第5話 血生臭い愛好会
「そっち持って~」
「え~、この人重そう~」
「いいからー」
「はーい」
血生臭い匂いがする。でもその匂いの虜になる人は多い。
これからこの人を調理するのか~。
大変そう。だってこの人でっかいんだもん。
「もう死んでるから痛みも感じない。流石、優しい毒野様。」
「これから体切られるんだもんね~。そりゃ、生きてたらきついよ。」
私達には毒野美奇様という先輩がいる。
カニバリズム愛好会のリーダーだ。
このカニバリズム愛好会は、死にたい人からお金をもらってその人を殺し食べることで成り立っている。
私もカニバリズムが大好き。でも、この愛好会のこともカニバリズムが好きなことも、愛好会に入ってる人以外には言っちゃ駄目。
そうじゃないと警察とかに捕まっちゃうから。
特に最近このカニバリズム愛好会の間で「気を付けなければならない」と言われているのは愛情配布団体。
あの団体は犯罪者にハートを与え、犯罪を出来なくする。そんなことされたらこの愛好会は困る。
私達のやってることは一応犯罪だから、バレたら愛情配布団体に潰されるだろう。
でもそんなのは嫌だ。私達の大好きなカニバリズムを奪われたら、私達には何が残るのだろう。
みんな生きる意味を失う。
ハートを使ったって、私達のカニバリズムへの愛情は消えない。何も変わらない。
だってハートは、その人の悪意を消すものだから。
私達には悪意なんてない。痛みをなるべく与えないように殺してから食べているし、食べられる人が殺されることを望んでいるのだから、何も悪いことはしていない。
でもきっと、愛情配布団体は分かってくれないだろう。
どんなに私達にハートを使っても、私達がこの活動をやめようと思わないこと。
「紗子(さこ)~!早く解体するよ~!」
やばい!呼ばれた!急がないと!
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