追放罠師のダンジョン経営~「そんな罠かかるアホはいないw」と言ってた罠で破滅する気分はどうですか?w~経験値貯蓄トラップで無限レベル増殖した俺は高級罠で最難関ダンジョンを作り上げる。
第17話 オオカミ少年の過去【side:ゴーヨック】
第17話 オオカミ少年の過去【side:ゴーヨック】
レベルが5まで下がってしまった俺は、もう一度レベル上げをすることにした。
レベルを上げるには、簡単なダンジョンから攻略していかなくちゃならない。
今の俺たちのパーティーはバラバラだ。このままでは、またゴブリンたちにケツを犯されかねない。
ということで、俺は里帰りも兼ねて、始まりのダンジョンを目指すことにした。
俺たちの故郷の村の周辺には、低レベルでもクリア可能なダンジョンがたくさんある。
昔、そこでレベル上げをしたものだ。あれをまたやればいいってことだ。
そのついでに、ダンジョンに潜る前に、故郷の村を訪れることにしたのだ。
俺が勇者になったと知れば、昔俺を馬鹿にした奴らを見返すことができる。
村にいたころの俺は、今とは少し違っていて、ダサい男だった。
冒険者としての戦いで、俺は今の俺になったんだ。
思えばあの頃から、シンはいけ好かない野郎だった……。
◇
俺たちはようやくの思いで故郷のランタック村にやって来た。
国から当面の金をもらえたから、馬車も地図師も雇い放題だ。
「はっはっは! 勇者さまのお帰りだぜ! みんな光栄に思え、こんなクソ田舎の村から勇者さまが出たんだぞ?」
今日の夜にでも、村の若い娘連中を抱いてやろうと思っていた。
勇者さまである俺がわざわざ時間を作ってやるのだからありがたく思ってもらえるだろう。
まさか断るような馬鹿はいまい……。
「おや、ゴーヨックじゃないか? 久しぶりじゃないか! 5年ぶりか?」
村のおっさんがさっそく俺を見つける。
「ああ、故郷に帰って来た。俺は勇者に選ばれたんだぞ!」
「そうかい。そりゃあよかったな」
おっさんの素っ気ない反応に、俺は若干イラつく。
この田舎しか知らない老いぼれのくせに、生意気だ。
「……? なんだ? それだけか?」
「どうせいつものホラ吹きなんだろ? お前は小さいころからそうだったよなあ……。シンに嫉妬して、出来もしねえことを出来るだのなんだの嘘をついてよぅ……。懐かしいなぁ」
「……は? なんだそれ……?」
ま、まあ確かに小さい頃の俺は、見栄を張ったりする少年だったかもしれない。
だがそんなのは子供によくあることだ。
俺をいつまでもガキ扱いされては困る。
「おいおい、おっさん。俺はマジで勇者なんだ。王都じゃ俺を知らない人間はいねぇ。なぁアカネ、マーリー、お前たちからもなにか言ってくれよ」
「おじさん、本当にゴーヨックは勇者に選ばれたのよ?」
アカネが言うも、おっさんは白い眼を向けたままだ。
「はいはい、そう言うんだったらそうなんだろうな……お前さんの中じゃ。アカネちゃんもいい加減にこいつの冗談に付き合うのも止めた方がいいぞー。図に乗るから」
っち……ムカつくぜ。
俺をちっとも信用しない。
もう俺は昔のほら吹きゴーヨックと呼ばれていたころとは違うというのに……!
まあ田舎者にはにわかに信じがたい話なのだろう、無理もない。
「ふん……もういい。村長に会いに行く。案内しろ」
「おいおい、偉くなったもんだな……。まあいいけどよ。村長さんの前ではその態度、あらためろよ?」
クソが!
態度を改めるのはキサマのほうだ!
俺はむしゃくしゃしながらも、村長のもとへ行った。
村長が認めれば、他の連中も態度を見直すだろう。
◇
「お前が勇者じゃと!? ふぉっふぉっふぉ……そりゃあなにかの間違いじゃろうて」
「はぁ……!? 村長てめぇ、ボケたのか!?」
俺は思わず殴りかかりそうになるのを必死に抑える。
どうしてこの村の連中は、俺様が帰ってきたというのにこんな態度なのだ!?
「勇者というものは、神がお決めになるものじゃ。じゃからお前さんのようなのが選ばれるはずはない。ほら吹きゴーヨックよ」
「……っく! その名前で呼ぶんじゃね!」
まったく、村長までも俺をコケにしやがるのか……。
まあ俺たちがこの村を出たのは5年前、まだ子供だった頃だ。
俺のイメージがガキのままなのは仕方がないかもな。
ここは証拠を見せてぎゃふんと言わせてやる。
「おいてめえらこれを見ろ! 俺が勇者に選ばれたときの勇者の証だ! ここにちゃんと勇者と書かれているだろう!」
俺は王様からもらった勇者の紋章を叩きつけた。
そこにははっきりと勇者の文字が書かれている。
「おお……! マジで勇者の証だ!」
村長の家には何人か顔なじみが集まっていて、その中の一人が声をあげる。
さっそく俺の偉大さがわかったようだな……!
「おいでも待てよ? あのほら吹きゴーヨックが勇者だなんておかしくねぇか!? これって本当にゴーヨックがもらったものなのかよ?」
「は? なにもおかしくないだろうがッ!!!!!!」
俺は咄嗟に叫んで否定するが、皆からは疑惑の目線が向けられる。
口々にあることないことを言い始め、ざわざわが広がる。
やれ真の勇者から奪っただの、加工して偽装しているだのと……。
まったく、憶測で語るのはやめて頂きたい。
「そういえば……お前たち、シンはどうしたんだよ?」
おっさんから唐突に、そんな疑問が飛び出す。
そういえば忘れていたな……。
当然訊かれるはずの疑問だ。
俺はどう答えるべきか悩んだ末に、正直に話すことにした。
「ふん、あんな馬鹿な罠師野郎は追放したぜ。今頃どっかで野垂れ死んでるだろうな」
「は……?」
-------
あとがき
この作品になにかアドバイスや要望などありましたらよければ書いていってください
参考にするかもしれません
よろしくお願いします
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