私の体

ミンイチ

第1話

「うん、うん、大丈夫だから じゃぁね」


 そう言って親からの電話を切る。


 親からは週に1〜2度電話がかかってくる。


 毎回毎回ほとんど同じ内容ばかり話す。


 しかし、今回は少し違う内容を話した。


 1ヶ月ほど前に私は交通事故に巻き込まれ、大怪我をした。


 それについての心配の電話であった。


 その時の怪我はとてもひどいもので、これからの人生で一般的に考えられる普通の生活をすることはできないと思われるほどだった。


 しかし、私はなんとか普通の生活に戻ることができた。


 一部の身体機能と、少しの娯楽を失うことによって…



 私は大学で人工人体の研究をしていた。


 そして、その技術で私の新しい体を作ったのだ。


 しかし、一部の身体機能を失い、先輩と教授のおふざけで私の体はおかしくなってしまった。


 戦車の砲弾でも無傷・リニアモーターカー並みに早く走れる・宇宙空間に生身で放り出されても活動可能などなど……


 しかも、体のところどころに金属が入っているので、金属探知機に引っかかってしまうだろう。


 唯一の救いは、武装は何もつけられなかったことだろう。



 親からは『体はもう大丈夫なのか?』と聞かれた。


 私が普段の生活をする範囲においては『大丈夫』だ。


 しかし、私の人生全体で見れば『大丈夫じゃない』のだ。

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私の体 ミンイチ @DoTK

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