第3話 街の復興そして、ある者の訪れ

 私は魔王軍との闘いが終わってから、一回休戦を挟みそれから街の復興をしている。

枯渇しない魔力のおかげで範囲指定からの建設ビルドをすることができるようになった。

みんなが疲れた私に差し入れなどを持ってきてくれる。

それに、足りなくなってしまった資材などを力持ちな男の人が持ってきてくれる。

「あっ、みんな。ありがとうございます」

そうすると、一人の男の人が言う。

「いえいえ、我々は建設ビルドの魔法が使えないのでありがたいです。本当にありがとうございます」

「ううん、みんなの力になれて私は嬉しいよ」

そう言って、みんなと話しをする。

王宮に元々住み込みで働いていた人から前の王がしていたことを幾つか聞いた。

 その中で一番大変なのが神との信仰。

前の王はヘルズの魔術師だったので、神との信仰を能力として得意としていた。

私はヘルズの力を両手に纏い頑張ってみる。

そうすると、いつかの神様の声が聞こえてきた。


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「おぉ、いつかの少女ではないじゃないですか」

「あの神様ですか」

「はい、お久しぶりです。どうですか?今の生活は」

「まさに、○○○ですね」

あれ?

「○○○ですね」

「何も聞こえないですけど」

まさか、ここの空間はチートと言えないのかな。

なんていう設定なのだろうか。

変な設定に内心笑いがこみあげそうになって、凄くきつかった。

「すごく充実してますね。楽しいですよ」

「それは、それはよかったです。こちらからも見ていましたが、あの街を救ったのですね」

「はい、そうです。意外と魔法を使うことが楽しくて」

「本当に良かったです。あぁ、そういえばその世界にもう一人あなたと同じ転生者がでます」

「あなたみたいにぶっ壊れではないですが」

あぁ、分かってたんだ。

っていうか、ぶっ壊れっていう言い方だったら言えたのか。

そこの辺り頭の回転が試されているのか。

すごいこってる空間だな。

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そうして、神との信仰・・・?

