第301話 イベントの結果
▽第三百一話 イベントの結果
イベントから数日後。
まだアトリは目を覚ましません。
かなりの消耗を押し切って、最後にトドメの【
数日ほど【理想のアトリエ】で待機しました。
その間にやっていたことはゴーレム制作でした。
なんと。
あの成長クランイベントにて一位を獲得したので、最上級ゴーレムコアが手に入ったのです。今までたくさんのゴーレムコアを錬成しては破壊してきたセックが、珍しく膝を抱えて「わたくしは完璧なのに……わたくしは完璧なのに……わたくしは悲しい、ガチで」と絶望しておりました。
完璧な絶望でしたね。
さて、生みだしたのは巨大ゴーレム……ではありません。
頑張ったのですけれど、オリハルコンの量が不足している問題はどうしようもありません。他のクランメンバーの報酬分を奪えばどうにかなりましたが、さすがにできませんしね。
生みだしたのは三メートル規模のオリハルコンゴーレムでした。
あえて人っぽく造形せず、如何にもなゴーレムの造形とさせていただきました。とても強そう。
セックとは異なり戦闘特化。
とはいえ、神器化しなければ「ちょっとした強者」くらいに落ち着くでしょう。いえ、耐久が段違いですけどね。
最低でもオリハルコンを砕けぬレベルでは傷ひとつ負いません。
コンセプトは「絶対に雑魚許さないマン」です。
名前【ロプト】 性別【無】
レベル【70】 種族【ハイ・オリハルコンゴーレム】 ジョブ【上級人造兵】
魔法【鉱石魔法70】
生産【ゴーレム制作70】
スキル【剛力】【暗器術70】【器用補正】
【鉄壁70】【強化装甲】
【射撃術70】【再生】
ステータス 攻撃【560】 魔法攻撃【210】
耐久【700】 敏捷【140】
幸運【140】
称号【最上級殺戮ゴーレム】
固有スキル【フルカスタム・フルバースト】
こういう感じになりました。
基本的にはシンプルなゴーレムとして殴る蹴るです。が、肉体に仕込んだ武器によって戦わせることも可能です。
銃器類ですね。
このゲームでの銃はあまり強くありませんけれど、それでもやはり銃撃させたい気分でした。べつに趣味なので強さは求めていませんしね。
硬い装甲を駆使し、攻撃されながらも延々と銃弾をばらまくシステムを目指しました。
ちなみに弾は【鉱石魔法】で生みだした特殊鉱石たちです。この魔法はけっこうなレアなのですけれど、上手く発現してくれたようですね。
素材が良かったのでしょう。
固有スキルまでついてきました。……セックが無言で頬を膨らませております。
ロプトが起動します。
オリハルコン色(水色っぽいですね)の肉体の中、唯一、眼の信号だけが激烈な赤です。ぎくしゃく、とした動作。
これはいずれ【最上級殺戮ゴーレム】の学習効果で改善されていきます。
セックもそうでしたしね。
起き上がったロプトが機械音じみた声で言います。
『ごきげんよう、皆様。我が輩は殺戮専用兵器ゴーレム・ロプトと申します。以後、お見知りおきのほどを』
「否。貴方は完璧なわたくしの後輩型ゴーレム・ロプトです」
『セック殿。貴女はしょせんは前世紀の遺物に過ぎません。現に我が輩には初期から高い知能があり、固有スキルまで所有しております』
セックが襲いかかりました。
神器化しており、なおかつ戦闘も生産もバッチリこなせるようにスキルガチ振りのセックでした。一方的にロプトに勝ってしまいます。
膝を屈するロプト。
『な、なんという。我が輩は殺戮専用上級ゴーレムのはず……!? エラーエラーエラー。何故、メイドゴーレムに勝てぬ。意味不意味不意味不』
「それはじん――」
「それは貴方が完璧ではないからです。わたくしはすべてを望まれて創造された。対して貴方に求められたのは力だけ。その差は歴然です」
私が「それは神器化してるからでしょう」と応えるよりも早く、セックが暴論を放ちました。まあ、完璧に間違っているわけではありません。
私にとってロプトは遊びで作ったもの。
セックはガチガチに作ったもの。この差がありますからね。本気でスキル構成を組むのでしたら、絶対に【射撃術】と【暗器術】は入れませんでした。
それでもここまで差がついたのは神器化の有無ですが。
はっ、とロプトが起き上がりました。
『我が輩は……欠陥品?』
