第2話 挨拶

私達が来た山には警察が来て、父は連れていかれた。父はずっと泣いていた。ごめんなさいと謝りながら。

ムーアさんが近づいてくる。

そしてキョロキョロするムーアさん。

「みのるー!みつー!」

大きな声で叫んだその先にはあのひらひらドレスの人と派手な髪色の人がいた。

するとそのお二人もこちらへ近づいてくる。

そして挨拶された。

「艶美実(つやびみのる)よ。こういう可愛いのが好きでドレスとか着ちゃうの。香さんも可愛いものが好きなら、一緒にショッピングとかしましょ♪」

「強山蜜(きょうやまみつ)です。好きなものはたんぱく質。筋トレも好きです。一緒にやりますか?」

「ふふっ、二人とも香ちゃんのことが気になるみたいだよ~。自己紹介してあげたら?」

ムーアさんにそう促され、私は三人の顔を見上げた。

「草野香です。ずっと父から虐待を受けていました。助けてくれていたお母さんは父に殺され、どうしたらいいかわからなかったときに愛情配布団体が助けてくれました。私も、私みたいにつらい思いをしてる人を救いたいです。よろしくおねがいします!」

すると、パチパチと拍手の音が聞こえた。

「へ~!そうなのね!頑張って耐えてたのね。偉いわ。その心の強さがあれば、団体でもやっていけるわよ。」

「虐待、よく助けます。香さんもきっと誰かを助けられます。」

なんだか涙が出そうだ。

「香ちゃん!今から理事長に挨拶に行こ!それで香ちゃんは今日から訓練だ!」

「はい!お願いします!」

ムーアさんの運転する車に乗って、事務所のあるビルに向かう。ビルに着いた。三階へ上がり扉を開けると、艶美さんと同じくらいの背の高さ...170cmくらいの女性が立って待っていた。

「理事長の愛村黒(あいむらくろ)です。草野香さんですね。そちらの椅子におかけください。」

私が椅子に座ると、理事長はその向かいに座る。

「愛情配布団体についての簡単な説明をさせてください。この団体は、国からのお金で活動しています。公務員です。働く前に訓練をしてもらうんだけど、その訓練中もお給料は発生します。寮も使えます。愛情配布団体がどんな活動をしているかはニュースとかで知ってると思うけど、一応説明させてください。」

そしてパンフレットを私の前に置いた。

「愛情配布団体は、犯罪者の更生のために活動しています。ハートと呼ばれるピンクの液体を人の体の中に入れることで、心が愛情でいっぱいになり、罪を犯すことができなくなるというシステムです。警察に渡されたあとも定期的にハートを処方し、出所したあともハートの入った薬を飲み続けることで、心も安定し、犯罪に手を染めることもなくなります。ハートの処方の仕方は場合によって異なり、草野さんの場合は、銃の訓練をしてもらって、銃を使った遠距離からの犯人への処方がいいと思います。」

なるほど...銃か。

「じゃあ私、銃使います。訓練よろしくお願いします!」

すると理事長は写真を二枚出した。

「この子達も銃を使っているんですよ。実際に銃で処方したこともある子達だから、訓練は、この子達に教えてもらいながらやった方が良いと思います。」

「はい!わかりました!」

いよいよ訓練が始まるのか!








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