いやいやいや、自分の好きなように神と話していただけ。

まぁ、いっか。そんなことを話していた。

 それから、私は自分の部屋に行き服を調べる。

ちゃんといろんな服が置いてあって感動する。

この頃、スカートだったのでパンツも履いてみることにした。

その分、ちゃんと合う上の服に着替える。

「おぉ、すごーい」

そうしていると、ここのメイドさんが入ってくる。

「あらっ、凄くお似合いですね。それどころではなくてですね街の人から通報です。この街に怪しい人影が」

「えっ、魔王の差し金かな」

「いえ、報告によると魔王の証はないとのことです」

だったら、より怪しいなぁ。

さっきの神様とのやりとりで私と同じ転生者の可能性だと思ったが、さすがにそんな低確率なことが起きるか?と思ってすぐさま頭から消した。


 そうして、私はその人を上空で見つける。

その次の瞬間に私は銃口を向けられる。

そのまま撃たれると思い、咄嗟にラウンド・シールドで防ぐ。

「お前は地の魔法使いか」

この人は転生者だ。今ので分かった。

この世界は魔法使いではなく、魔術師と呼ばれている。

それを知らないことから多分転生者だと考察する。

でも、あいつは私を間違っている。

なぜならば、「フレア双剣・デュアルサーベル

「なっ、フレアの魔法使いでもあるのか」

この世界には二つの力を持つ魔術師なんていない。

そんなことも知らないだろう。

だが、相手は魔力を練って双剣を造り対立する。

あれ、あの構え見たことがある。


 昔、まだこの異世界に来る前の話。

小さい頃に剣を得意とする特撮ヒーローの話をよくしてくれた幼なじみがいた。

その時に、してくれていたのが今目の前で彼がとっているポーズ。

私は魔力を練るのを切られそうになる寸前で止めた。

「ねぇ、君はさ、アキトくんでしょ」

そう言うと、彼もまた魔力を練ることを止めて剣が消える。

「お前は、ハルカか」


 そこで私は一応その人を王宮に案内した。

「っていうか、あんたなんで転生したのよ?一番元気があったじゃない」

そう言うと、わかってないなというように首を横に振る。

「違うよ」

「何がよ」

そう言うと高らかにアキトは言う。

「俺は助けたのよ。轢かれようとしている少女を」

「それを助けた代わりにぼくが死んでしまった。ぼくの誠実さや今まで何も悪事を働かなかったことから転生を許してくれたってわけよ」

そんな彼の頭をひっぱたく。

「偉そうに言うことじゃないから」

「まぁ、そんなかりかりすんなって」

そりゃそうか。

誰よりも誠実で絶対に嘘はつかなくて、絶対的前向き思考の超絶陽キャ。

厨二病の私よりそりゃやばい。

「まぁでもあんたが今のここの王女ってやつか。それならさ俺がハルカの右腕になってやるよ」


 まぁ、いろいろ話しをして疲れた。

っていうか、初めての転生だしこんな超絶陽キャの俺がまさか第二の人生を生きれるとはな。

そのまま疲れていたのもあってか、その部屋に置いてあるベッドで寝てしまった。

その夢で。



 「そういえば、ハルカが死んでもお前って変わらないよな」

これは生きていた頃の夢か。

たった転生して一日しか経ってないのにこの頃が懐かしく感じてしまう。

「そうか?俺はさ、信じてるんだよ。今、この瞬間天国でハルカが身体いっぱい自由に遊んでるってことを」

俺はそう言った。

この四人の幼馴染みとして俺は週に二、三回病室に遊びに行ってやってた。

その時に、決まって天国ではこの身体いっぱいつかって遊びたいと行っていたのを思い出す。

今まで自由に身体を動かすこともできなかったもんな。

だからこそ、今元気かなと空を仰ぐ。

「フユキさ、お前ちょっと好きだったんじゃないのか」

そう言うと、黙り込んでしまう。

「わかりやすいなぁ、お前は」

そのままナツキはフユキの背中をさする。

「ほらほら、泣かないの」

それでもフユキの目は赤いまま。

それから三人でハルカの分まで生きると思っていた。

 でも、すぐに事件が起こった。

俺ら三人はハルカが死んでから数日が経ち、一緒に学校から帰っていた。

俺はまだ本当はハルカがこの世にいないというのは納得がいっていなかった。

ちゃんと聞いたはずだ。ハルカの親から。

でも、それでもまだどこかでハルカが生きていると思っていた。

だが、横断歩道を歩いている少女が途中で転けてしまっていた。

そこに向かい猛スピードで走ってくる車があった。

俺は反応のできる限り、その子を押して半ば強制的に渡らせた。

 だが、俺はどうだろう。

ほんの僅かな意識を持ち、今の自分を見下ろす。

服には血などで汚れていた。

左腕はぼろぼろで、顔はあまり動かせない。

「ねぇ、アキト。ねーえ」

そう言って、ナツキは泣きながら僕を揺らす。

「もう無理なんだね」

そう僕の終わりを悟ったようにフユキは言う。

これで僕もハルカの所へ行ける。

そのまま俺は目を閉じた。


 それから微量の風を感じ、目を開ける。

そこにはすごく清らかなお人が立っていた。


 そこからのことはなんにも覚えていなくて、気づいたらこの世界に転生していたということだ。

そして、転生してから妙な噂を聞いた。

「おい、聞いたか。魔王様の二番目の階級を持つあの方がやられたらしいぞ」

「なんだと?意外と偏食なあの人がか?」

「そうだ、あの人がだ」


「意外と僕は魔王の根城に近い場所に転生していたんだよ。それからその強い人にも会いたかったしね」

そう元気にアキトは言う。

そんなアキトを前に躊躇しながら言う。

「あの、それ私」

「えっ?」

「そのそいつを倒したの私」

そう言うと、アキトの驚いた声がこだました。

「えぇ‼」

「まじかよ。異世界転生系のアニメだとお前主人公だぞ」

そう言われても納得出来ないような感じだった。


一方、その頃魔王達は………。

「あいつがやられただとっ」

「はい、前に魔王様が言っていたお人にやられたとのことです」

そう言われ、つくづく俺はいつもついてないなぁと思う。

だが、今は違う。

昨日新しく二人のメンバーが入ったのだ。

偶然なのか、必然なのかは全く持って分からない。

だが、フードを持っていて顔も分からず魔王の印もつけさせてくれなかった。

一応用心棒だと思っていればいいのだろう。

そいつらを行かせるより先に私が一度やつと直接やりあえばいいのだ。

だが、しかし本気は出さない。

もし、本気を出してはみたもののあいつに実力を越されていたら配下の皆に衝撃と不安を与えてしまう。

「一回私が直々にあってやるとするか」

そして、遣いを送らせることにした。


 私はアキトを一応私の執事として扱うことにして、今は仕事はない。

そうすると街から声が聞こえてきた。

しっかりとした服を着ていて、いかにも青年だという顔をしているが後ろには巨大な虫が付いている。

街の人たちが恐れて家の中に避難していた。

「魔王様からの伝言です。近々会って手合わせをしたいとのことだそうです。もし、よろしければ……」

そう言っている最中に私は巨大な虫を炎の剣で駆除した。

「街の人たちが怖がっているんだ。その恐怖を取り除くのが私の使命だ」

「あーあ。私は何で帰ったらいいのだろうか。また、途中で虫を探しますか。それよれも話しは聞いてましたか?」

「ちゃんと聞いてたよ。いつか魔王と手合わせをしたいとかどうとかだろう」

「はい、そのとおりです」

「じゃあ、魔王に前に会った場所だという風に伝えておいてくれ」

「かしこまりました」

そう言ってから、その青年は瞬きする間もなく消えてしまった。

 「やっかい事が増えたね」

そうアキトが笑いながら言う。

「そうだね。でもさ、なんか出来る気しかしないんだよね」

「そっか。頑張れよ」

「うん」

そう答えて、私はその魔王との手合わせに準備を進めるのだった。

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転生したら魔王より強い転生者だったが‼‼‼‼‼‼ 心愛謎希 @sekahen-nazono

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