善と悪の意味。

音佐りんご。

英雄と巨悪。

 □■■□


  砕け散った空を見上げて膝をつくルカ。


ルカ:どうしてこんなことに……。

 これまで俺のやってきたことは無意味だったというのか……!

アポロン:無意味? それは違うね。ルカ・ラストホープ。

ルカ:……!? お前は!


  ルカの背後に音もなく現れるアポロン。


アポロン:ご存知、僕はアポロン・マリーゴールド。君にとって永遠の敵さ。

ルカ:お前がどうして生きている!

アポロン:ごきげんようルカ。その後調子はどうだい? あれから随分経ったけれど、元気にしていたかな? 目的は果たせた?

ルカ:お前は確かにこの手で倒したはずだ!

アポロン:そして世界を救ったはず、かな?

ルカ:……!? これはお前の仕業なのか!

アポロン:おいおい、早合点しないで欲しいね。僕に関係があると思う?

ルカ:思う!

アポロン:だろうね。

ルカ:答えろ、アポロン!

アポロン:決断の早さは君の良いところではあるけれどさ。まずは剣を下ろせよ。僕はこの通り丸腰だぜ?

ルカ:何も持っていないことに何の意味がある! お前に武器は必要ないだろう!

アポロン:あぁそうさ、無意味だよそれは。僕らに武器は必要ない。話し合おうルカ。

ルカ:お前と話すことなど無い!

アポロン:君は変わらないね。そんなだから世界も変えられない。

ルカ:黙れ諸悪の根源! 世界を滅ぼしたやつが何を言う!

アポロン:やれやれ、この状況でも未だそんなことを言えるなんて驚きだね英雄? 目の前に広がる光景が、君のやってきた行動の全てだというのに。

ルカ:なんだと! 俺は世界を救うために――!

アポロン:世界を救うために世界を滅ぼしたのかい?

ルカ:……!? そ、そんなことはない!

アポロン:あるさ、現実を受け入れてくれよルカ。君にいつまでも夢を見ていられては困るんだよ僕は。

ルカ:夢だって!? 俺はお前という悪夢からこの世界を解き放ったんだ。

アポロン:悪夢か。確かに僕という存在は悪夢だったろう。幻想を生きる者達からすればね。

ルカ:幻想だと?

アポロン:僕を倒せば世界は救われるって、君は、君達は信じていただろう? 何の根拠もないというのに。

ルカ:根拠? お前はその力で世界に恐怖と混沌を振りまいていたじゃないか!

アポロン:恐怖と混沌。身に覚えがないね。

ルカ:お前がプラリスの街と神殿を滅ぼしたことで大地の恵みは枯れ、空を支えるイル・カレディオの塔と、海の神の墓所メオラ・テルナダが無くなり世界に未曾有の災害が起こった。

アポロン:あー。そんなこともあったね。

ルカ:あったね、だと!? お前のせいでどれだけの人が犠牲になったと思う!

アポロン:僕は警告していたよ。死にたくなければ失せろとね。なのに君達はわざわざあの地に集まってきたじゃないか。どうしてあんな愚かなことをしたのか理解に苦しむよ。

ルカ:当たり前だろ! お前の蛮行を止めるためにみんな集まったんだ! それを愚かだって!?

アポロン:それで、君達は何か守れたのかい? 欲しいものは手に入った?

ルカ:……それは!

アポロン:何も守れなかった、全て失ったよ。ご覧の通りこの結果だ。

ルカ:それを、それをやったお前が言うのか!

アポロン:僕からすれば僕をやっただけの君が何を言うのかって感じなんだけどね。まぁ、それが英雄と呼ばれるに足るとんでもない難易度の偉業であるのは確かなんだろうけどね。いやぁ、よくもこの僕を倒してくれたものだよ。それはもしかすると世界を救うよりも難しかったと思うよ。自慢じゃないけど、あの時の僕ってば、並の神様ならワンパンで倒せるくらい強かったんだけどね。賞賛に値するね。やぁ、おめでとう、英雄ルカ・ラストホープ。君のおかげで――世界は滅んだ。

ルカ:うるさい黙れ! 死人が口を開くな!

