ジャックと豆柴

不老

月へ告白をしよう


冬の夜空を見上げながら



人生唯一愛した貴女に



一輪のカトレアと


質素な指輪ともに


ふるえる言の葉を



聞き飽きているだろう


使い古された言葉を


命懸けで絞り出す



「今夜は月が綺麗ですね」





彼は必死に空を見上げる


一輪の花を握りしめながら



刹那の愛おしい貴方



決して高価とは言えない


鈍く光る指輪と


純粋で真摯な心



何度も受け入れて


繰り返し涙する


貴方との先はとても短い



「貴方と共に看取りましょう」




貴女を悲しませると分かっていても


貴方を失う辛さを分かっていても



自身の老いを受け入れながら


自身の呪いを受け入れながら



「綺麗な君を、先の未来で待っているよ」



「いつか必ず会いに行きます」と



何千年と春が訪れる

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ジャックと豆柴 @matsudamen

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