第7話 広島で客も乗務員も入替り、さらに列車は西へ。
福山では、若干の降車客と乗車客が発生する。
備後赤坂、松永と通過してしばらくすると、瀬戸の海が見えてくる。
海の向いの向島には、造船所もある。
古ぼけた町中をすり抜けるように、列車は尾道に到着。
ここでいくらか降車客がみられるが、乗車客はさほどでもない。
ビジネスで動くには中途半端な時間であるし、特急列車で通勤するにも、いささか時間帯がずれているから、これは仕方ない(注:当時は在来線とはいえ特急列車で通勤する客は殆どいなかったし、定期券の特急利用設定もなかった)。
やがて列車は糸崎と三原を通過。この三原もまた、港町。駅前からは、近隣諸島に向うフェリーも出ている。ここから、呉線が分岐。
海側は呉線に任せ、山陽本線は、山間へ向う。
本郷、河内と、列車はさらに陸地へと入っていく。かつて東映が作成したブルートレイン化されて間もない特急「さくら」号を舞台にした映画「大いなる驀進」の舞台となった舟木隧道を超え、列車はどんどん山間へ。
数か月前近隣町村を合併して東広島市となった酒の町・西条を通過した列車は、かのセノハチと呼ばれる峠を滑走しつつ下る。
海田市、向洋を軽々通過し、車両基地の間をすり抜け、広島到着。
まだ朝の9時30分過ぎである。
かなりの乗車客と降車客の入替えが、広島では発生する。
3分間の停車の間に、乗務員の交代が行われる。
運転士はもちろん、列車によっては車掌もここで交代する。
なお、この「つばめ」を担当するのは、広島車掌区の車掌たちである。
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広島を出発した列車内に、再び、鉄道唱歌のオルゴールが流れる。
どうやら、広島で車掌が交代した模様。広島を定刻で出発した旨の事実報告の後、岩国以西の停車駅と予定到着時刻の案内、それに加えて全車両の案内がなされる。
再度オルゴールが流れて間もなく、再び、日本食堂の案内。
食事時間帯のはざまであるし、客も相違ないこともあって、案内に余念のなささえ感じさせられる。
瀬戸の海とはここからも適度な距離感を維持しつつ、列車は九州へとひた走る。
一部停車する特急列車もあるが、宮島への窓口・宮島口は通過する。
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