終、祷祀の果てに
外の世界からはどれだけ
夜更けに、絹を裂くような悲鳴で目が覚める。枕元にある眼鏡を掛けたところで、間借りしている家の婦人が慌ただしくやってきた。
「先生、逃げ――」
言葉の途中で倒れ込む。確かめると、
外に出てみれば、月明かりの元で、怯え逃げ惑う村人たちの輪郭だけが
ただ声だけが聞こえる。願い、拝み、祈り、謝り、怒り、恐れ、
人が何かを信じるとき、その胸中に存在するのは神か仏か。それとも己が心を
村人たちは相も変わらず闇に対して弁明を続けている。錯乱の
「お姉ちゃんごめんなさいごめんなさいごめんなさい許して」
「こわいよたすけて」
「あれは事故だったんだ俺は悪くないお前も笑ってただろ」
「いったい何が起きているの」
「どうかどうか返してください返して返して返して返して」
「痛い離して痛い痛い痛い」
暗闇から生まれ
事の真相は非常に気になるが、ここは退散するとしよう。触らぬ神に祟りなし、奇怪な事件には関わらぬが吉。こうして、私は集落を後にした。
祷祀の果てに 十余一 @0hm1t0y01
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