151 狩るぜ!狩りまくるぜ!狩りまくらねば!

 28階以降もシヴァはやはり走り抜け、魔物も強くなっている、と思うが、一撃で絶命しているのでシヴァにとっては、あまり違いが分からず、しかし、油断だけはせずに、35階まであっさり踏破。


 この辺りまで来ると、素早い魔物も増えているのだが、それ以上にシヴァの方が素早いワケで。再生能力が高い魔物もいたのだが、念のため、魔力を通して斬ると再生しなかった。


 …そう、それ以外の魔物は普通に斬っていただけなのだ!

 この大剣は、レア素材の合金で最高品質、【斬撃強化】も付与をしてあるのだが、いささか斬れ過ぎじゃないだろうか、と製作者本人が思うワケである。


 少し休憩した後、36階へ。

 ここからは、魔物のサイズが更に大きくなり、10m前後ばかりになる。図体の割には素早いが、死角も多いので倒すのは簡単だった。

 …シヴァにとっては。

 何やら急に難易度が低くなったような気がする。

 ミマスダンジョンのダンジョンマスターになったら、この辺は要改善だ。


 ソロのシヴァでこれなのだ。大半はパーティなのだから、同じく死角を攻めるだろう。

 …まぁ、ここまで到達出来る優秀なパーティなら、という仮定の話になるが。


 37階の魔物には呆れた。

 洞窟タイプなのに、巨大魚がいたのだ!

 もちろん、水はないし、空中を泳げるワケでもなく、ロクに動けない。

 …おいおい。やっつけ仕事か?ボーナスフロアか?これは。


 ドロップした身は【白身であっさりして美味しい】そうなので、狩りまくった。

 やっぱりボーナスフロアだな、うん。

 他にもリュウグウノツカイみたいな長細い魚の魔物やでかい貝の魔物がいたが、これらは身のドロップはないのでどうでもいい。


 38階ではシヴァは目を疑った。

 どう見てもでかいスッポン!

 3m~5mとかなりでかいし甲羅も硬い!……硬かったんだと思う。

 ざっくり一閃。手応えもない。

 魔石以外のドロップは甲羅と肉。


「肉って亀肉ってことか?…スッポン肉かっ!」


【ギガンティスザウググロッケ…異世界ドイツ語で『巨大なスッポン』。コラーゲンたっぷりで滋養強壮効果もある美味しい肉】


 そんな鑑定結果だった。

 シヴァ仕様に表示してくれる鑑定様が有り難い。


 狩るぜ!

 狩りまくるぜ!

 狩りまくらねば!

 狩るなら今でしょ!

 ここもボーナスフロアだったか!

 スッポン鍋!

 スッポン雑炊!

 スッポン唐揚げ!

 スッポン炊合せ!

 意外にどう料理しても美味い肉なのだ。

 甲羅の方がレアドロップなので、称号効果を切ってから狩りまくる。


 殲滅してから、ほくほくと39階に行くと、触手フロアだった。


 わさわさと通路を埋め尽くす触手ばかり。

 本体はどれか全然わからない。

 ここでこう来るか。生理的嫌悪感を煽る作戦なのか。

 魔法が使えなかったら脅威だろう。

 シヴァは遠慮なく焼き払った!


「ふっふっふ、そんな攻撃なんざ利かねぇぜっ!」


 みたいな風にすぐ復活するかと思ったら、そのままドロップに変わった。

 …一体、何がしたかったんだろう……。

 しばらく、行っても同じパターン。

 せめて弱い属性ぐらい変えろよ、と言いたい。

 まぁ、ドロップは換金率のいい人気宝石各種だったので、一般的には倒し難い魔物だったかもしれないが。


 …ということで、やって来ました40階ボス部屋。

 ダンジョンボスはグリーンドラゴン。

 緑なだけで植物は関係なし。

 ドラゴンの格としては四大属性(地水火風)その他属性(氷雷光闇霧木他)ドラゴンのかなり下、グリーンドラゴンはロックドラゴンよりは強く知性もないが、ドラゴンなので頑丈。

 ドラゴンブレスも放って来る。

 ヒュドラが竜種だと言われているが、グリーンドラゴンと比べると…どっちもどっちかな?…と思っていたシヴァだが。


「グリーンドラゴンの方がしぶといな」


 大剣で斬り刻んだぐらいでは倒せず、破片から小さい竜になって増えたので、相性が悪そうかも?と雷を連発し、風の刃の竜巻を起こし、粉塵になるまで切り刻んでみた。

 キマイラの時に自爆して学習したので、防音結界をしっかり自分に張っていたので、シヴァはまったくの無傷。

 グリーンドラゴンを倒すまで約五分かかった。


 ヒュドラは三十秒。

 バジリスクも三十秒。

 キマイラは五分。

 クラーケンも五分。

 ロックドラゴンは一分ぐらい。

 三十秒の二つは張り切り過ぎた結果だし、シヴァもステータスが上がる前なので、討伐時間がボスの強さではない。


 さぁ、肉肉、ドラゴン肉♪…と待っていたのだが、ドロップしない。

 グリーンドラゴンも粉塵になったまま。

 ソロ攻略、しかも、これだけ短時間討伐を想定していないらしく、またしてもダンジョンエラー!七回目だ。


「ったく、もー」


 対処にもすっかり慣れているシヴァは、コアのいる所を次元斬じげんざんでくり抜き、コアルームに入った。他と同じくコアがある台座以外は殺風景な部屋だった。


 一応、罠が仕掛けられていないのを確認してから、コアに手を触れると、やはりエラー修復中。

 魔石と美味しいドラゴン肉をたっぷり、とリクエストしてから、シヴァはソファーセットを出して休憩することにした。


「どうせ、ダンジョンエラーになるんなら、まったくドラゴンと関係ないボスの他のダンジョンでも、ドラゴン肉のリクエストが出来るんじゃ…」


 そんなことにふと気付いてしまった。

 それはそれで情緒がないし、コアたちにもらうのとどう違うのか。


 何やらもやもやするが、さておき、今日はコーヒーにしよう。

 お茶菓子はラングドシャ。「猫の舌」という名前の軽い食感のクッキーだ。


 シヴァはお茶しつつ、マップを投影し、ホワイトタイガーの所までかかる時間をおおよそ計算する。

 ここヒマリア国の国境側から更に北のカルメ国の北側。つまり、また国をほぼ縦断することになるのでノンストップで四時間はかかりそうだ。

 『くつろぎセット』を使って大分楽な『ごろ寝旅』とはいえ、山や大木にぶつかるかもしれないので、本当に寝るワケにも行かない。


 各コアの分身体を使って、それぞれにポイントを置いてもらう、というのも考えたが、そこまで長距離だと通信バングルの圏外になってしまい、転移ポイント把握が出来ないかもしれない。

 つまり、シヴァ本人が行った方が確実なワケだ。


 そうこうするうちにエラーは修復され、シヴァの希望通りに魔石とドラゴン肉がたっぷりのドロップ品が出た。

 そそくさと収納してから、ダンジョンマスター登録し、通信バングルを渡す。

 ミマスダンジョンコア【ミーコ】誕生だ。

 シヴァはソファーセットを片付けた。


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新作*「番外編06 真に恐ろしいお菓子」

https://kakuyomu.jp/works/16817330656939142104/episodes/16817330658456626931

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