうかも。

 メアと結婚したら勿論一緒に住む予定なので丁度いいかもしれない。


「よし、じゃあそうと決まれば家探すか! あっ、でもお金って大丈夫なのか?」


 ついこの前まで俺のせいで金欠だったため、メアがわざわざ働かないといけないと言う自体に陥ったわけだが……今回は大丈夫なのだろうか?

 まぁもしもの時は俺が1日中、強いモンスター倒してその素材を売ればいいが。


「お金はシンシア様を守った時の褒賞金が沢山ある。それに売ってないモンスターの素材も。だからお金には困らない」


 それは良いことを聞いたぜ。

 なんで俺に褒賞金の話を今の今までしなかったのは不明……いや俺が使いすぎるからだな。

 これからはメアに迷惑を掛けないようにしっかりお金の使い方も改めないと。


 俺はそう決意して支度をするためにベッドを降りようとすると、メアが後ろから抱き着いてきて、


「……もう少しだけこうしていたい……ダメ?」


 と上目遣いで切なげに小さく声を漏らした。

 今まで俺に1度も我儘を言った事が無かったメアがこうして甘えて我儘を言ってくれる……なんて素晴らしいんだろうか。

 この世が楽園に思えてきた。


「ならメアの気が済むまでずっとこうしていよう」

「………ん……ありがと」


 俺はそんな可愛いメア(嫁)をそっと抱きしめ返した。



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 あれ? なんでこんな甘々に?

 まぁ2人が幸せそうだしいっか。


 それと新作です。

 読んでくださると嬉しいです。


『異世界帰りの暗殺者が世界を陰から支配する』

https://kakuyomu.jp/works/16817330654645100434


 

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