第9話 ボスってやっぱり強い!
《前回のあらすじ》
掲示板の前で弓を背負ったサチと出会い、ゴンの声かけによりパーティーに加入した。どこかサバサバとした性格だが、優しくて明るくストイックなサチ。パーティーに加入したことでパーティーは一段と強くなり気が大きくなった4人はいきなりLv5のボス対戦に向かうことになった。
戦闘掲示板を確認し、例のごとく保険に加入させられる。
ボス戦は距離が遠いらしく、2日間分の保険に入った。
準備期間は1週間設けた。
その間に2日分のテントや食料を買い集めるということになった。
テントや食料も必要物資として訓練所付近に売られている。
武器も少しだけ良い物を買い直した。
かなりの量で、運ぶだけで大変だった。
買物をしているとあっという間に当日を迎えてしまった。
みんなで初めて使う町の南から戦闘の地へと向かった。
出てしまえば変わらず平原が続いている。
ところどころ岩があったが、そこからモンスターが現れることはなかった。
辺りが徐々に暗くなってきて、今日泊まる場所を決めることになった。
安全なところでテントを張りたいと思っていたが、平原であれば大丈夫そうだという結論に至り、みんなで各々テントを張った。
憧れのキャンプファイヤーも出来るよう、持って来た薪に火をつける。
薪に火が付くと顔が明るく照らされ、表情も明るくなる。
持って来た鍋に水や肉、野菜を入れ煮込む。
カレーのルーはこの世界にないのか、見当たらなかったが、カレー粉は見つかった。
渉の提案でキャンプファイヤーでカレーを作ることになったのだ。
初めてのキャンプに火を囲んでワイワイと盛り上がる。
辺りにモンスターの気配は感じられない。
明日ボス戦を控えているとは思えない静かな夜だった。
火を消し、みんなで空を見上げると、澄み渡る星空はどこまでも続いていた。
朝を迎えテントから順に出てくる。
カレンとサチはさっそくテントを畳んでいた。
渉もそれに続いて準備を始める。
ゴンのテントだけ未だいびきが聞こえていた。
カレンとサチと話した後渉がゴンを起こすことになった。
テントのチャックをそっと開けて中に入る。
大の字になりテントの大きさいっぱいで気持ちよさそうに寝ているゴンを起こすのは気が引けたが、これではボスをいつまでも倒しに行けないので声を掛ける。
それだけでは全く反応がなく、そのあとからは大胆にゆすったり叩いたりしてなんとか起こした。
気持ちよさそうな眠りから覚めたゴンだが、不機嫌な様子もなく、ボス戦を前に気持ちが高ぶっているようだった。
ゴンも準備を終えると、ボス戦の舞台に歩みを進めた。
平原は途中で森に変わり、あたりは突然うっそうとして怪しい雰囲気に包まれた。
どこか遠くから聞いたことのない動物の鳴き声も聞こえてくる。
ボス戦のオーラをひしひしと感じていた。
さらに進んでいくと大きな樹が見えた。
下が完全に日陰になってしまうほど大きく、さらにてっぺんが分からないほど背が高い樹だった。
今回の目標地点はここだ。かなり町から歩いてきた。
一度強い風が吹いたかと思うと、大きな樹の横から大きな赤いモンスターが現れた。
試しにサチが弓を放つが、ゼリー状の体に弾かれてしまう。
ゴンのいつも頼りになる拳も今回ばかりは足元しか攻撃できずにいた。
渉の剣は刺さってはいるようだが、とても奥まで届いている様子はなかった。
一方のボスは奇声を発しながらゼリーをぶちまけてきた。
攻撃頻度は高くないし、狙っているというよりはばらまいているような攻撃だったが、当たるとかなりHPが削られるような感覚がした。
お互い微妙な攻撃を繰り返しながら時間だけが過ぎていく。
そして、勇者側の方が先に体力が尽きてしまい、下にあるゼリーを踏んで転んだり、その間に新たなゼリーに当たったり、益々勝利は絶望的になった。
「今回はこれ以上やってももう自分たちがぼろぼろだから撤退しよう」
ゴンが撤退を宣言し、みんなで同意する。
撤退しても自分の足で戻らないといけないので、森を抜けてから急いでテントを張る。
テントに入るとすぐに眠りに落ちてしまった。
翌朝、みんなでゆっくりと自分たちの町に戻る。
今回は討伐未完了のためにボーナスは支給されず、経験値だけが少しだけ加算された。
みんな意気消沈し、しばらくは沈黙が続いた。
ご飯に行く気にもなれず、その日はひとまず解散した。
その3日後、掲示板を見ているゴンを見つけ渉は声を掛けた。
「ゴン、回復した?」
「んー身体は回復してるけど、なんとなく気持ちが回復しないよね。他のみんなはどうなんだろう?」
そんな話をしていると示した合わせたようにカレンとサチがやってきた。
サチは他のLv1モンスター討伐に一人で行ってきたらしい。
カレンは家で引きこもってずっと酒を飲んでいたらしい。
みんな各々の過ごし方をして、再び勇者として戻ってきた。
そして、みんなでボス戦に向けて再起を誓った。
《次回 ボス戦リベンジ》
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