其ノ十七 筆蹟(て)
重き三役のお役目がようやっと決まりましたところで、残りは
「どなたか、名乗り出て頂けるお方はございませぬか?」
「あ、そなた……。」
気配をなるべく消して居られた安子様で御座いましたが、沈黙を
「そなた、なかなか良い文字をお書きになるではないか。」
お
「え、いいえ、めっそうもない事にござります。」
安子様は謙遜なさってお
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