3、歴代、及び今シーズンの浦和レッズ

 浦和レッズは、Jリーグ創設元年である1993年から存続している、『オリジナル10』と呼ばれるクラブです。埼玉県に本拠地があり、自分自身も応援しているチームです。

(以下、敬称略)


 最初に浦和レッズの試合を観たのは、Jリーグ開幕で盛り上がる1993年のテレビ中継でした。当時はサッカーのTV中継が多く、特にヴェルディ川崎の試合は日本テレビ系列で毎週放送していました (読売新聞がメインスポンサー)。初期の浦和レッズは非常に弱く、試合中継を見ても負けるばかりで面白くなかったため、途中からはあまり見なくなってしまいました。

 Jリーグ2年目、浦和レッズに岡野雅行が加入し、快速スピードで観客を沸かせるようになりました。Jリーグ元年の後半から2年目前半まで、約1年ほど浦和のサッカーから離れていた自分ですが、岡野の噂を聞いてまた観戦するようになりました。以降、民放やテレビ埼玉で、地元ラジオFM79.5で、毎週の試合を楽しみにしました。初めてスタジアムに足を運んだのも、この頃だったでしょうか。

 1998年、日本が初めてW杯に出場しました。2002年には日本でW杯が開催されました。日本国内のサッカー熱は大いに盛り上がっていたと思います。しかし、この頃を境に、徐々に下火になっていきました。民放のJリーグ中継も減り、地元の浦和レッズの試合でさえ、どこで見ればいいのかというような状況になっていきました。

 日本でインターネットが普及し始めて、ネットでも試合が観れるようになったのは、2000年代以降だと思います。長時間ネットを繋ぐと電話代が嵩んでしまっていた時代から、一定時間あるいは決められた時間帯であれば割引の時代を経て、やがて何時間でも無料の時代へ。環境の整備に伴い、自分のサッカー観戦もネットへと移行していきました。今では世界各国のリーグ、ほぼ全ての試合をネットで観戦できます。当然のように、今では浦和レッズの全試合をネット中継で観戦しています。

 このようにして、Jリーグ開幕の1993年から2022シーズンまで、ほぼ30年間浦和レッズの試合を観戦し続けてきた自分が、これまでのレッズと、今年のレッズについて評価したいと思います。




A、歴代の浦和レッズ


 ここは単純に、歴代のベストイレブンのような形で発表したいと思います。条件としては、今まで選択した選手、例えばワシントンや田中マルクス闘莉王などは省きます。人数は26人で1チームとし、その中からベストイレブンも選定します。


 最初にGKです。1人目は文句なし、西川周作で決まりでしょう。浦和レッズの歴代で見ても、西川以上のGKはいません。GK枠は3ですので、あと2人選出します。候補としては、田北雄気、土田尚史、都築龍太、山岸範宏の4人です。選ぶのが難しい・・・。取り敢えず、4人の中で最も出場数の多い都築龍太は確定です。埼玉県議会でも議員として頑張っていますし (関係ない)。最後の1人は、独断と偏見で、田北雄気に決定します。同じ「ゆうき」ですし (関係ない)。ちょっとだけ親戚に顔が似ていますし (関係ない)。


※試合数はJ1のみの通算出場数で、浦和通算と記載してある部分は浦和在籍中のJ2時代を含む出場数 です。

田北雄気 184センチ80キロ 浦和通算146試合1得点

都築龍太 185センチ83キロ 250試合 浦和通算172試合

西川周作 183センチ81キロ 554試合 浦和通算301試合


 続いてDFの候補ですが、ここで使えない選手が4人います。ブッフバルト、酒井宏樹、三都主アレサンドロ、田中マルクス闘莉王です。この4人を省いた、残りの候補選手を挙げていきましょう。SBでは、山田暢久は確定です。それ以外で、宇賀神友弥、酒井友之、城定信次、杉山弘一、橋岡大樹、平川忠亮、路木龍次の7人を候補とします。SBはスタメンとサブで合計4人にしようと思いますので、山田暢久プラス3人、つまり4人をふるいにかけます。浦和での活躍、試合数という意味で、酒井友之、路木龍次の2人は物足りないため落選です。あと2人は迷うところですが、城定信次と杉山弘一を省き、最終的には以下の4人になりました。


