密室っぽい殺人3
「さあ、君の推理を聞かせてくれ。」彼女は不敵に笑った。顔には血がついており、血まみれの服を着ながら堂々とした立ち振る舞いをしている彼女に思わずドキッとしてしまう。今のはちょっとびっくりしただけだとだれも聞いていないのに言い訳をした。呼吸を整えて僕は話始める。「まず、この事件には2つの大きな謎があります。一つは現場が密室であったという事と、二つ目は被害者以外の人間が密室の中にいたという事です。まず、二つ目の謎から説明していきます。ここで重要なのは被害者以外の人間、つまり雷先輩は犯人なのかそうではないのか、ということです。犯人であった場合は殺害した後に内側から鍵をかけることで容易に密室を作ることができます。」「私はやってないぞー。」雷先輩は無気力に答える。こんな無気力な人は殺人とか無理だろうな。いやなこととかすぐ忘れそう。「こほん、結論から言うと雷先輩は犯人ではありません。理由は予備室2の鍵です。予備室2の鍵はほうきにガムテープで固定されていました。雷先輩が犯人の場合このような細工をする理由がそもそもないですし、だれか別の人に罪を擦り付けたい場合は「いきなり殴られて気を失っている間に鍵を奪われた」と言えばいい。そのためには鍵をもっと見つかりにくい場所に隠す必要があります。他にも犯人なら現場に残る理由がないなどいろいろありますが、とにかく雷先輩は犯人ではありません。」「たしかにそうかもな。それならなぜあいつはあの場にいたんだ?」先生が言った。「雷先輩があの場にいた理由は一つしかありません。「真犯人が罪をなすりつけるために連れてこられた」それしかありません。」僕が得意げに話しているのを死体先輩(仮)は真剣な眼差しで僕を見ている。まるで僕の心の中まで観察されているような気がした。慌てて雷先輩に話を振る。「雷先輩どうですか?演劇部の打ち上げ以降何も覚えてないんですよね?」「ああー。そうだぞー」彼女はずっとスマホをいじっているが僕の話は聞いてくれているらしい。先生や風林先輩にも聞いてみる。「どうですか?ここまで合ってますか?」「いいんじゃないか?」「合ってると思うよ」先生はめんどくさそうにしているが風林先輩はちゃんと聞いてくれている。優しい、好き。よし続きを話そう。「ここで重要なのはなぜ数多の生徒の中から雷先輩が選ばれたのかということです。それを解く鍵は雷先輩の服装です。」「服装?確かに雷ちゃんはシンデレラの服を着ているけど、逆に目立つよね?」雷先輩は怪訝そうな顔で言った。ていうか雷ちゃんって呼ん出るんだ。二人はどんな関係なんだ?今度聞いてみよう。「たしかにシンデレラの服だと目立ちます。でもこの中にシンデレラを運んでいても不思議ではない人がいるんですよ。その人が犯人です。そうですよね?シンデレラで王子役だった風林先輩?」僕はゆっくりと風林先輩を見た。すると明らかに動揺している。「ぼ、ぼ、僕?ち、違うよ、僕じゃないよ。」まわりをきょろきょろしながら首を高速で横に振っている。この人嘘下手だなー。あんなに演技が上手だったのに。多分うしろめたさが動揺に出ているのだろう。本当にいい人だなー、この人は。しかし、「風林先輩しかいないんですよ。王子様ならシンデレラを運んでいたとしても不思議はないでしょう。それに雷先輩を眠らせるためには演劇部の打ち上げに参加して眠らせる必要がある。おそらく睡眠薬いりの飲み物でも飲ませたのでしょう。その後部室棟に雷先輩を運んだ。それしかありません。」僕は意気揚々と推理を披露する。「どうなんですか。風林先輩」すると先輩は両手を上に上げて答える。「正解だよ。雷ちゃんをここに運んだのは僕だ。シンデレラならお姫様だっこしても不思議はないからね。」そう言った彼の表情は少しうれしそうだった。「ひどいぞー。睡眠薬で眠らせるなんてー。」雷先輩が少しも顔色を変えずに言った。「ごめんよ雷ちゃん。そんな怒らないで。」風林先輩は申し訳なさそうにしている。あれで怒っていなかったのか。表情からは全然わからなかったな。ますます二人の関係が気になる。「それで密室の謎も解けたのかい?」「はい。多分」「おい。私を忘れてもらっては困るぞ」死体先輩が顔を膨らませている。かわいい。「どうでした?」「今のところはいい感じだ。早く続きを聞かせてくれ。」先輩の目は輝いていた。
高校に入ったらミステリーがたくさんなんだが? usi(ウシ) @touryou2001
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