寂しいね。

屑羽 純

寂しいよ。

君はどうしたいの。

とある人に、そう聞かれたことがある。

分かるはずないだろ。

今日明日を生きるのに精一杯な私に、将来なんて。

心の中で、そう吐き捨てた。ついでにその人に対して抱いていたちょっとの好感も。

実際の私は、悩ましげに、しかしそれでいて一生懸命答えを探しているような、いかにも年上が、しょうがないなぁと甘やかしてしまいそうな顔で、まだ悩んでいるんです。と答えていた。

将来のことをイメージしてみなさい。

そうしたら、自ずと自分がどうなりたいか。

見えてくるはずだよ。

と、言った後に、とある人は、自分の高3の進路の際の話をし始めた。

私の同級生は、こういう話は、適当に相槌を打って強制的に切り上げているらしい。

馬鹿だな。私は純粋にそう思った。

こういう類の人は、話を聞いているだけで勝手に好感度を上げてくれる。テストでいい点をとる必要なんてない。話を聞いてるだけでいいのだ。

寂しい人なんだろうな。単純にそう思った。

寂しいから誰かに話を聞いて欲しくて仕方がないんだろうな。

じゃあ、寂しがり屋同士、上っ面だけの話を楽しもうじゃないか。

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寂しいね。 屑羽 純 @kuzusensei

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