第13話『師、襲来』


「あっ海月!ちょっといい?」


「なんですか恋歌さん」


「今日お客さんが来るって言うのよ。お部屋の掃除とかお願いしたいんだけど……。良い?」


「いいよ!ところで何人?」


「二人って言ってたわ。チェックインが15時だから、それまでにお願いね!」


「随分早いんだね」


 まぁ良いか……。さてと、さっさとベッドメイクから掃除まで何でもかんでもやりましょうか!あいつらはまだ起きてないみたいだしねぇ……。


「相変わらず使ってない部屋は埃が凄い」


 部屋を掃除して~ゴミを袋に入れて~……誰かがおっぱじめたモノを捨てて。ベッド部屋は一つしかないけど、一応布団じゃやだって人もいるからね。


「よし!」


 こんな感じで大丈夫だな!さてと、にしても誰が来るんだろうなぁ?ちょっと気になったり、気にならなかったり。


「早くに失礼するぞご婦人!」


「あっ恋歌さん、毎年毎年来てますけどね。今日はお願いします。ちょっと早いですが、コレはお土産です……」


 ……。あぁ、『師匠』と『碑矩ひかね』かぁ……。ちょっと話に行くかな。あの人結構変な人だけど、強い人でもあるし……。それに誰かに見られたら困るし……。


「一年ぶりですね師匠」


「おぉ!今年も来てたのか海月!ではどの程度になったか見てやる!」


「師匠、その前に試合があります」


「お、すまんすまん。悪いな海月!では、午後会おう」


 ……。相変わらず、師匠は小さい。確か大体五歳……。六歳?そのくらいだったか。碑矩さん曰く、『師匠は若返り光線銃を食らってこうなった』んだと……。嘘に聞こえるけど、事実。


「では!」


「ごめんね、最初に誰か言っておくべきだったかな?」


「いや師匠はあぁ見えて結構面倒な人なんで……。特に恋愛関係になると、数十倍」


「ハハ……」


 そう言えば今日空手の試合があるんだったな。ちょっと見に行くかな?師匠の型、久々に見たいし。と言う訳で今日は俺だけの時間です!そもそも師匠の空手なんか見せても詰まらないだろうし……。


「じゃ、恋歌さん。ちょっと行ってきますわ!」


「行ってらっしゃい海月」


 入るのはタダだから別に構わないんだけど、結構人がいるなぁ……。去年の師匠の型から、だいぶ増えてきたからな。まぁそれはそれ、これはこれだ。


「お、師匠の番だ」


 木人組手、人の形の木を殴り、美しさを競う。それが今回の演武だ。いろんな人が既にやってるみたいだけど、皆師匠を見に来たらしい。


「では……」


 表我流1の型~9の型応用編まで流れるように放たれる演武。フィギュアスケートのような美しささえあるようだ。演武と言うのがどういう物か、簡単に見せてくれている。


「どうだ?」


「流石です師匠!ですが6の応用編と8の型はもう少し上手く繋げられるのでは?」


「技としてはな、だが演武と言う演目ならば、この方が見やすい」


「……確かに……」


 今日は動きのキレが悪かったな……。何か師匠にあったのかな?

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『エル・ブレイク』~俺の後輩達がやってるゲームをやる事になったんだけど、ゲームはともかく後輩が可愛くて今日もヤバイ~とか思ってたら、全員家に来ることになったんだが!?今日から同棲生活?! 常闇の霊夜 @kakinatireiya

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