チーちゃんとママ (偽りの真実)

帆尊歩

第1話  ママとチーちゃん

「じゃあ、ミッちゃんと、チーちゃんはここで待っているんだよ。すぐにお迎えが来ると思うけど、来たらすぐ呼ぶんだよ」

「はーい先生」と言ってミッちゃんとチーちゃんは手を上げた。

「先生少しだけ、他のお友達の所に行って来るからね」

「はーい」とミッちゃんとチーちゃんはもう一度手をあげた。

隣に座っているミッちゃんが元気がないなーと、チーちゃんは思った。

そういえば朝からこんな感じ。

どうしたんだろう、お腹でも痛いのかな、と小さいながらチーちゃんは、ミッちゃんの心配をする。

「ねえミッちゃん。なんかあったの」

「えっ」

「元気ないよ」

「みっちゃんね。パパとママの子供じゃないの」

「本当のパパとママがどこかにいるの」とチーちゃんはのんびりした口調で尋ねた。

「違うの。ミッちゃんね。ロボットなの」

「えー。ミッちゃんロボットなの?」

「うん、見て」と言ってミッちゃんは腕にあるファスナーを開けた。

中にはいっぱいの機械が、動いていた。

「すごーい、ミッちゃん本当にロボットなんだ」

「チーちゃんは」

「分からない」

「ここのところにファスナーはある?」と言って、ミッちゃんは腕のところをチーちゃんに見せた。

「ない」

「ファスナーがないなら、ロボットじゃないね。」

「そうなんだ」

「でもミッちゃんのパパとママには、ファスナーがないの。だからミッちゃん、パパとママの子供じゃないの」

「そうなんだ」チーちゃんは、子供心になんて言ったら良いか分からない。


「ミッちゃん」ミッちゃんのママがお迎えに来た。

「あらー、チーちゃん。ママはまだ?」

「うん」

「じゃーミッちゃん、先に帰ろうか」

「うん」と言ったミッちゃんだったけれど、はやっぱり元気がない。

ミッちゃんはロボットで、パパとママの本当の子供じゃないから仕方がないかな。

とチーちゃんは思った。

「ミッちゃん。バイバイ、また明日」とチーちゃんはミッちゃんに手を振る。

「チーちゃん」とミッちゃんは泣きそうな顔で手を振った。

なんかロボットなんてかっこいいのに、自分がロボットじゃないのが残念。

とチーちゃんは思った。

でも自分がロボットじゃないと言うことは、パパとママの本当の子供だと言うことだからまあ良いかと、チーちゃんは思った。

「チーちゃん」

「あっ、ママ」

「チーちゃん帰るよ」

「うん」

「ねえママ」

「なに」

「ミッちゃんロボットなんだよ。だからミッちゃんパパとママ、本当のパパとママじゃないんだって」

「へーそうなんだ、ミッちゃんはロボットだけど、パパとママはロボットじゃないんだ」

「うん。あたしもロボットだったらいいのにな」

「なんで」

「だってかっこいいもん」

「そうね、チーちゃんがロボットだったら、ママも嬉しいな」

「ママ、チーちゃんがロボットだったら嬉しいの?パパも嬉しいのかな」

「多分ね」

と言ったママの腕にはファスナーがあった。

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チーちゃんとママ (偽りの真実) 帆尊歩 @hosonayumu

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