第17話 岡山到着。モーニングの珈琲にありつけて

 いったんパンタ下の寝台に戻った堀田氏、ベッドで上半身を起こして身支度を整えた。ここに来てこの寝台、高さがある分、ゆったりと着替えなどができる。


 列車は庭瀬駅に差し掛かる。

 そのとき、再び鉄道唱歌のオルゴールが鳴り響いた。


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 最後の案内放送が始まった。定刻で岡山到着の予定。

 各方面への列車の接続案内が始まる。

 新幹線は7時5分発のひかり54号東京行が、この列車の接続列車。東京着は11時35分。ちなみに最速列車のうちの1本でもある6時40分発のひかり2号は6時40分発。いかんせん、接続時間が3分では間に合わない。

 あとは、各在来線の接続列車が淡々と案内される。貨物駅と操車場の端を通過し終える頃には案内放送も終り、最後のオルゴールが流された。


・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・ ・


 列車は定刻の6時37分、岡山に到着した。

 新幹線の乗換口に向けて、陸橋を渡っていくビジネスマン多数。

 しかし、岡山に戻るまでの堀田氏は、陸橋を渡らなくてもよい。地下をくぐって岡山駅東口の地下改札から街中に出ようとした。


 三番街にある喫茶店は、朝から開店している。

 とりあえず、珈琲を飲もう。ついでに、モーニングでも食べられれば。

 そう思って、その喫茶店に入った。彼にとっては行きつけの店でもある。

 知ったウエイトレスに、いらっしゃいませと声を掛けられた。


「堀田先生、お疲れ様です。あちらに、山藤さんが来られています」

 ウエイトレスが示した先には、20年来の知人である山藤豊作氏がいた。

「それじゃあ、モーニングをアイス珈琲で」

 注文をさっさと済ませ、知人のいるテーブルへと向かった。


「おお、堀田先生、お疲れ様でした。今、お帰りかな?」

「はい。ようやく博多の街から解放されました。それでは、大尉殿、こちらが戦利品の明太子であります」

 堀田氏は、博多土産を年長の友人に手渡した。


 アイスコーヒーとモーニングのセットを、先程のウエイトレスが運んできた。

 珈琲をすすりつつモーニングを軽く食べ終えた頃を見計らって、山藤氏は堀田氏に尋ねた。

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