宇賀神友弥 172センチ71キロ 浦和通算293試合16得点

橋岡大樹 184センチ80キロ 浦和通算74試合4得点

平川忠亮 172センチ72キロ 浦和通算336試合9得点

山田暢久 175センチ72キロ 浦和通算540試合27得点


 CBとしては、確定が3人います。ショルツ、坪井慶介、槙野智章です。残りは1枠、もしくは2枠です。候補選手をざっと挙げていきましょう。スピラノビッチ、ネイハイス、ネネ、ボリ、マウリシオ、井原正巳、岩波拓也、内舘秀樹、田口禎則、永田充、那須大亮、西野努、堀之内聖、室井市衛、森脇良太。ざっとこんなところでしょうか。多すぎ問題・・・。外国人選手ならマウリシオかなと思うのですが、DFは他の候補も多いですし、ここでは外国人助っ人を採用しません。日本人選手で井原正巳が目に付きますが、晩年の2シーズンのみでしたので省きます。最終的な候補は、岩波拓也、内舘秀樹、那須大亮、堀之内聖の4人に絞りました。岩波以外の3人は、DFと守備的MFをこなせます。CBで残り2枠、合計5枠取るのであれば、専門DF1人と、ユーティリティプレイヤーを1人になると思いますが、ここは一旦保留しておきます。


(確定)

ショルツ 189センチ84キロ 浦和通算47試合6得点

坪井慶介 179センチ70キロ 315試合1得点 浦和通算292試合1得点

槙野智章 182センチ77キロ 415試合46得点 浦和通算313試合32得点


(保留)

岩波拓也 186センチ72キロ 244試合11得点 浦和通算138試合7得点

内舘秀樹 180センチ65キロ 浦和通算220試合4得点

那須大亮 180センチ77キロ 400試合29得点 浦和通算117試合15得点

堀之内聖 178センチ72キロ 浦和通算148試合7得点


 続いてMFの選抜に入ります。ここで使えない選手はマルシオリシャルデスと小野伸二です。攻撃的MFと守備的MFで分けて、まずは守備的な方から。ここには確定選手が4人います。阿部勇樹、遠藤航、鈴木啓太、長谷部誠です。枠は4から5ですので、あと1人選べるかどうか。空きが0から1ですが、一応、候補選手を挙げてみましょう。ペトロヴィッチ、青木拓矢、石井俊也、伊藤敦樹、河合竜二、土橋正樹、細貝萌、堀孝史。ボランチには、まだ選ばれていない凄い選手がズラリと揃っていますね。ここは1枠拡大して5人にしましょう。中でもペトロヴィッチが少し抜けている気がするのですが、他の日本人候補も多いので、今回は省きます。迷いますが、最終候補は3人。伊藤敦樹、細貝萌、堀孝史。そしてこの中から、今回は和製稲本潤一こと、伊藤を選びたいと思います。幼少期から生粋の浦和サポで、数多の浦和レッズ選手のサインをコレクションしているという伊藤を、30年間の代表的ボランチに選出しました。これからのレッズを支える『未来枠』の意味も込めて。


阿部勇樹 178センチ77キロ 590試合75得点 浦和通算376試合39得点

伊藤敦樹 183センチ78キロ 浦和通算64試合5得点

遠藤航 178センチ76キロ 127試合13得点 浦和通算73試合5得点

鈴木啓太 177センチ72キロ 浦和通算379試合10得点

長谷部誠 180センチ73キロ 浦和通算149試合12得点


 次は攻撃的MFです。この枠は4から5になります。確定選手はポンテ、柏木陽介の2人で、残りは2人ないし3人です。それでは候補選手を挙げていきます。バイン、ベギリスタイン、マルティノス、モーベルグ、ルンメニゲ、礒貝洋光、梅崎司、江坂任、関根貴大、長澤和輝、原口元気、広瀬治、山田直輝。ここも豪華なメンバーが揃っていますね。外国人選手でポンテが入っていますが、もう1人、ここではバインも選出したいと思います。日本人選手では、浦和の下部育ちの選手が3人います。関根貴大、原口元気、山田直輝、この中から1人選ぼうと思います。山田は浦和での出場数が少ないので省き、関根と原口の一騎打ち。原口に軍配が上がります。もう1枠選ぶとしたら、梅崎司か山瀬功治でしょう。ここは一旦保留しておきます。


