第6話 放置ゲー


 俺は経験値貯蓄トラップを使って、レベル上げに成功した。

 この調子で、どんどんレベルを上げていきたいな。

 だが、いつまでもこの方法を使っていては、時間がかかりすぎるし、面倒だ。

 いちいちモンスターを釣るために、自分を餌にする必要はないだろう。


 レベルが上がったことだし、そろそろ新しい罠を解放したい。

 俺は、スキルツリーを開いた。



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毒餌トラップ 7SPスキルポイント

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「よし、この毒餌トラップをアンロックしよう」


 毒餌トラップは、その名の通り毒入りの餌の罠だ。

 これさえあれば、俺自身をおとりにしなくても、モンスターをおびき寄せることができる。

 さすがに毒で即死とまではいかないが、そこは針山トラップなどと組み合わせてうまく仕留めよう。


 俺はさっそく、毒餌トラップを購入して設置した。

 毒餌トラップを中央に置き、その真下にトラバサミトラップを置く。

 それを囲むようにして、針山トラップを設置。

 その近くには、経験値貯蓄トラップを置いておこう。

 よし、これで完璧な布陣が完成した!


「あとは……モンスターがかかるのを待つだけだな……!」


 俺は物陰に隠れて、トラップの様子を見守ることにした。

 すると――。

 30分ほどたって、ようやくモンスターが罠にかかる。

 かなりでかめのモンスターだ。経験値も期待できる。

 現れたのは、ドスイノシシという、巨大な獣モンスターだった。

 ドスイノシシ、普通に戦ったのなら、まず勝ち目のない強力なモンスターだ。

 俺は唾をごくりと飲み込み、緊張しながら、罠とモンスターの様子を見守った。


 すると――。

 ドスイノシシはゆっくりと様子をうかがいながら、罠に近づいていく。

 そして、がぶり。

 毒餌トラップに引っ掛かった!

 毒餌をたべたことで、ドスイノシシの身体に毒が回り始める。

 それと同時に、足元のトラバサミトラップが発動!

 

 トラバサミトラップはドスイノシシの足をとらえ、離さない。

 ドスイノシシは毒でやられたうえに、足にけがをした。

 ふらふらとした足取りで、ドスイノシシは逃げようとする。

 だが、そこを針山トラップが逃がさない!


 千鳥足のドスイノシシは、無数に置かれた針山トラップに引っ掛かった!

 針山トラップがドスイノシシをズタズタに突き刺す。


「ギュオオオオオン!!!!」


 毒が全身に回り、身体の痛みもあいまって、ドスイノシシはその場に倒れた。

 しばらくもがき苦しんだあと、ドスイノシシはその場で絶命した。


「よし……!」


 ドスイノシシの身体から、経験値が吐き出されて、経験値貯蓄トラップに吸い取られる。

 これで、経験値貯蓄ゲットだぜ!


「おっしゃ! これなら、戦わなくても、放置してるだけでモンスターを倒せるじゃん!」


 俺は、さらにそのトラップを、何個か用意した。

 毒餌トラップを数個用意し、さっきと同じように並べる。

 これで、あとは昼寝でもしていれば、経験値が溜まっているという算段だ。


「今のうちに一度街に行っておこうか」


 俺はトラップを放置している間に、街に戻ることにした。

 今までに得た戦利品を換金しておきたいしな。

 元々持っていた金があるとはいえ、罠を買うのにはこれからも金が必要になる。

 元々、そこまで多くの金を持っているわけでもないしな。

 金は多いに越したことはない。


 ついでに、放置の間暇なので、俺は街で金を稼ぐことにした。

 掘削トラップを使って、掘削を手伝う仕事なんかをした。

 山を削るのは、人力だと一苦労だ。だが、掘削トラップを使えばすぐだからな。

 まさかこんなところでトラップが役に立つとは……。

 山を整地する業者に雇われ、俺は少なからずの金を手にした。

 こうやって雑用をしているだけで、今にも経験値が溜まっていく。

 放置トラップとは、なんとすばらしいのだろうか。


 しばらくしてから、俺はトラップのところへ戻ってきた。

 すると、そこにはいくつかのモンスターの死骸が転がっていた。

 よしよし、俺のトラップはちゃんと作動しているようだな。


「どれどれ……」


 俺は経験値貯蓄トラップに、どれだけ経験値が溜まっているかを確認する。


「おお……! 56728!」


 俺はそれを一気に回収した。

 すると――。


「シンのレベルが、8から9に上がりました!」


 と、アナウンスが鳴った。

 どんどんレベルが上がるから、楽しいな。

 

 よし、じゃあレベルも上がったことだし、またスキルツリーを開いてみよう。

 もっと罠の効率を上げたい。


 今の罠構成じゃ、仕留められるモンスターばかりではない。

 体力がもっと多いモンスターや、すばやいモンスターには、逃げられた形跡があった。

 置いてあった毒餌トラップと、モンスターの死骸の数が合わないのだ。


「これを使えば、もっと効率的になるはずだ」



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スライム床 8SPスキルポイント

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 スライム床、それは文字通り、スライムのようにべたべたした床だ。

 踏んだモンスターの足をからめとって、逃がさないという罠だ。

 こんどはこのスライム床を、針山トラップの上や隙間に設置する。

 こうすることで、毒餌を食べたモンスターをより逃がさないでおくことができる。

 これなら、体力の多いモンスターでも仕留めきることができるだろう。


 俺の作戦は成功で、スライム床でさらに経験値が溜まっていった。

 さらにそれだけじゃない。

 俺は稼いだ金を使って、経験値貯蓄トラップを三基に増やした。

 これで、さらに広い範囲の経験値を回収することができる。

 トラップをさらに増やし、効率は爆上がりだ!


 そして――。


「シンのレベルが、9から12に上がりました!」


 俺は一気に3つものレベルを上げることに成功した。

 これでスキルポイントがかなり手に入った。


 俺は今回のスキルポイントを、針山トラップの強化に使った。

 スキルポイントは、トラップの種類を増やすだけじゃなく、その強化にも使うことができる。

 トラップを強化することで、さらにトラップの威力が上がったり、範囲が広がったりする。

 針山トラップを強化し、針山トラップLv2にしたことで、さらにトラップの殺傷能力が上がった。

 具体的には、針の長さや太さがかなり変わった。

 これでおびき寄せたモンスターを確実に仕留めることができる。


「よし……! これがあれば、アレができるかも……!」


 俺には、ある思い付きがあった。

 それをするためには、スポーンコアを探さなければならない。

 俺は、ダンジョンに向かった――。





 それにしても、ダンジョンかー。

 ダンジョンといえば、地図が必要になる。

 俺はパーティの中で、マッピングの係も兼任していた。

 そういえば、ゴーヨックのやつ、俺がいなくなって、地図とか大丈夫かな?

 まあ、俺が気にすることでもないか……。




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名前 シン・ラトップ

職業 罠師(サポート)

男 16歳


レベル  12

体力   361

魔力   241

攻撃力  56

防御力  59

魔法攻撃 62

魔法耐性 58

敏捷   65

運    74


スキル一覧

・針山トラップ

・トラバサミトラップ

・経験値貯蓄トラップ

・掘削トラップ

・トラップドア

・毒餌トラップ

・スライム床 

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