第10話 ボス戦リベンジ



《前回のあらすじ》

初めてのキャンプにキャンプファイヤー、2日掛けてLv5のボス戦に挑みにいくもボスがぶちまけてくるゼリーに阻まれ思うように攻撃できない。

ぼろぼろになり、ついには撤退してしまい、初めての敗北を味わっていた。

しかし同時に再起を誓っていた。


今度はLv4のモンスター討伐に向かうことになった。

ボス戦の前に出来るだけ経験値を貯めておきたいところだ。

カレンに言わせると、回復魔法も大事だが防御の魔法も大事とのこと。

防御の魔法はかなりの経験値が必要らしい。


Lv4のモンスターは日帰りの討伐が可能だが、Lv3までと比べると早くから出ないと間に合わない時間設定になっていた。

場所は町の西側だった。

再びゴンが先頭を切って目的地に向かっていく。

草を踏みしめるとこれから戦闘をするんだなと士気が高まってきた。


いつも通り大きな岩陰に到着するとモンスターが4匹飛び出してきた。

もう慌てることはない。

ゴンと渉が近づいて、サチは遠方から弓を放つ。

カレンは戦況を確認しながら回復魔法を放つ。

ゴンと渉は接近戦のためHPが減りやすい。

だが、カレンの魔法の命中率は格段に上がり、ほぼミスなく回復させることが出来ている。

ゼリー状の体はボスと変らないが、何より自分たちより背が低いし、攻撃頻度もかなり低い。

小さい分攻撃も刺さりやすい。

時間はかかるが、自分たちが戦える範囲内で一番経験値を稼げるモンスターはLv4だった。

負けることなく、傷も最小限で戦うことができていた。

これなら1週間で2回は戦闘に行けそうだ。


戦闘を終え、無事帰還する。

疲れはあったが、いつもの店により、祝杯をあげる。

以前のような盛り上がりは少なくなったが、それでもお酒が入るとかなり陽気な気持ちになるようだ。

「これからはLv4だな!」

ゴンの意見に反対する人は誰もいなかった。


次の日から次のモンスター討伐に向け、武器の選定、手入れ、技の習得に力を入れた。

ボス戦に向け、必要な経験値を割り出していく。

カレンの防御魔法が一番経験値を必要としているが、ボスのゼリーばらまき攻撃を想定すると、何が何でも獲得してほしい。

そこまではみんなで協力することになった。


Lⅴ4のモンスターに何度も挑み、すぐに討伐が出来るようになってきた。

渉の剣も、ゴンのグローブも、サチの弓も性能がよくなった。

もちろん各々の体つきもどこかたくましくなっていた。

カレンは回復魔法の大が出せるようになったと喜んでいた。

使うとかなり疲れるらしく、頻繁には撃てないのが悩みだそうだ。


Lv4のモンスターに10回は挑んだだろうという日のお店で、ついにボス戦への動きが起きる。

「そろそろ防御魔法の中を獲得できそうです。」

お酒が入っている割にはしっかりとした声色でカレンはまっすぐ前を見ていった。

一同はカレンをみた。

「大丈夫なのか?」

「はい、次の獲得予定経験値で防御魔法の中を獲得可能です。ここまでありがとうございました。」

カレンは笑顔を向ける。

みんなLv4のモンスター討伐に終わりが見え、安堵した様子だった。


次の日、みんなで掲示板を確認し、週末にあるLv4緊急モンスター討伐に参加することにした。

普段週末にモンスターの討伐はあまり入らないが、こうしてたまに討伐情報が掲示されることがある。

週末に討伐した方が、ボーナスは弾むし、経験値も少し増量される。


当日の朝6時半ごろ、町の西側から平原に向かって歩き出す。

平原はいつも穏やかでこれからモンスターの討伐が行われるなんて信じられないほど静寂だった。

Lv4のモンスター出没地点に到着するといつも通り4匹のモンスターが出現した。


カレンが試しに防御魔法の小を撃つ。

するとモンスターの攻撃はすぐ下に跳ね返った。

張り具合や大きさは魔法の能力に依存するらしい。

だが、防御はかなり有用だった。

いつも以上に簡単にLv4モンスターを討伐する。


カレンはその帰りに防御魔法の中を獲得した。

もちろん杖も新調していた。

グローブや剣、弓は武器屋の店主に点検をお願いするにとどめた。

さすがに新しいのばかりでは武器に慣れる暇がない。

4人は掲示板を確認し、2週間後の討伐を目指した。

それからは各々の技術の研鑽に励んだ。


2週間後、再び2日間の準備をして、重い荷物を背負って町出る。

南口からずっと歩いていく。

日が傾くと再びテントを張った。

キャンプファイヤーをもう一度したが、初めて行った時と同じくらい盛り上がった。

感性は人間と変らないようだ。


次の日、再び起きないゴンをゆすって起こし、森に向かって進んでいく。

少し前回の恐怖心が残っていたが、それぞれバージョンアップしている武器を見ると大丈夫な気がした。

以前と同様の巨大な樹が迫ってくる。

みんなで武器を構える。


大きなモンスターが出てくる。

カレンが防御魔法の中を放つ。大きな傘のようなものが飛び出す。

サチが弓で遠方からモンスターに攻撃を仕掛ける。

刺さった弓に怒ったモンスターがゼリーをばらまいてくる。

だが、カレンの防御魔法によりほとんど当たることなくやり過ごす。

渉がその隙に剣を大きく一振りする。

その剣はモンスターにぐっさりと貫通する。

痛みに益々暴れるモンスター。

防御魔法も長時間使えないので、一度傘を閉じるように防御魔法を解く。

その間にもゴン、渉、サチは攻撃を繰り返す。

少し弱ってきたのかゼリーをばらまく範囲が狭くなる。

さらにモンスターに積極的に近づき最後まで攻撃を繰り返す。

ボス戦では1匹しかモンスターが出てこないので、一斉攻撃で攻め入る。

最後の最後まで各々が力を振り絞るが、モンスターも最後の最後まで力を振り絞ってきている。

持久戦になり、体力的にもしんどくなる。

「うおぉぉぉぉ!」

ゴンが掛け声を掛ける。

サチもカレンも渉も驚いた表情をしたが、後に続く。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

自分の持っている攻撃を最大限出し切る。

そしてついにモンスターが倒れる。

そしてまるで蒸発するかのように光が天に昇っていく。

モンスター討伐後の森は日が差し込み、木々も喜んでいるようだった。


ヘロヘロになりながらその場にへたり込む。

初めて討伐できた達成感と、疲労からしばらくは誰も声を出せずにいた。

水分補給をしたり、汗をぬぐう余裕が出てきてから喜びに包まれる。

「勝ったな!」

「はい。やりました!」

「かなり頑張ったんじゃないの?」

「疲れたー。」

みんな安堵の表情を浮かべていた。


《次回、家のバージョンアップできるってまじ?!》

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こんなはずじゃなかったのに!!! 紫栞 @shiori_book

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