アラサーリーマン異世界に召喚されちゃった!
@naoki1145
第1話
「おお! 異世界の勇者達よ。よくぞ我々の呼びかけに応じてくれた! イスタリカ帝国皇帝として最大限の感謝を贈ろう。ありがとう」
見事な白髪に白髭。王冠を頭に被り、赤いマントを羽織っている。ザ・王様。いや、皇帝。
勇者達、ねぇ。
俺は他の召喚者達4人を見る。
呆然。怒り。困惑。パニック。それぞれだ。
それも仕方ないと思う。俺だって、そうなんだから。
今日は大事なクライアントとの打ち合わせの日で、急いで先方に向かっていたのだ。この打ち合わせが失敗すれば、我が社は3億円の取り引きが終わる。ただでさえ不景気で給料だって少ないのに、この打ち合わせが失敗すれば…。考えただけでもゾッとする。
そこへもって、この様だ。
異世界召喚? それがどうした! こっちは色んな意味で命がかかってるんだぞ!!
口元まで出かかった悪態をギリギリで呑み込んだ俺って偉いと思う。いや、凄いと思う。
「皆の適性を調べたい。『ステータス・オープン』と唱えてくれ」
言われるがままに唱えると、ウィンドウ状のステータスボードが見えた。
【異世界召喚に巻き込まれし者】
は? どゆこと? 巻き込まれし者って?
ステータスボードを凝視していると、皇帝陛下が、申し訳なさそうな顔で俺に歩み寄る。
「どうやら、お主は我々が行った召喚の儀式に巻き込まれたようじゃな。いや、本当に申し訳ない。謝って済む話しではないが、君が望むなら最大限のサポートはさせてもらうよ。どうしたいのかね? 何でも言ってごらん?」
何でもって言ったって、どうせ日本には帰れないのが異世界あるあるだ。どうしたものか。
幸いな事に、鑑定とアイテムボックスのスキルを持っているので、商人にはなれるかもな。
ならば…。
「畏れながら皇帝陛下。1年間の生活費と剣と防具を頂ければ幸いです。後は自分の力で何とか生きていきますので」
「それだけで良いのか?」
「はい。高望みはいたしません」
「うむ。あい分かった。直ぐにでも用意する」
「有り難き幸せ」
との遣り取りから1時間後。城を出た。
アラサーリーマン異世界に召喚されちゃった! @naoki1145
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