アポロン:ところがどっこい、まぁ僕は現にこうしてここにいるわけだ。喋る舌を持っているのなら僕らは語り合わなければならない。そう思わないかな?

ルカ:思わない! お前と話す舌なんて持たない。

アポロン:思えよ。持てよ。それで君は失敗したんだろうが。

ルカ:失敗? ああ、目の前にお前がいると言うことは、俺はお前を仕留め損ねたんだろう、そして世界はこんなことになった。だから、今度こそ息の根を止めてやる!

アポロン:あのねぇルカ。僕はもう死んでるよ?

ルカ:死んでいる? ならどうして死人が喋る? どうにかして復活したんじゃないのか!?

アポロン:どうにかしたって何だよ? 君ってさ、ほんと雑だよね。

ルカ:何だと!

アポロン:僕を倒せばどうにかして世界が救われるとか、倒した僕がどうにかして復活したとか。どうしてそう何でもかんでも都合良く解釈するんだい?

ルカ:お前が生きていることがどうして都合良くなる!

アポロン:まぁ、それは普通そうなんだけどね。でも、考えてみろよルカ。きっと今の君にとってはその方が都合が良いんだよ。

ルカ:何だと?

アポロン:だって、全部僕のせいに出来てしまうんだからね。これまでみたいに。

ルカ:何を言っている、この世界が滅んだのはお前のせいじゃないのか! こんなことになったのは!?

アポロン:違うよ。こんなことになったのは君のせいで、残念ながら今の僕にそれだけの力は無い。僕は間違いなく君という存在に敗れ、完膚なきまでに死んだ。今ここにいる僕はアポロン・マリーゴールドの残響だよ。

ルカ:残響……?

アポロン:大いなる力の余波というのかね。君と戦った際に君の魂に焼き付いた存在なんだ。言わば怨念かな?

ルカ:怨念?

アポロン:だからこの僕に実体はない。剣を下ろせと言ったのはそういうこと。無意味だからね。

ルカ:嘘だ!

アポロン:ああ、そうそう。残念なのは君にとって、という意味だよ。

ルカ:どういう意味だ。

アポロン:僕は確かに死んでしまったけれど、別に残念でもないんだ。もちろん恨んでもいなければ無念でもない。怨念とは言ったけどね。この結果については大方思惑通り。

ルカ:…………!

アポロン:……と言うと君は激しく反発するだろうから、言っておくけれど、この事態は想像の範囲内だ。まさかほんとにこうなるなんて夢にも思わなかったけれどね。だからそれこそ、これはある意味僕にとっては悪夢だ。最高の悪夢なんだよ、ルカ。

ルカ:悪夢? アポロン! お前はさっきから何を言ってるんだ! お前の言っていることは一つも理解できない!

アポロン:一つも理解できないことをそんな得意げに言われても僕としてはせめて一つくらい理解してくれと戸惑うばかりなんだけれど、そうだね。考え無しの君がこうして僕のことに興味を持ってくれている、と考えるなら、話さないわけにもいかないよね? 良い徴候だ。長考しない短慮な君にしては珍しくね。

ルカ:俺を馬鹿にしているのか!

アポロン:まさかされないとでも思っていたのか? 君は本当に馬鹿だねぇ。救いようがない救世主だ。そんなんだから世界を滅ぼすことになるんだよ。

ルカ:世界を滅ぼしたのはお前だ!

アポロン:仮にそうだとして、僕を殺すことに何の意味があったんだい?

ルカ:あるに決まってるだろ!

アポロン:どんな?

ルカ:それは……、お、お前は世界に害を為す存在だ!

アポロン:そうだね。

ルカ:それを排除することは世界を救うことに繋がる筈だ!

アポロン:筈ってさぁ、君。それで実際世界は救われたのかい? 僕を殺すことで誰かが救われた? 人々は平和になった? 幸せや笑顔に満ちている? 夢や希望に溢れてる? 答えは言うまでも無いじゃないか。

ルカ:それは……。

アポロン:君に世界は救えなかった。

ルカ:……ああ。

アポロン:君はもう気付いているはずだよ。僕のせいにしてみたところで、どこか違和感を覚えている。そして君はあの崩壊した空を見上げてこぼしただろう?