(確定)

バイン 178センチ69キロ 浦和通算68試合25得点

ポンテ 170センチ70キロ 浦和通算143試合33得点

柏木陽介 176センチ73キロ 392試合56得点 浦和通算311試合42得点

原口元気 179センチ72キロ 浦和通算167試合33得点


(保留)

梅崎司 169センチ68キロ 307試合36得点 浦和通算200試合25得点

山瀬功治 175センチ73キロ 288試合58得点 浦和通算42試合11得点


 最後はFWです。枠は5から6で、使えない選手はエメルソン、ワシントン、高原直泰、李忠成の4人です。確定選手は2人います。興梠慎三と福田正博です。残りの空き枠は3から4になります。それでは候補選手を挙げていきましょう。エジミウソン、トゥット (ツゥットと同一人物)、ファブリシオ、ユンカー、レオナルド、池田伸康、大柴健二、田中達也、永井雄一郎、福永泰、水内猛、武藤雄樹。外国人助っ人と日本人選手を、それぞれ1人か2人といったところでしょうか。この中で一人、確定したい選手がいます。武藤雄樹です。理由は、自分と同姓同名だから! (関係ない)日本人選手では、田中達也と永井雄一郎が有力候補になりますので、保留しておきます。あとは外国人選手です。この中から、エジミウソンを確定し、ユンカーを保留しておこうと思います。


(確定)

エジミウソン 183センチ87キロ 236試合111得点 得点率0.470

       浦和通算110試合47得点 得点率0.427

興梠慎三 175センチ72キロ 480試合163得点 得点率0.339

     浦和通算267試合109得点 得点率0.408

福田正博 176センチ68キロ

     浦和通算228試合93得点 得点率0.407

武藤雄樹 170センチ68キロ 298試合54得点 得点率0.181

     浦和通算196試合41得点 得点率0.209


(保留)

ユンカー 186センチ73キロ

     浦和通算42試合16得点 得点率0.380

田中達也 167センチ62キロ 334試合66得点 得点率0.197

     浦和通算233試合56得点 得点率0.240

永井雄一郎 184センチ75キロ 289試合52得点 得点率0.179

      浦和通算278試合63得点 得点率0.226


 ここまでの選抜メンバーは以下の通りです。確定選手が23人、保留してある残り空き枠が3です。


GK:田北雄気 都築龍太 西川周作

SB:宇賀神友弥 橋岡大樹 平川忠亮 山田暢久

CB:ショルツ 坪井慶介 槙野智章

(保留)岩波拓也 内舘秀樹 那須大亮 堀之内聖

守備的MF:阿部勇樹 伊藤敦樹 遠藤航 鈴木啓太 長谷部誠

攻撃的MF:バイン ポンテ 柏木陽介 原口元気

(保留)梅崎司 山瀬功治

FW:エジミウソン 興梠慎三 福田正博 武藤雄樹

(保留)ユンカー 田中達也 永井雄一郎


 CBは1枚足りていませんので、追加します。1枠か2枠という事でしたが、2人だと空き枠が足りませんので、1人だけです。そうなるとユーティリティ選手より守備力重視が良いでしょうか。岩波拓也か那須大亮の二択、独断と偏見により那須を選択します。これで24人、残りは2枠です。攻撃的MFとFWに1人ずつか、FWで2人か。攻撃的MFは、外国人助っ人もいますし、十分足りていると考えて、今回はFWで2枚追加しようと思います。そうなると外国人助っ人ユンカーは確定で、最後は田中達也と永井雄一郎の一騎打ち。両者ともにドリブラーで日本代表経験もある選手、浦和での実績も大差ありません。非常に難しいです。若干ですが、得点力の高い田中を最後の選手として選抜、これで26人が確定しました。


GK:田北雄気 都築龍太 西川周作

SB:宇賀神友弥 橋岡大樹 平川忠亮 山田暢久

CB:ショルツ 坪井慶介 那須大亮 槙野智章

守備的MF:阿部勇樹 伊藤敦樹 遠藤航 鈴木啓太 長谷部誠

攻撃的MF:バイン ポンテ 柏木陽介 原口元気

FW:エジミウソン ユンカー 興梠慎三 田中達也 福田正博 武藤雄樹


 この中から、ベストイレブンを発表します。フォーメーションは4-4-2です。GKは西川周作。右SBに山田暢久、左SBに宇賀神友弥。CBにショルツと坪井慶介。守備的MFに阿部勇樹と長谷部誠。攻撃的MFにポンテと柏木陽介。ツートップは興梠慎三と福田正博です。