「否。完璧なわたくしの後輩なのです。貴方もわたくしのもとで励めば、やがて完璧に届きうるでしょう。何故ならば、完璧なわたくしの後輩型ゴーレムなのですから」
『わ、我が輩は……後輩型ゴーレム……だった、のか!』
こうして後輩型ゴーレム・ロプトが誕生しました。なんと後輩機能のついでに殺戮もできるようです。
私は作ったら満足したのでもうどうにでもなーれです。
▽
後日。
動画でロプトを紹介したところ、格好良いというコメントをたくさん頂きました。ですが、一部の過激派からは「ロボットを喋らせるな!」と非難囂々。
そのようなマナーがあったとは。
あとマントを着せるか、翼を生やすか、何もつけないかでの論争も起こったようでした。それについては何もつけない一択です。
そういう風にデザインしていませんからね。
▽
ようやくアトリが目を覚ましました。
私やセック、たくさんのゴーレムたちとロプトがお出迎えします。新顔の登場(私はゴーレムは美男美女。美女・美少女多めの割合で作りますからね)にやや驚いているようです。
魔教のオリバーが作るようなゴーレムに似ていますから。
まあ造形については私が遙かに勝ちでしょう。そこについてはネットでももっぱら噂であり、ほとんど一色でこんなに凄いデザインなんて、次のアニメのロボットデザインはネロに任せるべき、とのコメントもちょうだいしております。
「かみさま……」
目を覚ましたアトリは初手で、私に手を伸ばしてきました。なんとなく近づいてみたところ、そのまま抱き締められ、布団に連れ去られてしまいます。
私は【ダーク・リージョン】で脱出し、アトリを連れて食堂へ向かいました。
「気づいていますか、アトリ」
「何を。ですか?」
「かなりレベルが上がっていますよ」
今のアトリはこうなっております。
名前【アトリ】 性別【女性】
レベル【97】 種族【ハイ・ヒューマン】 ジョブ【大聖女】
魔法【閃光魔法94】【光魔法98】
生産【造園99】
スキル【孤独耐性96】【鎌術98】【口寄せ90】
【詠唱延長84】【月光鎌術90】
【天使の因子87】【狂化】【聖女の息吹】
【光属性超強化82】
ステータス 攻撃【258】 魔法攻撃【797】
耐久【483】 敏捷【749】
幸運【646】
称号【死を振りまく者】
固有スキル【殺生刃】【勇者】
【
そう。
かなりレベルが上昇しているのです。
スキルレベルもアップに次ぐアップであっぷあぷですね。
カラミティー討伐について、かなりの貢献度を誇ったがゆえでしょう。凄まじいレベルアップ。これはもうあと一匹くらいカラミティーを倒せばカンストも見えてくることでしょう。
そんな簡単に倒せる敵ではありませんし、なるべく相対したくありませんけれど。
本当は年単位で上げる領域ですからね、レベル90台って。
ともかく、私たちにとってはかなり有用なイベントでした。
他のクランメンバーについても同様でしょう。カラミティー討伐の報酬に固有スキルをもらった人もいましたしね。
一番の報酬はクランスキルでした。
なんと全員が揃った状態で、一ヶ月に一度だけクランスキルが発動できるようになりました。現在、発動させているクランスキルは「経験値上昇」です。
効果量はそこそこ。
ないよりはあったほうがよろしいでしょう。
「さて、アトリ。未取得のアーツを獲っていきましょうか。神偽体術も新しく手に入りますよ」
「頑張る。ですっ!」
―――――――――
作者からの言い訳です。
私は書く事柄はちょっとは調べたりして、ちょっとは雰囲気を掴んでから書いているつもりなのですけれど、ロボ系についてはまったく知識がございません。
なんとなーく友人が喋っていた「マント派翼派みたいなのがあったなあ」「これはロボ、これはロボじゃないみたいな話があったなあ」みたいなふんわり知識で書いております。
なかったなら申し訳ございません。
ちなみに造形で好きなのはモビルスーツではありますがクシャトリヤです。どのような活躍をしたのかも知らないのですが格好良く思いプラモデルを買って飾っております。
何がお好きですか、造形。
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