最強コンビの宇宙征服

ちゃむ

権力の惑星

第1話 史上最強のコンビ

 寂れた街の中を一匹の黒いワニ獣人が歩いていた。ワニは非常にガタイが良く、上半身から下半身、さらに尻尾の先にまで筋肉の発達が見て取れた。得に上半身の発達が顕著で、大胸筋は顔よりも前に突き出るほど丸々と盛り上がっていた。全身に纏った黒い鱗は綺麗な光沢を持ちながら、ワニの肉体に沿ってびっしり並んでいた。顔は前後に長く、口からは無数の鋭い牙が見え、目つきも鋭い。


 ワニはやがて街の広場にたどり着いた。その直後、突如として地面が大きく揺れ始めたかと思うと、広場の中央に大きな亀裂が入り、そこから巨大な何かが現れた。よく見ると、それは、山と見紛うほどの巨体を誇るドラゴンだった。真っ赤な鱗が全身を覆っていて、口からは絶えず炎を吹き出している。全身から赤と黄色の炎のオーラと、見る者を恐怖させるほどの禍々しい雰囲気を放っている。


 ワニは腕を組んだ状態で、そのドラゴンを見上げていると、ドラゴンは空を覆い隠すほどの巨大な翼を広げ、ゆっくりと口を開き、そこに膨大な量の魔力を集め始めた。


 ギュオオオオオオオオオオオオ!!!


 凄まじい轟音を辺り一帯に響き渡らせながら、ドラゴンの巨大な顎に炎が集まっていく。次第にその炎は大きくなっていき、ついには太陽にも匹敵するほどの大きさになった。


 それでもドラゴンはさらに火力を上げるべく魔力を送り続ける。巨大な炎の塊は輝きを増していき、黄色から明るい青へと変わっていく。それに伴って周囲の気温が上昇していき、大気が熱を帯びて揺らぎ始める。近くにあった建物が勝手に燃えていく。この場にいるだけで焼け死んでしまいそうだ。


 それでもなおワニはただ腕を組んでドラゴンの前に立ち、その様子を眺めていた。


 ギュイイイイイイイイイイイイイッ!!!


 ドラゴンのブレスのチャージ音が鳴り止んだ次の瞬間、ドラゴンは極限まで高まった強大なる力を解き放った!


 ドオオオッッゴォオオォオオオオオ!!!!


 ドラゴンから打ち出されたのは、何十万度にもなる凄まじい熱量を持った、街を覆うほどの極太の獄炎ブレスだった。それは一瞬にしてワニと街を飲み込み、さらに惑星の表面の一部までも吹き飛ばした。まさに天変地異と呼べるほどの圧倒的な破壊力がそこにはあった。


 ズガガガガガガガガガガガガガ!!!


 ドラゴンの巨大な顎の何十倍もの太さの獄炎ブレスが大地を穿ち続ける。すると惑星全体が熱を帯び始め、ひびが入り始める。そしてついに―――


 ドッガァァァアアアアアン!!!!!!


 惑星全体にひび割れが広がり、そのまま粉々になって砕け散っていった。後に残ったのは宇宙に浮かぶ大きな岩だけだった。


 己が持つ魔力の全てを解放した全力の一撃を放ったドラゴンは、かつて惑星があった場所の中心へ向かって行った。


 そこには何事もなかったかのように宇宙を漂っているワニの姿があった。鱗には傷一つなく、綺麗な光沢を輝かせていた。


 ワニはくるりとドラゴンの方を向くと、ニタリと笑った。


 そしてドラゴンも同じように笑うと、ワニに向かって言った。


「久しぶりじゃのう、我が友よ」

「お前も随分パワーアップしてるな。さっきの挨拶、かなり効いたぜ?」

「ガッハッハ!あの程度の攻撃でどうにかなる貴様ではないと思っておったが、まさか無傷とは恐れ入ったわい!」

「ハッハァーッ!俺を傷つけるならもっと何百倍も火力の強いブレスを放つんだな!」

 二人は愉快そうな声で会話を続けた後、再び視線を交わし合った。


「どうだ?久しぶりに俺と一緒に宇宙征服をしないか?」

「ガハハ!お主らしい誘い方じゃわい!」

 ドラゴンは愉快そうに笑う。

「良いだろう。ワシもちょうど退屈していたところだ……。では早速行くとするかのぅ……」

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最強コンビの宇宙征服 ちゃむ @BulkieCharge

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