第19話 これからの方針


 俺はこれからのダンジョン運営の方針について考えていた。

 ダンジョンを作るということは、やはり冒険者と戦うことになるだろう。

 だが、俺も人間だ。なんの罪もない冒険者をわざわざおびき寄せて、それを殺すなんてつもりはない。

 だけど、冒険者を呼びこまないことには、DPはたまらない。


 そこで俺は、あくまで悪い冒険者たちだけを相手にすることにした。

 悪逆非道の犯罪者や、こんなやつ死んだほうがましだという連中だ。

 冒険者の中には、そういった連中もごまんといるのだ。

 それこそ、ゴーヨックなんかでは生ぬるいほどの悪人が。

 

 表の冒険者ギルドには、まともなやつしかいない。

 まあ、ゴーヨックがまともかどうかは疑問だが……。

 とにかく、そういった悪い連中ってのは、裏の冒険者ギルドに出入りしているものだ。

 違法ギルド、盗賊ギルドなんて呼ばれているな。

 そういった連中に、ここのダンジョンの地図を流す。


 そうすることで、俺のダンジョンに悪人をおびき寄せようってことだ。

 世の中から悪人が消え去り、俺もDPが溜まる。ウィンウィンだな。

 とりあえず、俺は裏ギルドに忍び込んだ。

 そして、クエストカウンターのところに勝手に地図を張り付ける。

 これで、あとはこの地図を見つけた悪徳冒険者が、ダンジョンにやってくるのを待つのみだ。


「そのためには、連中をまとめてからめとるトラップが必要だな」


 そういえばせっかくレベル50まであがったのに、まだトラップをアンロックしてなかったからな。

  

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毒の床トラップ 60SPスキルポイント

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 俺はさっそく毒の床トラップをアンロックした。

 毒の床トラップは、文字通りダンジョンのフロアを毒の床に変えるトラップだ。

 俺はとりあえず今ある金を大量投入して、大量の毒の床トラップを購入した。

 階層まるごと毒沼にしても、まだ余るくらいだ。


「へっへっへ……これで毒からは逃れられないぜ」


 そう、ダンジョンに入ってすぐ、毒沼だと気づかれれば、当然冒険者たちも対策をしてくるだろう。

 たとえば、一度引き返して毒耐性を積んでくるとか……。

 もしくは毒消し草をこまめに使いながら進むとかな。


「そうはさせないぜ……?」


 俺はダンジョンの【地形】項目をいじる。

 そこから床の角度設定を変えることにした。


「まずは入り口側だ」


 ダンジョンを入ってすぐに、傾斜に足をすべらせてダンジョン奥地に引きずり込むようにする。

 それによって、ダンジョンい入ったが最後、あとは一直線に滑り落ちるだけだ。

 もちろん時間をかければ戻れる程度の傾斜だが、それでもかなりの嫌がらせにはなるだろう。


「さらに第二階層へ続く側にも、逆向きに傾斜をつけてやろう」


 そうすることで、なかなか先へすすめないだろう。

 傾斜のせいで歩みはゆっくりになるうえに、毒の床だ。

 毒床はけっこうぬかるんでいて、べたべたしてるから、かなり時間を消費させれるはずだ。

 ちなみに、現在俺のダンジョンはゴブリンたちが掘り進んでくれたおかげで、第3階層まである。

 俺の居住区は第三階層に移してあるので安全だ。


「我ながらこのコンボは凶悪だ。初見殺しのハメ殺しだな……」


 もし俺が冒険者の立場だったら、発狂して即刻高価な帰還アイテムを使うだろうな。


「さらにさらに、これだけではない!」


 【設置アイテム】と呼ばれる特殊なカテゴリーの中に、このダンジョンにぴったりな武器があったはずだ。

 こんどはダンジョンコアをいじくり、ダンジョンについている罠を使う。

 俺の罠師としての罠と、ダンジョンに用意されてある罠を組み合わせてつかうのだ。

 これこそまさに、俺にしかできない凶悪コンボだ!

 

――――――――――――――――――

スライム発射装置Lv1 1200DP

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「これを2台設置……っと。入口側と出口側だな」


 ちょっとかなりDPを消費してしまうことになったが、まあいいだろう。

 ドラキュラ酒場のおかげで、ゴブリンたちは毎日大量の魔石を生み出してくれているからな。

 スライム発射装置は、侵入者に反応してスライムを発射する装置だ。


 発射されるスライムは、生きているモンスターのスライムではなく、その体液だけをそぎ取ったものになる。

 装置の中に汗っかきのでかいスライムでもいるのだろうか?

 まあそんな細かい仕組みはどうだっていいのだ。


「あらら……もうDPが底をついた。あっという間だな。あんだけあったのに……」


 だがまあ、それもすぐに溜まるだろう。

 この即死級トラップコンボを喰らえばな!

 はっはっは!


「名付けて、【毒沼坂スライム連射作戦】だ!」


 なんだか語呂が悪いな……。

 なにかいい案を募集したところが……。

 とにかく、一度足を踏み入れたものは、まず毒沼と急な傾斜に足を滑らせる。

 そこにネバネバのスライムが飛んできて、動きを制限する。

 さらに先に進むにも戻るにも、傾斜がきつくてなかなか進めない。

 そうしているうちに、毒でお陀仏というわけだ。


 死体も毒が溶かしてくれるしな。

 今から笑いがとまらない……!



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名前 シン・ラトップ

職業 罠師(サポート)

サブ職業 ダンジョンマスター

男 16歳


レベル  50

体力   3615

魔力   1925

攻撃力  2442

防御力  2354

魔法攻撃 2598

魔法耐性 2513

敏捷   2522

運    2673


スキル一覧

・針山トラップ

・トラバサミトラップ

・経験値貯蓄トラップ

・掘削トラップ

・トラップドア

・毒餌トラップ

・スライム床 

・ダミートラップ

・壁トラップ

・ダンジョンコア制御トラップ

・毒の床トラップ

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◆ダンジョン情報

 

 イストワーリア×1

 スライム×10

 ゴブリンエリート×5

 ドラキュラマスター×1


 DP 0

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