九夏三伏
夏々
【夏を想う】
夏になると「冬になったら寒いなんて考えられない」と言うように、冬になると「夏のあの暑さが嘘みたい」と思う。
私は冬が好きだ。
キンと冷えて透き通った空気を吸い込む冬の最初の日が好きだ。朝、窓を開けて見える銀世界が好きだ。ちらちらと降る雪を眺めるのが格別に好きだ。でも寒い廊下や、凍えそうなほど冷たいベッドや、いつまで経っても暖かくならない爪先は嫌いだ。
そんな中、夏の映画を観た。
夏祭り、浴衣、壁掛けの扇風機、半袖、風鈴、海の青。太陽の光のあまりの眩しさに、驚く。
その時思い出した。夏の、あのうんざりするような暑さを。
瞬間、私は思った。
夏のあのじっとりと肌を撫でる暑さは、なんて
これを読む誰かも、あなたも、どうか脳裏で夏を呼び起こしてほしい。
冷房をかけた部屋、外は灼熱で、リビングを出たそこは鬱蒼とした森の中のようにだるい暑さを孕んでいて。あなたは汗をかいて、服の中でかいた汗に嫌な気持ちがするだろう。
まばゆい日差しに帽子を被っても、暑さが紛れるわけではなくて。熱を持ったTシャツが熱くてしょうがないだろう。しっとりと濡れた腕を
夏のあの暑さが、決して恋しいとかではないけど、私はまた会えるのを楽しみに思う。
九夏三伏 夏々 @kaka_natunatu
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