第20話 潜入調査
前書き
前回のあらすじ
ヒロインの
本文
エレノアさんの召喚に成功した。人物の召喚が可能であるということで戦術の幅が広がる。例えば、エレノアさんを先行させ偵察後、その場からすぐに離脱させたり、危険な戦闘から逃がすことも。エレノアさんのみではあるが転移させることが出来る。
「エルさん?」
エレノアさんに肩を叩かれるまで深く思考していたようで、この先の調査について思考を切替える。
「ごめん、考え事していたよ。えーと、この地下の調査だよね?とりあえず昆虫型のドローンを先行させる。罠感知の魔道具もあるし、慎重に進もう。」
「罠感知の魔道具...この腕輪に嵌められている水晶の色が変わるのですよね?」
「たぶん...罠感知の魔道具ということは間違いないけど、使い方まで分からない。
正式な名称は分からないが、
「無いよりはあった方がいいというところですか...大胆で繊細なエルさん...ふふふっ。好き。」
「えっ?なに?」
最後のほう、聞こえず聞き返したが、エレノアさんは笑って濁す。
「ふふふっ。内緒です。」
一旦会話をやめ、偵察にドローンを展開する。俺がドローンを操縦し、何も無ければエレノアさんが罠の確認しつつ前に進む。罠がなければ、俺がエレノアさんの後を追う。かなり慎重な行動ではあるが、未知な空間である以上、警戒MAXで進むべき。
「うーん...拍子抜けです。今のところ罠がありませんね。エルさん、どう思いますか?」
「ここに逃げて来る人間のことを思えば、罠を設置しない方がいいのかも。罠も無限にあるわけではないからね。」
この街の地下は無骨ではあるが、明らかに人の手で造られている。暗闇になれるためにライトなどは使用していない。
地下を歩くこと1時間。ようやく、人の声が聞こえてきた。
「エレノアさん。ドローンで確認したら、この先に門がある。門の前に数名、武装している人間も確認できた。」
「えっ?地下に門ですか?」
「しっ!声大きい。」
「うっ...すみません。地下に門があることに対して驚いてしまいました。」
口に手を当て声のボリュームを落とし話すエレノアさん。
「さて、ここで立ち止まっていても仕方ない。見張りの数は4人。エレノアさん、やれる?」
「ふふ、その
「おっと。ちょっと待って。」
門の方へ走り出す前にエレノアさんを止め、具体的な指示を出す。
「不可視化のローブを必ず羽織ること。見張りの人間は確実に仕留めて、それから門の破壊。ドローンの映像で見たところ木で出来た門だと思うから手榴弾で。以上、行ってらっしゃい。」
「はい。行ってまいります。」
エレノアさんは、俺の前から姿を消し見張りをしている人間を次々始末していく。前まで奴隷だったハーフエルフだと思えない。疾風の如く動き、首に猛毒を塗った刃をなでて確実に殺していく。俺の目に映るのは、首から血を吹き出し倒れていく者たちだけ。
(本当、スゴい...敵に回したくない。味方で良かった...)
エレノアさんのことを胸の中で絶賛していると、手榴弾が爆発して門が燃え崩れていく。さらに、門の中から人間が出てくるが、爆発に巻き込まれたり、燃えさかる火に身体が焼かれ死んでいく。
「今のうちに...」
俺は混乱が起きている門の付近まで接近し、門の中へ入っていく。その後は簡単であった。門の近くにいたであろう者たちに紛れ込み、一緒になって門から走って遠ざかる。エレノアさんは、俺のあとをつけているはず。
「ど、どうなっているんだ!」
一緒に逃げている男が大声で叫んでいる。戸惑い、不安、恐怖は伝染するもの。それが例え、見えないものであっても同様。俺は不安や恐怖を煽るために、叫んだ男に声をかける。
「おい、俺は見たぞっ!エルフだ!耳が尖ったやつがいたぞ!」
「なにっ!エルフがここまで攻めて来たというのか!?」
俺の言葉に動揺がはしる。それに合わせるかのようにまた爆発が起きる。
(ナイスタイミング!エレノアさん!)
再びの爆発でエルフの襲撃が真実だと勘違いしていく人間たち。笑える。笑ってはいけないが、口角が上がる。それを隠すために、口元に布をあてる。煙を吸わないようにも見えるし、一石二鳥。
「もうここは安全ではないのか...エルフども...」
エルフに恐怖し怒りを抱いている男が呟きながら走っていく。そのあとを俺はついていき、案内してもらおう企んでいる時に、エレノアさんから声をかけられる。
「エルさん、エルさん。」
「っ?どこ?」
不可視化のローブを羽織っているせいで見えない。
「こっちです。早くこっちへ。」
姿が確認できず、声が聞こえる方へ俺は向かっていく。せっかく紛れ込んで、敵アジトの発見が出来るというのに...なぜ、そいつらから離れて行くんだよ。離れる際、意図的に別れたのではなく、手榴弾による爆発を避けるためと認識させておく。
「エルさん。ようやく潜り込めましたね。この地下について探りたいのです。許可をいただけますか?」
「ひとりでいくの?」
「?エルさんとですけど?」
「あ、はい。行きます。...の前に、さっきの集団から離れた理由を教えて。」
思い出したかのように手を叩き、真剣な表情で俺に説明をする。
「あの先は、私が先行して少し見てきました。どうやら、何十人かのねぐらです。そこのねぐらにあった金品や良さそうな武器をくすねておきました。っと言うことで、もうあんなゴミの集団とエルさんがいる必要がありません。ここからは、2人で行動です。いいですね?」
「す、すごい。完璧な仕事!よくやったね、エレノアさん。オッケー。一緒に行動しよう。」
「えへへっ、うふふ。褒められちゃいました、私。」
褒めて成長を促す教育をすると、エレノアさんがのびのびやって行ける気がする。
後書き
次回 狂気
平凡を望む、されど... わか @waka01
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます