第5話 罠師の罠 【side:ゴーヨック】


 くそ、罠師を追放してから、踏んだり蹴ったりだ。

 なんで俺が野宿しなきゃいけないかねぇ。

 マジでイライラするわ。

 

 まだ日暮れには早いので、俺たちはその辺でモンスターと戦っていた。

 そんな中、またもや俺たちの身にむかつくことが起きる。

 

「キェエエエエエエ!!!!」

「なに……!?」


 戦いの最中、俺の後ろから、モンスターが突撃してくる。

 俺の死角から、グレムリンが攻撃を仕掛けてきた。

 俺は避けることもできずに、ダメージを受ける。

 クソ痛え。

 っち、なんでだ……?

 いつもはこんな死角からの攻撃、喰らわないってのに。


「ぐああああ……いってぇ……! クソ、おいマーリー! はやく治療しやがれカスが!」

「うるさいな……言われなくてもわかってるよ……!」

 

 マーリーは急いで俺のことを治療する。クソ、行動がいちいち遅い、こいつも使えない女だな。


「っち、なんで俺がのろまな雑魚モンスターの攻撃なんか喰らわなきゃならねえ! クソがよ!」


 俺はしょうもないダメージを受け、イライラしていた。

 普段なら、こんなことありえないはずなんだ。

 いつもとなにが違うっていうんだ……?

 シンがいないからか……?

 ふん、いや、まさかな……。あいつの罠なんて、ろくに発動していなかったはずだ。


「ちょっと待って、ゴーヨック。囲まれてるわ……」

「あん……?」


 アカネに言われて、俺はようやく気付く。

 俺たちは、知らぬ間にグレムリンたちに囲まれていた。


「はぁ……? なんか、いつもより敵の数が多くないか……?」

「おかしいわね……」


 いったいいつもとなにが違うんだ……!

 くそ、めんどくせえ!


「うおおおおおお!!!!」

「待ってゴーヨック、突っ込みすぎだって!」

「うわあああ……!?」


 俺はグレムリンたちに返り討ちにあってしまう。

 くそ、なんで俺がこんな雑魚モンスターに苦戦しなきゃいけねえ。


「納得がいかねぇ……! なんで雑魚モンスターどもに囲まれなきゃいけねえんだよ! おかしいだろ! いつもと全然違うじゃねえか! 敵が減らねえ……!」


 俺は、その日今まで一番というほど苦戦した。


「はぁ……はぁ……」

「ヤバかったわね……」


 俺たちは、なんとか命からがらグレムリンたちから逃げることができた。

 くそ、なんで俺様があんな雑魚モンスターに恐れをなして逃げなきゃならねえ?

 普段なら、もっと敵の数は少なく、各個撃破できたはずなのに。

 普段なら敵は、もっとこちらを警戒して、なかなか近づいてこなかった。

 だが、今日はまるで恐れを知らない感じで、モンスターがこちらに向かってきたのだ。

 なんだってこんな目に合わなきゃならないんだ、くそ。


「くそが。もう今日は疲れた。とっとと寝るぞ」

「そ、そうね……」


 俺たちはさっそく野宿の準備を始めた。


「おい、飯はどうした! 飯は! はやく食わせろ!」


 俺は女どもにそう指図する。

 だが、二人はきょとんとした顔で、突っ立っている。

 なんだこのアバズレどもが、無能か?


「ねえゴーヨック、まさか私たちに食事を用意しろとか言わないわよね?」


 と、アカネ。


「はぁ? てめえらが用意しねえで、誰が用意するっていうんだ?」

「いつもは、シンが罠でモンスターを捕らえて、肉を用意していたわ。私たちは食事係じゃないわ」

「なんだと……!? そのシンはもういねえだろうが! だったらてめえらが用意するのが当たり前だろ! このカスが!」

「なによ……! 私たちだってそんなの嫌よ……!」

「はぁ……!? 飯は女の仕事だろうがっ!!!!」


 くそ、使えないアマたちだ。

 まあ見た目がいいから許してやろうかな。

 だけど、これは困ったな……。

 俺様は腹が減ってイライラしているのに。


「罠なんてなぁ、なくても飯くらい用意できるだろ! てめえらでモンスター捕まえやがれ!」

「はいはい……やればいいんでしょ……まったく」


 アカネはしぶしぶ、文句を言いながらもモンスターを狩りにいく。

 しかし、ろくにモンスターを捕らえることができない。

 食肉に使えるモンスターは限られている。

 この辺なら、ラビリンスラットなんかが食用に適しているが、ラビリンスラットは動きが異常に速い。

 だから、ラビリンスラットを捕まえることができないのだ。


「無理よ。罠なしでラビリンスラットを捕まえるのは」

「はぁ……? 罠師以下かよてめえは。使えねえな……」


 使えない女どものせいで、今晩の食事はなしになってしまった。

 くそが……。罠師ですらできることが、なんでこいつらにはできねえ?

