第5話 ゴスロリうさ耳少女が急にキャラ崩壊してくる件
固まる俺達の前で、ゴスロリの少女はむーっと頬を膨らませた。
「もうちょっと反応して?! 勇者くん、伝説の剣を抜いたんだよぉ?!」
「え、あー……ワー。ヤッター。ウレシーナー」
おいソラもうちょっとマシな演技しろよ。
「そうそう! それでいーのっ♡」
いやいいんかい。
「ってゆーかぁー!! ずぅっと見てたけどぉ、君たちやる気あるのー?!」
「「ない」」
俺とソラの声がハモる。
ゴスロリ少女は途端に瞳を潤ませた。
「なぁんでそんなこと言うのー!」
「「だってどーでもいいんだもん」」
「わーんっ! ひどぉい!!」
「ごめんねー」
最初こそ驚いたものの。段々とコイツのハイテンションに慣れてきた俺達は、対応が邪険になっていく。面倒臭そうに手をヒラヒラ振ったソラは俺を床に転がし、そのまま自分もゴロンと横になった。
「おぉ、やっぱ横になったほうが寝やすいわ。ありがとよー」
「んー」
「ね、ねぇねぇっ!? なんで寝るの!」
「「眠いから」」
「わ、私の話聞いてほしーなっ♡」
「「ごめんヤダ」」
そんなやり取りを繰り返していたら、いつの間に彼女はしゃべらなくなった。
ふぅ、これでようやく寝れる。
お休み〜。ぐぅ。
……しかし、一分もしないうちに、俺は夢の世界とサヨナラグッバイすることになった。
「おわっ?!!」
いきなり体が宙に浮く感覚。ジェットコースターとかちょっと速度が早めのエレベーターとかでよく感じる、内蔵が浮くような錯覚に陥るアレ。(今の俺に内臓があるのかは知らんが)
驚いてパチリと目をあけると、なんとゴスロリ少女が右手で俺を持ち上げていた。
ちなみに左手は、ソラの首根っこを掴み上げている。
「あぁー……あんたらほんまにイライラする……」
先程の夢見るキラキラ少女から一転、ドス黒い笑みを浮かべたサイコパス少女になっている。キャラ崩壊早っ!
そして何故に関西弁?!?! ここは異世界では? 世界観ゴチャゴチャじゃねぇか!!
少女は頭の中で突っ込みを炸裂させている俺と、猫のように目をまん丸に見開いたソラを、ポイポイっと放り投げる。
「今すぐ座って話聞けや」
「「……ハイ」」
「えへっ、ありがとぉ♡」
ふわりとドレスの裾を揺らしながらそう言う彼女に。
俺とソラは、揃ってブルりと体を震わせた。
……こいつ、やべぇ。
ぐうたらニートのオレが伝説の剣になっていて、自分を上回るぐうたら勇者が現れた件について。〜こんな転生ありかよっ?〜 海月うに @miu33miu
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