ア・リウム
@Cholsugi
第1話 出会い
ずっと1人だった。瓦礫の中で過ごし、隣の家の腐ったリンゴや生米を漁り、トイレに何日も溜まったままの水を飲んで生きながらえた。そんな時、お前は俺の前に現れた。何もわからない俺の手を引き
「こっち来いよ!食いもんあるぜ。暖かい布団もシャワーもある。仲間もいっぱいいるぞ!」
そう言った。
俺はきっとお前に憧れていた。
お前に着いていけば、きっと生きていける。そう思っていた。
「名前は?」
お前からの初めての質問だった。
「ナルミ」
「ナルミか。俺はケン。俺らの家がある。戦争孤児ばっかりだけど、皆んないるから楽しいぜ!」
こうして俺らは一緒に過ごす様になった。
こんな腐り切った、クソな世の中で生きる意味を見失った俺に少しだけ光が見えた気がした。
あの日を今でも思い浮かべる。
お前との楽しかった日々を。
喧嘩に明け暮れ食いもんを盗み人を殺して金を奪った。それしか俺らの生きていく術がなかった。
死は誰しも恐る。
こんなろくでもない俺を名前も知らない俺を産んだ貴方は責めるだろうか。
これは1人の生きる意味に出会った男の物語
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