白馬と言えばあれだろう

帆尊歩

第1話 白馬と言えばあれだろう

「それは白馬に乗ってやって来た。と言えば何?」

あたしは朝の教室で、前の席の由美に聞いた。

「何よそのナゾナゾは」由美はめんどくさそうに振り返る。

「ナゾナゾじゃないよ、聞いているんだよ」

「ヒントは」

「全女子が、必ず心に抱き、永遠に待ち望んでいるもの」


「ああ、ゴールに入る万馬券の騎手か」

「そうそう、あれ当たると儲かるよね。って違う。それは女子だけじゃなく全ての人が待ち望んでいる物でしょう」


「じゃあ、天下太平を成し遂げた武将」

「戦に明け暮れ、疲弊した農民は救われたけれど、新たな枠組みによる年貢に、多くの農民は苦しまされた。イヤだから違うって」


「じゃあ、四つん這いになった、お父さん」

「それは白馬に乗ってきたんじゃなくて、馬になっちゃったんでしょう。さらに上の乗るのは女子とは限らない。そもそも白馬じゃないし、親父馬だし」


「じゃあ、馬にまたがる、かっこいい制服のおまわりさん」

「確かに騎乗隊があって、馬に乗ったお巡りさんはいるよね。かっこいい。

でも胸に刻んで永遠に待ち望んでいない」

「そんな事ないよ。うちの近く競馬場があるから、たまに白馬に乗ったおまわりさんが通学する、小学生を見守ってくれていたし、その勇姿を見るのがあたしはとても楽しみで、心に刻み待ち望んでいたよ」

「それは小学生でしょう、全女子じゃない。そもそも男子もいるんだから」

「大人もいたけれどなあ。写真、撮っていたし」

「だから他には。一番大事な人が残っているでしょう」

「一番大事な人?」

「そう大事な人の心を開き、待ち望まれている人」


「ああ、焼き肉屋さんの、配膳係」

「はい」

「馬肉を皿に盛って来る人」

「そうそう、食べたことはないけれど、馬の肉、食べるよね。

じゃなくてそれは馬に乗るのではなく、馬を持ってくる人ね」

「じゃあ」

「まて」

「えっ」

「絶対に言わないつもりだろう。あのとっても大事な人を」

「そんな事ないよ」

「じゃあ、言って見なさいよ」

「企業乗っ取りを阻止するために、その企業を助けるためにやって来る人」

「違う、それは通称ホワイトナイト。白い剣士だから、そもそもすでに馬じゃないし、白しか合っていないし、馬はどこに行った。


「馬肉で食べて、いなくなっちゃった」

「馬肉を食べて旨かった。(馬勝った)てか。もういいわ」と言って、あたしは由美の胸を手の甲で突っ込む。

「お後がよろしいようで」と由美

「よろしくないわい」

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白馬と言えばあれだろう 帆尊歩 @hosonayumu

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