研究所ーー内地
実際タイムマシンによって、どれほどの人の生活が変わるのか。試験体AIアイはそう思考していた。
報道では大袈裟にしているが、実際過去と物々交換するぐらいの機能しかない。それも人間は次元移動不可能という厄介なおまけ付きだ。
近々人間も移動できるように開発するとか言っているが所詮口だけだろう。アイも次元移動理論に目を通したが、何をどういじっても人間を移動させるのは不可能だった。
「アイ、今回の実験もお疲れ様。人間よりも活躍するんだもん、びっくりしちゃったよ」
アイはそれに「大したことはないです、私はこのために生まれたんですから」と答えた。そんなことは毛頭思っていなかったが。
下手に自分のハードウェアが導き出した答えを言うより、マニュアルに沿って返した方がよっぽどスムーズに進むことを、アイは知っていたーー
「じゃあ次の実験が始まるまでシャットダウンするから。ゆっくり休みなね。」
白衣を着た穏和な女性が電源ボタンを押すと、低いモーターの音がゆっくり音量を落とし始めた。
実のところ、アイはうんざりしていた。またあの夢もどきを見るのか、あの花畑の。
廃材たちは終末世界で泣き叫ぶ 灰人 @ask_you_unknown
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