 今度から飯をちゃんと街で買っておかなきゃいけないな。

 くそ面倒だ。


「まあいい。俺は腹が立った。腹も減るし、もう寝る」

「そうね……寝るしかないわね……」


 イライラしたまま、俺たちは就寝することにした。

 野宿といっても、ただ寝袋をその場に置いて寝るだけだ。


 だがその晩、とんでもないことが起きた。


 俺が夜、寝ていると――。


「ガブリ」

「ぎゃあああああああああああ?!?!!!?!?」


 俺の足が、何者かに咬まれたのだ。

 飛び起きて足元を見ると、そこには一匹の蛇がいた。


「なんだこいつ……!?」


 くそ、なんで寝ているところにこんな蛇が……!?

 誰か守ってくれないのかよ。見張りはどうした見張りは!

 俺はアカネとマーリーのほうを見る。

 すると、アカネとマーリーも大変なことになっていた。


 なんと、野生のゴブリンが、二人のことを襲っていたのだ。


「いやあああああああああ!!!! 助けてえええええ!!!!」

「きゃああああああ!!!! いや! 犯される……!!!!」


 ゴブリンたちは、数匹で二人を取り囲み、服を乱暴に引きちぎっている。

 くそ、なんでこんなことに……。


「助けてええええええ!!!!」


 二人は必死に助けを呼ぶ。

 だが、こちらもそれどころではない。

 俺の身体には、何匹もの蛇がまとわりついていた。

 くそ、俺は蛇は苦手なんだ。クソキモイ。

 むしろ、俺のほうが助けてもらいたいくらいだ。


「くそがあああ! 助けろ! この蛇をどけてくれ!」

「なにいってんのよ! はやくこっちを助けてよ!」


 アカネとマーリーは俺に助けを求めるが、俺はどうすることもできない。

 俺は蛇に絡まれて、動けないでいた。

 そうしている間にも、二人はゴブリンたちに襲われる。

 ゴブリンたちはその欲望にまみれた肉棒を、二人に容赦なく挿入しようとしている。


「いやぁ! いやよ! 絶対! ゴブリンの子なんて孕みたくない!」


 だが、ゴブリンたちはそんなこともお構いなしに、二人を犯し始めた。

 二人の目から、どんどん光が消える。


「いやああああああ!!!!」


 俺は、蛇に襲われたまま、そんな二人を眺めることしかできなかった。

 くそがああああああ!!!!


 翌朝、さんざん二人を犯したあと、ゴブリンたちは満足したように去っていった。

 二人はしばらく放心状態だったが、起き上がると、俺にまとわりついていた蛇を排除してくれた。

 ったく、遅えよ。

 

「くそが、なんでこんなことになったんだよ!!!!」

「それはこっちのセリフよ! なんで助けてくれなかったのよ!」

「はぁ!? 俺は蛇に襲われてたんだが?」

「それくらい、どうとでもなるでしょ……情けない。こっちは、死ぬほどひどい目にあったのよ!」


 アカネとマーリーが文句を言ってくる。ったく、うるせえな。

 こっちは蛇にまみれて死にそうだったんだよ。

 もともとクソビッチなんだから、ゴブリンに犯されたくらいどうでもいいだろうが。

 ゴミが。


「がああああ!!!! 納得いかねえ! クソが! 腹たつ!」


 俺は、虚空に向かって怒りを喚き散らした。

 マジで、許せんわ。

 今まで野宿でこんなことになったことはなかった。

 なにが違うんだ……? そうだ、あのシンとかいうカスがいないせいだ。

 シンの野郎め今までは罠でモンスターから守っていたようだが、罠を置かずに逃げやがったんだ。

 あいつのせいだ。

 今まで罠で俺たちを守って、油断させてやがったんだ。そうに違いない。

 クソがよ……。

 追放される前に、ちゃんと説明しておけよカスが。ド低能。

 もう全部あいつのせいだ。

 許さん。次会ったら殺す。マジで。




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名前 ゴーヨック・ハツメルス

職業 戦士(タンク)

男 16歳


レベル  50

体力   3251

魔力   1855

攻撃力  3310

防御力  3152

魔法攻撃 1213

魔法耐性 2787

敏捷   2113

運    2781

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