   (フォメ―ション 4-4-2)


     福田正博    興梠慎三

  ポンテ           柏木陽介

     阿部勇樹    長谷部誠

宇賀神友弥 ショルツ  坪井慶介 山田暢久

         西川周作




B、今シーズン2023年の浦和レッズ


 最後になりますが、本年2023年、Jリーグが開幕するにあたって、浦和レッズの陣容からシーズンの行方を占います。なお昨シーズン2022年の成績は、全18チーム中9位でした。今年から監督がマチェイ・スコルジャに代わり、どのようなサッカーを目指すかは不明です。選手の陣容は、新戦力としてCBにマリウス・ホイブラーテン、FWにレンタル中だった興梠慎三が復帰した以外、大きな補強はありません。逆に移籍した選手では、ユンカー、江坂任、松尾佑介が昨シーズンまでの主力級の選手でした。岩波拓也の海外移籍の話もありましたが、立ち消えになったようです。


 チームの戦力を、それぞれのポジションごとにA、B、Cの大きく3段階で評価します。A評価は、Jリーグの中で優勝を狙える選手、戦力です。18チーム中、上位4チーム辺りと考えて下さい。逆にC評価は、降格争いをする下位4チーム辺りです。それ以外、優勝争いも降格争いも関係ない、Jリーグの平均的戦力がB評価で、B評価の中にはB+とB-を設けます。リーグ中央の10チーム中、上3チーム辺り、場合によっては優勝争いをするレベルがB+で、下3チーム辺り、場合によっては降格争いがB-になります。個々の選手評価としても同等で、J1リーグの平均的選手がB評価になります。


※忖度は一切なし。評価についてもガチでやりますので、ファン目線での甘いコメントはしません。

※個人の感想です。


 では、まずはGKから見ていきましょう。絶対的守護神、西川周作はA評価です。36歳のベテランではありますが、まだまだ衰えは見えません。やや小柄ながら、鋭い反応でゴールを守ります。特に相手と1対1になった時や至近距離からのシュート対応、反応に優れ、指先や足のつま先でギリギリコースを変えてゴールを守ったシーンを、何度も目にしてきました。Jリーグの中で、明確に「西川より上だ」と言えるGKはいません。新監督になって、突然正GKの変更を行う可能性は否定できませんが、西川が守る限りAです。控えのGKには、浦和下部育ちの鈴木彩艶がいますが、経験も実績もまだまだ足りていません。特にハイボール処理が不安定で、失点に直結するミスを何度も犯しています。現在はカップ戦の方で経験を積んでおり、いずれは西川と交代する日が来ると思いますが、まだ先でしょう。仮に鈴木が守る場合、まだJ1リーグ守護神の力量はない、C評価になります。

GK ・・・ A評価


 DF陣を見ていきましょう。SBには、日本を代表する酒井宏樹がいます。間違いなくA評価です。攻守両面において文句なしです。年齢的なものやケガの影響もあり、昨シーズンは欠場する試合が多く、酒井が出られるかどうかでチーム全体の評価も大きく変わってきます。他の選手では、馬渡和彰はJリーグの中でも安定している選手でしょう。キックの精度が高く、攻撃時の武器にもなりますし、守備も危なげなくこなします。B評価です。右に酒井、左に馬渡でシーズン通して戦えるのであれば、SBはB+の評価を付けられます。先に述べたように、酒井が出られず、右に馬渡を使う場合には、左に他の選手を起用しなければいけません。その場合は大畑歩夢か明本孝浩になるでしょうか。大畑はJリーグの中で見ても最下層です。昨シーズン、大畑の売りである守備面も不安定でしたし、攻撃面は元から期待されておらず、攻撃参加はほぼありません。まだ若く、経験を積めばいずれ化ける可能性はありますが、現段階ではC評価になります。明本は運動量があり、局面局面での強さ、空中戦にも強い選手ですが、本職SBではないため、攻撃でも守備でも粗削りです。B-の評価です。右に馬渡、左に大畑の場合は総合評価B-です。右に馬渡、左に明本の場合は総合評価Bです。やはり、酒井がどれだけ出られるかにかかっています。

