第14話

前で感じないなら、後ろの穴がある。


そこを使うの?一美ちゃんの行動は、ずっと迷ってはいたんだろうけど傍目には早かった。BLマンガか夜中に健斗とひやかしに見たドンキで見たような、

アナルグッズ。

一美ちゃん。


一美ちゃん。一美ちゃんはちゃんと生きてるよ。そんなに快感が、気持ちいいのが失くなったのがショック?


座り込んでおもちゃを前にする彼に、肩に手を添え、顔を覗き込む。

とても優しい顔をしていた。


不感症について調べてみた。でも、医者には。いつもの心療内科の先生には相談したけど、ダメだ、あの先生は。男性はどこに相談すればいいのかも調べた。でも、多分駄目な気がする。だから、新しい方法を考えついた。


つまりまったく新しい器官で快感を得られるか試す。


指なら入るかとお風呂で試してみたんだけど、ワクワクしたんだ。だから。


ピンクの可愛らしい、コントローラーと、これまた可愛らしい丸。玉のついた専用のおもちゃを持って小笹一美は目を輝かせている。


ねえ、聞いていい?


ずっと入院中の3人の会話からもしかしたらと思っていた質問をする。


一美ちゃんはおとこのこ?それともおんなのこ? 

あとね、好きになるならどっち?一美ちゃんはもう大丈夫だと思う。わたし。


じぶんは、にんげんぜんぶが好きだよ。


明鏡止水、小笹一美はじぶんがバイセクシャルで生きていけることを確信した。

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