最終話「天使に恋して☆彡」

 風花はその日から毎日、タツヤとキッドの無事を祈りながら待ち続けた。

 数年の時が流れ、風花は高校生になっていた。友達が1人もいなかった、

 風花にも1人、2人と友達が増え充実した日々を送っていた。

 ただ、愛しい人の生死だけが風花の心を苦しめていた。





 季節は桜香る春になり、風花は桜並木を通り家路を

 急いでいた。と、その時。空から白い羽が降ってきた。

 風花が空を仰ぐと何と、風花がずっと待ち焦がれていた。


 タツヤと、キッドが純白の翼を羽ばたかせ舞い降りてきた。

「タツヤさん!キッド君!」

 風花は感極まって涙が溢れた。

 そして、タツヤと、キッドに抱きついた。


 愛しい少女を優しく抱き留めるタツヤと、キッド。

「お帰りなさい……タツヤさん、キッド君!

 よく御無事で……ずっと、ずっと。待っていたんですよ!」


 風花が興奮して言うと、キッドは頬を染め照れながら

「風花さん、遅くなってすみませんでした。

 母さんの御好意でこれからも、風花さんと一緒にいられる事になったんです。

 今度は風花さんを守れと」と言うと突然、真剣な表情になり、風花を見詰めた。


 ドキン


 風花はキッドの熱い視線に胸が高鳴り、頬が桜色に染まった。

 キッドは風花の頬に片手を当てると。

「風花さん。あの約束を覚えていますか?

 僕が生きて帰れたら、風花さんに伝えたい事があるという約束を」


 ザアッ


 桜の木が風で揺れ、風が風花の桃色の髪と、キッドの茶色の髪を揺らす。

「はい、覚えています」

 ゆっくりと、風花はうなずいた。

 その瞬間、キッドは風花の桜色の艶やかな小さな唇に自分の唇を重ねた。

「ん……」

 風花はキッドの優しくとろけるような

 甘いキスに、思わず目がとろんとしてうっとりし、キッドに身を任せた。


 唇が離れると、キッドは顔を真っ赤に染めた。

「これが答えです。僕は、風花さんを愛しています!

 他の誰よりも、あなたは僕の愛に応えてくれますか?」

 と告白すると、風花は顔を真っ赤に染めながらも目を泳がせ、


「でも、私にはタツヤさんが」

 困ったように言うと、キッドは大きく息を吐きにっこりと微笑むと、風花の手を握り言った。

「わかっていますよ、あなたがタツヤ様を好きなのは。でも、これで諦めたくないんです!たとえ、低い確率でも可能性がある限り……僕は罪を償いタツヤ様より、風花さんにふさわしい男になって必ず振り向かせてみせます!」


「キッド君」


 風花と、キッドの間に甘い雰囲気が流れる。

 その時、タツヤが青筋を走らせ、ズカズカと風花とキッドの間に割り込んだ。

「てめぇ!キッド。告白だけじゃ、飽き足らず俺様の風花にキスまでしやがって!!

 もう、許さねえ――!!!」

 声を荒げると、キッドに掴み掛かろうとした。





 キッドは風花の手を掴み、「風花さん、逃げますよ」と優しく微笑むと、

「はい、キッド君」と、風花は柔らかな笑みを浮かべ、2人は桜が舞い散る桜並木を走り出した。

 将来、タツヤとキッド、どちらのキューピットが風花のハートを射止めたかは、風花と神のみぞ知る。






 <END>



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「天使に恋して☆彡」最終話を迎えました。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

天使に恋して☆彡 夢月みつき @ca8000k

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