SB ・・・ B+評価


 CBでは、Jリーグ屈指のディフェンダー、ショルツがいます。ショルツ個人はA評価です。今の浦和レッズの守備の要であり、ショルツがいるかいないか、またはコンディション次第で、守備の安定度は大きく変わってしまいます。中央で守った際の強さは言うに及ばず。サイドまで広くカバーに向かう速さと正確さもあります。更にはドリブルで持ち上がって攻撃参加し、自ら点まで取ってしまいます。Jリーグ全体を見回しても、ショルツを超える選手はなかなかいません。ショルツとコンビを組む選手は、岩波拓也になるのか、新戦力のホイブラーテンになるのか分かりません。特にホイブラーテンの場合、全くの未知数ですので、評価はなしです。岩波の場合はB評価になります。高さと強さはJリーグの中でも上位、B+でも良いのですが、安定感と集中力に欠け、あっさり失点してしまう場面が散見されます。そこをショルツがカバーできている範囲においては、総合でB+を付けて良いと思います。他には浦和加入後に大ケガをして、昨年一年間棒に振った犬飼智也もいますが、コンディション面と年齢的なものも考えれば、もうJ1で主力としての活躍を見込むのは厳しいでしょうか。C評価にしておきます。

CB ・・・ B+評価


 GKも含めたDF陣の総合的な評価は、ベストメンバーを組めるのであればAになります。守備面だけで言えば、Jリーグ屈指、優勝争いするレベルです。

守備 ・・・ A評価 (西川A、酒井A、岩波B、ショルツA、馬渡B)


 それでは中盤に移ります。例によって攻撃的、守備的で分けて考えていきます。守備的MFでは、伊藤敦樹が軸になると思います。大卒で今年3年目の24歳、一番良い年齢です。大柄な体を活かしたダイナミックな守備と攻撃参加が持ち味で、Jリーグでよく見る「遅らせる守備」ではなく、海外のサッカーのような「奪い取る守備」が出来る選手です。攻撃面でも、FWを追い越してペナルティエリアの中まで侵入し、フィニッシュも出来ます。阿部勇樹のように、長く正確なボールでサイドのスペースを一気に突く、といったプレーは足りませんので、中盤の底からゲームを作る司令塔役にはなれませんが、Jリーグの中でも上位のB+評価です。問題は中盤の底を組む相方です。残念ながら今の浦和に、伊藤を活かせるボランチのコンビはいません。昨シーズンまでは岩尾憲がスタメン、司令塔役として出場しましたが、J1リーグでは力不足です。セットプレーのキッカー役も務めていましたが、ほぼ得点には結びついておらず、守備面でもフィジカル負けしてあっさり抜かれる、置いて行かれる、といったシーンが目立ちました。評価はCです。他の選手も帯に短し襷に長しです。柴戸海は守備極振りの選手で、中盤広いスペースをカバーしながらボール保持者にプレスをかける、サイドへ追い込んでいくといったプレーは得意なのですが、攻撃面では全く良いところがありません。守備だけならB+、攻撃はC、総合でBです。平野佑一は無難な選手で、あまり特徴がありません。攻撃も守備も、そこそここなしますが、司令塔役としては足りず、かといって守備でもそこまで目立って活躍する選手ではありません。B-の評価です。司令塔役として使うのであれば、小泉佳穂も考えられます。豊富な運動量が武器の選手で、浦和にいた柏木陽介と同じタイプの選手です。柏木と比べてしまうと、キック、パスの精度や得点力、攻守にわたる献身性や貢献度など、全て一回りも二回りも劣る選手で、最近まで柏木を見てきたサポーターとしては、見ていられないと言いますか、残念過ぎる選手といった印象です。現有戦力の中では、小泉に頼らざるを得ませんので、ボランチで柏木がやっていた仕事を任せるのも一つの方法です。柏木ならA評価なのですが、小泉は二回りほど下がってB-の評価です。伊藤を軸に、司令塔役として岩尾か小泉か平野か。これで前半リードをする展開になれば、後半からは柴戸で締める勝ちパターンが出来ます。このパターンにはまれば守備的なMFはB+になります。しかしそう上手くはいかないでしょうから、最終的な評価は並です。

