第67話 新たなテイムモンスター

第六十七話 新たなテイムモンスター

 レイドボスを前に、私たちは自分たちのステータスを確認することにしました。


 ゲヘナを討伐したことにより、少しだけステータスも上がっております。


名前【ネロ】 性別【男性】

 レベル【56】 種族【ダーク・スピリット】

 魔法【闇魔法61】

 生産【錬金術30】

 スキル【再生43】【鑑定19】

    【クリエイト・ダーク61】【ダーク・オーラ40】

    【敵耐性減少】【アイテムボックス17】

    【逆境強化】【致命回避】【敏捷強化23】

 ステータス 攻撃【280】 魔法攻撃【280】

       耐久【280】 敏捷【280】

       幸運【280】

 称号【偽る神の声】

 固有スキル【神威顕現】


 今の私はこういう感じですね。

 新取得したスキルは【敏捷強化】でした。速度負けはしんどいです。パーティプレイ前提ならば、他のキャラクターに任せて攻撃に特化もありですが。

 ソロなら敏捷負けは厳しいです。

 最低限、誰とでも戦えるようにしたいところです。


 また、運営からのお節介により、固有スキル【神威顕現】を覚えました。このスキルは大きな代償を払えば、代わりに30秒間、超強化された状況で顕現できるそうです。


 あらゆる意味で切り札でしょう。


 次はアトリです。


名前【アトリ】 性別【女性】

 レベル【58】 種族【ハイ・ヒューマン】 ジョブ【使徒】

 魔法【閃光魔法43】【光魔法67】

 生産【造園47】

 スキル【孤独耐性59】【鎌術68】【口寄せ43】

    【神楽57】【詠唱延長40】【月光鎌術44】

    【天使の因子28】

 ステータス 攻撃【170】 魔法攻撃【439】

       耐久【317】 敏捷【437】

       幸運【382】

 称号【大罪・親殺し】

 固有スキル【殺生刃】


 順当に成長しているようです。

 レベル50以降は一気に効率が渋くなりますが、それでも十分な成長速度でしょう。


「前回よりも強くなっておりますし、【死を満たす影】のライフストックも完全。イケそうな気がしております」

「はい!」

「いざとなれば【神威顕現】もありますしね」

「!! !! !!」


 アトリがうずうずしております。

 私が【顕現】を使えるようになったことは白状済みです。

 代償が大きいらしいので使うつもりはありませんが。アトリもあえてピンチになって使わせよう、とか企むタイプではありません。


 行きましょう。


 我々はレイドボスのフィールドに突入して――直後に背後から奇襲を受けました。


       ▽

「あ。私の【弱蔦犬】がやられましたね」


 背後から襲いかかってきたのは、突如として出現した大量の蔦犬です。その犬たちはあっという間に【弱蔦犬】を喰い漁りました。

 シヲがモード・クラーケンとなって蔦犬どもを堰き止めます。


「これでロストしていったのでしょうかね」

「どうするですか、神様! 【顕現】です、か?」

「いえいえ、ふつうに新モンスターですよ」

「はいです……来い、ロゥロ」


 アトリが呼び出したのは、【口寄せ】スキルの新アーツによって契約した妖怪です。さすがに攻撃能力皆無のモンスターだけでは良くないだろう、と入手した魔物ですね。


『ガラらららららら』


 出現したのは五階建てのアパートサイズの、巨大なドクロでした。下半身はないようで地面に埋まっております。

 超巨大なボスでした。

 一応、ステータスを確認しておきましょう。


名前【ロゥロ】 性別【不明】

 レベル【48】 種族【がしゃどくろ】 ジョブ【デスペラート】

 魔法【無属性魔法0】

 生産【石像1】

 スキル【暴力補正】【攻撃上昇48】【握撃】

    【アンデッド補正】【浄化耐性】

    【破壊術38】

 ステータス 攻撃【720】 魔法攻撃【0】

       耐久【0】 敏捷【240】

       幸運【240】

称号【亡者の群衆体】


 カタコンベでレベリングをしていましたら、不意に出現したボスでした。検証班の(笑)さん曰く、フィールドを刈り尽くせば出現するレアボスがいるとのころ。

 がしゃどくろはソレでした。

 見るからに妖怪なので使役した次第。


「潰せ」


 アトリの指示に従い、がしゃどくろのロゥロが腕を振り払います。数メートルはある、巨大な腕骨棍棒が蔦犬たちを一掃します。

 机の上のゴミを手で払うような勢い。

 ですが、成果は歴然でした。あっという間に蔦犬たちがグチャグチャになります。


『ガラららら!』


 ロゥロは払い潰した蔦犬に向け、何度も拳を叩き付けていきます。ディナーを待ちわびた子どもが、ナイフとフォークを手に机を叩くような動作です。

 蔦がスリ潰れていきます。


 ちょっと制御が効かない子です。


「アトリ、ロゥロに邪世界樹を狙わせてください」

「狙え」


 ロゥロが巨体を揺らし、邪世界樹に近づいていきます。下半身のないロゥロは、しかし、地面に手を突いて這うように近づきます。

 ロゥロが邪世界樹を打撃しました。


 どがん、という爆音。


 見上げるような高さの邪世界樹が、折れてしまうのではないか、というレベルで傾ぎます。


 対する邪世界樹は枝を鞭のように振るいます。

 ロゥロは鞭に打たれた瞬間、呆気なくその身を破壊されてしまいました。彼の頑強度は目も当てられません。


 ロゥロが稼いだ時間により、アトリはすでに到着しております。


「【月天喰がってんぐらい】」


 月光鎌術のアクティブアーツ【月天喰】を起動します。光を纏わせた、高火力のシンプルな一撃です。

 もちろん、そこには【殺生刃】も付与されております。


 180%の【殺生刃】の付与された一撃が、邪世界樹の根を強打します。同時に起動していた【奪命刃】でHPが全回復しました。

 乱舞です。

 アトリが目にも止まらぬ勢いで、大鎌を振るっていきます。


『愚かな人類よ! 我を恐れよ! 我を畏怖せよ! 我はかつての、六百年前の我ではない! 其方らに奪われた、枝を、葉を、果実を、我は!』


 邪世界樹がフレーバーを叫び、その肉体を激しく揺らし始めます。無数の林檎が落下してきて、アトリたちを爆撃し始めます。

 シヲが瞬時に肉体を展開、アトリを爆撃から守護します。


「続ける! です!」

「鞭が来ます。気をつけてください」

「! うん!」


 林檎爆撃だけでなく、蔦による鞭が放たれます。

 まるで蛇のような軌道で放たれる鞭は、おそらく何かしらのアクティブアーツが付与されているようです。


「……」


 アトリは一瞬、鞭のほうを睨みます。

 しかし、太い枝の速度を観察し、彼女は回避を断念したようです。構わずに幹に斬撃を放っていきます。


 枝がアトリに直撃しました。


 吹き飛ばされながらも、アトリは淡々と【閃光魔法】を乱射しています。

 メインであろう翁の果実に、【スナイプ・ライトニング】が直撃しました。苦悶の呻きをあげながらも、邪世界樹が枝で追撃を放ってきました。


 ですが、先にシヲがアトリを捕まえ、翁の果実付近にアトリを投げ飛ばします。


「――おわり」


 すでにアトリは【再生】と【リジェネ】で全回復しております。得たHPを【殺生刃】に注ぎ込み、メインの果実に迫ります。


「【玉兎の伐ぎょくとのばつ】」


 かつてを再現するように――アトリの回転が始まりました。


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