第5話
「ご馳走様でした」
そう、挨拶をし帰路に着く。
しばらくすると、曲がり角にさっきまで一緒だった女の子がいた。
「莉子さん・・・」
敢えてファーストネームで呼ぶ。
「陸くん、先ほどぶり、少しいい?」
「うん」
こうして二人で歩く。
そして、公園に着く。
「ここでいい?」
「ああ」
そして、公園のベンチに腰を下す。
「・・・もう、気が付いているんでしょ?」
「ああ。僕は過去に戻ったんだね。君が死ぬ前の」
「正解。さすがだね」
今更驚かない。
「でも、どうして・・・」
「運命は変えられない。私は本来と同じ時間に命を落とすわ。でも・・・」
「でも?」
「人生は変えられる。私はその人生を変えに来たの」
過去は変えられないというが・・・
「確かにね。でも、今の自分が記憶を消されて戻ってきているのだとしたら」
「その話もあるね」
「うん。でも、私の場合は記憶が残っていたみたい。だとしたら、やることはひとつ」
「合作だね」
「正解」
莉子さんは、パチパチする。
「しゃべるね」
「うん。本当はこっちが素。ただ、面倒くさいから話さなかった」
「そうなのか・・・」
彼女が旅立つまで、後半年。
「ごめんね、付き添わせて」
「お互い様だよ」
握手をする。
柔らかくて、温かい手だ。
未来の記憶(仮) 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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