守備的MF ・・・ B評価


 攻撃的MFでは、背番号10のモーベルグが頼りです。右サイドのドリブラーで、切り込んでの左足を得意としています。左足の精度、得点力が高く、チャンスメイクも出来ますので、間違いなく攻撃の軸になります。評価はB+です。左サイドのMFには主に関根が入るでしょうか。運動量とスピードのあるドリブラーです。海外挑戦前は特に良いプレーをしていましたが、海外でケガをして挑戦を断念、J復帰後もコンディションがもう一つ上がりません。特に帰国後は得点力が落ちて、攻撃の選手ながらシーズン1点か2点程度しか取れなくなってしまいました。今の関根はB-です。その他の候補としては、先述の明本、小泉が入ります。どちらも攻撃的MFとしては関根と大差なく、B-の評価です。大久保智明も候補の一人で、ドリブラーです。ただモーベルグ、関根より、更に序列は下になり、評価としては同じB-です。モーベルグともう一人、誰が組んでも総合評価はBになります。

攻撃的MF ・・・ B評価


 江坂が抜けて、司令塔役をこなせる選手がいなくなってしまったのは、浦和にとって大きな痛手です。高卒ルーキーで浦和に加入し、レンタル中の武田英寿もいるのですが、まだ戻す気はないようですし、他に選手が見当たりません。司令塔のポジションが埋まりさえすれば、浦和はチームとして一気に良くなりそうなのですが・・・現在のところ、J1でごく普通の戦力です。

中盤 ・・・ B評価 (伊藤B+、岩尾C、モーベルグB+、関根B-)


 因みに、司令塔役の候補として1つ不確定情報もあります。もし実現すれば、浦和の攻撃力が大きく上昇する可能性もあります。ソースは以下。


浦和移籍・スコルジャ監督と再会熱望?レフ・ポズナン所属MFに確執報道 (エキサイトニュース)

www.excite.co.jp/news/article/FOOTBALLTRIBE_262134262134/


 FWに移りましょう。ワントップかツートップか、新監督の戦術が分かりません。一応、ツートップでやるものとして考えます。浦和に復帰した興梠慎三は、36歳になって年齢的な衰えが顕著です。昨シーズンのレンタル先、札幌でも5得点しか挙げられませんでした。今年は更に年齢を重ね、正直、もうJ1でのプレーは厳しくなってきていると思います。C評価です。ユンカーが抜けましたが、他に外国人助っ人が2人います。一人目はシャルク。昨シーズンはFWではなく、中盤の左でプレーする機会が多かったと思います。今年も同じ使われ方をするか、FW起用かは分かりません。スピードや技術はそこまで高くないのですが、シュートが強烈で精度もあります。シャルクに良い形でシュートを打たせる事が出来れば、得点を量産する可能性があります。しかし先述の通り、今の浦和は司令塔、パサーが不足しています。岩尾か小泉が、良いパスをどれだけ供給出来るかによって、シャルクが2桁取れるかどうかも変わってきそうです。評価はBです。二人目はリンセンですが、昨シーズン浦和加入後にケガをして、復帰したのがシーズン終了間際でした。プレーをほぼ見ていないので、評価はなしです。FWではあと一人、髙橋利樹をJ2から獲得しています。J2では14得点を挙げたようですので、それなりの得点力はあるのかなと思いますが、やはり詳細不明で評価はありません。FWの総合評価はB-です。

FW ・・・ B-評価 (シャルクB、興梠C)


 最後に、総合評価です。詳細不明の選手が数名、スタメンになる可能性があり、評価は変わるかも知れません。ただ司令塔不在は変わらず、攻撃面が劇的に良くなる可能性は高くありません。守備は安定していますので、今年の浦和は昨シーズンと同じか、その前後に落ち着くのではないか、という最終的な評価をして終わります。

総合評価 ・・・ B評価 (西川A、酒井A、岩波B、ショルツA、馬渡B、伊藤B+、岩尾C、モーベルグB+、関根B-、シャルクB、興梠C)

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サッカーコラム Jリーグ30周年を終えて 武藤勇城 @k-d-k-w-yoro

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