  間。


ルカ:どうしてこんなことに……?

アポロン:そうだね。それでなんて?

ルカ:やはり、これまで俺のやってきたことは無意味だったのかアポロン。

アポロン:いいや、違うねルカ。

ルカ:え?

アポロン:僕は君の行動を無意味だなんて言っていないよ。

ルカ:でも!

アポロン:聞かせてよ、ルカ。

ルカ:どうして俺がお前に、世界を滅ぼしたお前にそんなことを話さなきゃいけない、俺は英雄なんだ! 救世主なんだ! 世界を救うために戦い抜いた! 俺は世界を救うために――!

アポロン:世界を救うために世界を滅ぼした。

ルカ:…………。

アポロン:さっき僕は君にそう言った。けれど、そうじゃ無い。君はそう言われたんだろう? 彼らに。僕に聞かせてよ、ルカ。

ルカ:俺はお前となんて……。

アポロン:話せるさ。僕らは対等だ。

ルカ:対等?

アポロン:負い目のある彼らと違って、英雄と英雄に倒されこの僕は対等だ。違うかな?

ルカ:……分からない。

アポロン:ゆっくりで良いよ、聞かせて欲しい。

ルカ:敵であるお前にどうして。

アポロン:敵たり得たからこそさ。

ルカ:でも、わかり合えると思えない。

アポロン:ああ、僕らはわかり合えなかった。

ルカ:そうだ。そうなんだ。俺達はわかり合えない。

アポロン:でも、確かに渡り合えたんだ。

ルカ:渡り合う?

アポロン:それは対等ということだ。

ルカ:対等……。

アポロン:まぁ、時間はそれ程残されてないかもしれないけど、僕は君の話を聞くよ。彼らと違ってね。

ルカ:…………。

アポロン:聞かせてよ、ルカ。君の思いを。君の考えを。


  間。


ルカ:俺は、言われたんだ。

アポロン:誰に?

ルカ:救えなかった人々に。

アポロン:なんて言われたのかな?

ルカ:なんでもっと早く行動しなかった、どうして世界を救わなかった、役立たず。世界を救えなくて何が英雄だって。

アポロン:そう。

ルカ:アポロン、お前を殺した俺がそんなことを訪ねるなんて許しがたいかもしれないが。

アポロン:許すも許さないも、僕らの間にあるものか。僕は僕の為すべきと思ったことを。君は君の為すべきと思ったことをやってきた。そうだろう?

ルカ:ああ。そのつもりだった。

アポロン:なら、遠慮はいらないさ。

ルカ:……アポロン。

アポロン:どうしたんだいルカ。

ルカ:俺のやってきたことは無意味だったのか?

アポロン:愚問だね。

ルカ:やはり俺は愚かなのだろうな。

アポロン:愚かなのは否定しないが、僕は、そんなひどいことは言わないさ。

ルカ:え……?

アポロン:だって君はあんなにも頑張って行動したんだ。あまり得意ではないのに頭を使って行動した。

ルカ:その結果がこの光景だ。お前はさっきそう言ったじゃないか。

アポロン:ああ。世界を救うため巨悪であるこの僕に立ち向かい、弱き者を救った。

ルカ:救ったはずの者に石を投げられた。

アポロン:君は賞賛されるに足るだけの価値を生み出し、君は為すべきと思ったことを為したのにね。

ルカ:なら、無意味だったんだ。余計なことだった。俺は何もしなければ良かった。そうだろう?

