第17話 完璧美少女と妹 その3

 それから少し話をしただけで私たちはすぐに仲良くなった。


 私と夏季ちゃんが特別気が合ったというよりかは、夏季ちゃんが元々誰とでも仲良くなれる性格なのだろう。



 「いや~ずっとあんなダメ兄貴のこと好きなんてもの好きですねー」


 「ダメ人間なんかでは…いや、ダメかもしれません」


 「あはは、お兄ちゃんのどこが好きなんですか~?」


 「…えっと、優しいところ…とか」


 「へえ~~」


 と、夏季ちゃんはにやにやと笑っている。


 ほとんど初対面なのに気兼ねなく話せるのは夏季ちゃんのなせる業だろう。

普段は話していても言葉に詰まってしまうのに、うまくフォローされこんなにも会話が続いているのは何か不思議な感覚だった。


 普段と学校での遥くんのギャップの話や(ギャップは全くなかったが)、私のアメリカでの話などで盛り上がった。


 「アメリカに住んでたってことはやっぱり英語ペラペラなんですか~?」


 「ペラペラって程ではないけど…英語は教科の中では一番得意だよ」


 「いいですね~お兄ちゃんは英語一番苦手ですしやっぱりお似合いですよ~」


 「えへへへ、そうですかね」


 こうやって楽しく話をするのはとても楽しかった。

でも話しているうちに心に余裕ができると、忘れていたモヤモヤが流れ込んでくる。


 (遥くんの初恋の人って…)


 知ってどうかなるわけでもない。むしろショックを受けることになるだろう。それでもどんな人なのかどうしても気になる。


 「あの、遥くんの初恋の人って…」


 私が勇気をふりしぼって聞こうとしたその時、


 「あ、望月さんまだいたの?

…気分悪そうだったけど体調とか大丈夫?」


 「えっ、あっ、だ、大丈夫です」


 ちょうど遥くんがリビングに降りてきた。


 「…そうか」


 遥くんは心配してくれているのに、目をそらしてしまう。

こんなに優しいのに、そんな今の遥くんが好きなのに、初恋のことが心をざわつかせる。


 刹那、夏季ちゃんが近づいてくるとこう耳にささやかれた。


 「お兄ちゃんの初恋の人ってゆいさんですよ」


 ぱっと夏季ちゃんのほうを振り向くとにこっと優しく笑っている。


 頭がその言葉を理解するにつれて顔が赤くなっていく。


 「お、おい、ほんとに大丈夫か?

熱あるんじゃないか?」


 さっきまでとは違う理由で顔が見られない。…こんな緩んだ顔見せたくないから。


 「だ、大丈夫ですから!ではさようなら!」


 真っ赤な顔と笑みが止まらない表情を見られないように私は村田家を後にした。




………………………

 お読みいただきありがとうございます!


 ぜひ応援、コメント、レビューのほうよろしくお願いいたします。


 面白かったら☆3つ、つまらなかったら☆1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


 ブックマークや作者フォローもいただけると本当にうれしいです。


 何卒よろしくお願いいたします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

完璧美少女に勝ったら、何故か懐かれてしまった話 水無世斎宮 @minaseituki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