第12話・図書室1


フランチェスカ様を先頭に二列横隊で…。

いや、3人だけなので三角形で進む。

緊張からから自然と行進の形で歩む。

リリーさん軍事教練受けた事あるのか…。

意外だが考えてみれば騎士の娘だから出来て当然かな?

「うーん。」

「どうかしたの?」

顔を覗き込むリリーさん。

「リリーさんは剣を使えるのですか?」

遠回しの軍事教練の師事の確認だ。

「はい、剣を少々、馬には乗れます。」

「凄いですね。」

うわー騎兵だ。

「はい、腐っても騎士の娘です。」

納得する。

やはり、軍事教練の経験があるんだ。

進む廊下で時々兵士とすれ違う。

フランチェスカ様に敬礼している。

目的の扉には騎士が二人立っている。

廊下にはずらりと並んだ兵士。

フランチェスカ様は目で軽く挨拶して…。

図書室に入った。

中では色んな種族の学生が…。

だべっている。

「はい、皆さん聞いてください。本日より、放課後俱楽部図書室研究会に入った新しい仲間です。」

手の平を叩いて注目を受けフランチェスカ様が話す。

少々緊張して自己紹介する。

「僕はビゴーニュ領出身のバリエンテと申します。剣は使えませんが、弓なら何とかなります。」

印象に残らない無難な自己紹介だ。

続くリリーさんが帝国式の…。

多分貴族式の挨拶で優雅に…。

「わたくしの名はリリー・デ・フロンタル。カルロス・ペニャーリア帝国、フロンタルの出身で亡くなった父は騎士で男爵を名乗っていました。」

「「「え…。」」帝国?」

ざわ・・。ざわ・・。

する学生たち。

いいぞ!注目は全部リリーさんだ。

「大丈夫なの?エリザ。」

「たぶんね。」

尋ねたエルフの少女に答え、室内に立つ女騎士を見るフランチェスカ様。

白犬耳少女達がリリーさんをテイスティングする。

「ふむ、そこはかとなく…。」「ベスタお母さま…。」「ベスタお母さまエール風味でございます。」

「「スンスン」」

前後に養女に挟まれリリーさんが観念する。

「ひっ!あ。あの、”帝国語”の練習台だと思っていだければ結構です。」

帝国の声に図書室が緊張する。

あ、室内の騎士は常時剣を握った状態だ。

「なるほど、王国訛りの帝国語では笑われるからな。」

エルフの少年のが答えた。

「あの、すみません。わたし南部の訛りが強いです。」

リリーさんが申し訳なさそうに答える。

「細かい発音とかに気が付けるのは宜しいかと思います。」

金髪の少女が納得する。

「ふーん、”ぼくのていこくごってなにかおかしい?”」

「あ、あの。語調が平坦です。」

リリーさんの答えに金髪の少年が面白がる。

「へー、僕の帝国語変なんだ…。」

「殿下…。」

重い色の金髪少年がたしなめる

「クローも帝国語で話してみてよ。」

笑顔の…。殿下!?

「いや、僕は…。」

しどろもどろの嗜み少年。

「殿下…。”殿下”」

驚愕のリリーさん。

「ああ、”この方はこの国の国王の子ですぅ。フィデリオ王子、姉上のヘンリエッテ王女、妹君のリーゼロッテ王女ですぅ”」

「「!(てぇん)」」

嗜み少年の言葉に思わず固まる。

帝国語は少ししか解らないけど王子王女の名前ぐらいは知っている。(エルフとドワーフが帝国語)

いかん、本当に何かやらかしたら斬られるヤツだ。

「リリーさん、クローの帝国語はどう?訛ってない。」

殿下が楽しそうだ。

「へっ!クロウさんの発音は非常に良いですが…。」

「へー、意外だな。」「クロー兄さん帝国語の発音良いんだ。」「まあ、マルカお母様直伝ですし。」

「ですが…。ってなにか僕はおかしいのか?」

嗜み少年が引っかかる。

「…。」

黙るリリーさん、視線を逸らしている。

「いや、本当に言ってくれ、何か可笑しいのか?」

「…。」

「本当に!指摘してくれないと直しようがないから!!」

詰め寄る嗜み少年に一呼吸してリリーさんが答えた。

「語尾が未婚の女性系です。」

「「「はあ!」」」

静寂な図書室内で全員が視線を交し合う。

「「「「うはははははは!」ヒー可笑しい!」そんな事あるんだ!」確かに!」

笑われ顔を真っ赤にする嗜み少年。

「クロー!良かったな!帝国貴族と会う前に解って。」

上機嫌の殿下がクロー様の肩を叩く。

「「「マルカお母様直伝ですー!!」」ぅ」

囃し立てる少女達に、焦る少年達。

「え?”我も女言葉でありますか?!”」「”見敵必殺”」「”総員突撃!!”」

駆け寄る少年達。

「え?何故軍事用語…。」

混乱するリリーさん、騒ぐ図書室内に兵が増える。

あ、完全武装だ。

「あの!」

僕の声が大きかったので全ての混乱が収まる。

「えー、少々度が過ぎました。ココで一旦仕切り直しましょぅ…。」

周りを見て語尾が霞む。

兵に取り囲まれている。

無言で頷くフランチェスカ様に女騎士が反応する。

「「「…。」」」

作業のように壁紙に戻る兵士達。

良かった、収まった。

「はい、では帝国語の練習は後程日を改めて。今年度の日程は未だです。」

フランチェスカ様が仕切る。

「「「はい!!」」」

「まだ新入生の勧誘は行っています。新しい方が増えるので自己紹介は全員が揃った時にもう一度行います。」

こちらの顔を見て話すフランチェスカ様。

「はっ!」

なぜか緊張する。

「お時間があるのなら明日も放課後図書室で。」

「「「はい!」」明日用事あったかな?」「ないない。」

よし!良いぞ明日は授業が終わったら寮に直行だ!!


ダラダラと時間を潰し、お迎えの知らせが来て。

学園のロータリーで宮殿行きの馬車の車列とビゴーニュ様の王都お屋敷に行く馬車の車列を見送る…。

女生徒同士が別れの挨拶を行っている。

完全武装の騎士が周囲を固めていて…。

護衛対象には紳士である様子で手を振る幼女には笑顔で答えて周囲の騎士は鋭い視線を絶やさない。

ビゴーニュ様の王都の騎士はなんか…。

態度が荒いな。(グンマー)


解散したので寮に戻る。

特に何もなく一日が終わってしまった。

寝る前に寮の中庭から星を見ながら考える。

明日は…。

どうしよう?

リリーさんに任せて消える方法を模索しよう。


(#◎皿◎´)ばっくれ!

(´・ω・`)作者も一次会で消えます…。(奢り以外は。)

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婚約破棄された伯爵令嬢は悪女を目指す。-そうしないと御家の危機だそうです。- 焼肉バンタム @arino_ryousi

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