アポロン:いいや、意味はあったさ。

ルカ:……慰めはいらない。

アポロン:君には慰めが必要だよ。

ルカ:慰め? いいや、この俺に必要なのは罰だろう。僕のやったことでこの世界に起こったのは多大なる犠牲と混迷を伴う災害だ。既存の社会の滅亡だ。世界を救えると思い上がった愚か者が、その引き金を引いたんだ。

アポロン:僕はその行動を無意味だなんて言わないよ。君のやってきたことは無為でも無価値でもない。

ルカ:でも気付いていた。けれど見て見ぬふりをした。お前を倒せば全てが上手くいくと自らを欺いた。世界を覆う巨悪を倒せば、世界は救われるのだと、そんな甘い幻想に浸り、一心不乱にお前を討つことだけを考えた。

アポロン:そうだね。君は悪の先導者である船頭を、或いは悪意ある扇動者である船員を殺した。その悪もまた、船の航行にとって欠かせない存在だったということかな。結果論だけれどね。

ルカ:ああ。船が座礁するリスクを考えていなかった。俺に船を操るような力はないというのに。だから本当に考えるべきは、お前をどうすれば倒せるかではなく、どうすればこの船を救えるかだった。とんだお笑い草だ。

アポロン:笑わないさ。とはいえ、己が溢れ落ちそうになったとき、手近にあった君という善なる藁に縋ったに過ぎない。沈みゆく船に巣食った救い難く愚かな民衆は、ね。そして、強大な力を持つ君もまた縋ったのさ。君にとって、僕ほど相応しい藁はないからね?

ルカ:ああ、強大な力を持ったお前という悪に、愚かな俺は縋った。この世界を救うことと、アポロン・マリーゴールド、お前を倒すことは違うというのに。ああ、お前の目的がやっと分かった。

アポロン:そうかい。でも、何度も言うけれど、身に余る正義感で均衡を崩し世界を崩壊に導いた君を、僕は責めないよ。それを誰に責められると言うんだい? 乗客を殺してまわったのは確かにこの僕なんだ。罪を背負ったのはこの僕で、罪人を処断したその罰を受けるべきなのは、果たして君だろうか。いいや、違うね。

ルカ:けれど、それはお前であるべきだとも思わない。お前はこの船の積み荷を減らそうとしたんだろ? でなければ沈んでしまうから。

アポロン:どうだろうね。

ルカ:あの空がどうして割れてしまったのか。俺は考えた。プラリスの街と神殿を滅ぼしたから? 空を支えるイル・カレディオの塔と、海の神の墓所メオラ・テルナダを破壊したから? それとも、お前が神をも凌ぐ力を手に入れたから? 或いは――。

アポロン:君が僕を殺したから。

ルカ:でも、そのどれもが理由であって理由でない。そうなんだろ? アポロン。

アポロン:ああ。

ルカ:この世界は、何もしなくても滅んでいた。ただ、

アポロン:僕の計画はそれを早め、

ルカ:俺の選択はそれを悪化させた。

アポロン:けれど僕は君のやったことを無意味だとも無価値だとも無為だとも言わないよ。

ルカ:お前はそう言うだろうな。

アポロン:君は無謀だったのさ。

ルカ:無謀か。もっと考えていれば、何か変わったのか?

アポロン:変わらないよ。僕がこんなにもめちゃくちゃにしても変わらない世界だ。君がそれに張り合ったところで、そう簡単に変わったりはしない。

ルカ:なら、やっぱり無意味じゃないか。

アポロン:だとしても僕はそんな君に賞賛を送るよ。おめでとう。

ルカ:皮肉か?

アポロン:君は誰にも為し得なかった、偉業――世界の破滅を見事成し遂げたんだ。

ルカ:もう、やめてくれ。そんなことを言うために、俺の前に現れたのか? お前は世界を完膚なきまでに滅ぼしたんだと。あいつらと同じことを言いに来たのか、アポロン。

アポロン:違うとも言えるしそうだとも言える。だって、それはとても意味のあることじゃないか。

ルカ:何の意味がある? 意味なんて無い。それがこの結果だ。意味も価値も全て消え去った。この俺の手で……。

アポロン:おいおい。何を俯いてるんだい? ルカ。

ルカ:見上げても、滅びしかないじゃないか。

アポロン:君がそんなザマだったら、直接手を下した悪人も。間接的に根絶やしにした弱者も。でなきゃ無駄死にになってしまうよ?

ルカ:そんなものとうに失ったんだ。意味も価値も秩序も。

アポロン:失った……。

アポロン:失ったのならこれから作れば良いのさ。

ルカ:何?

アポロン:それが君のこれから為すことだと僕は思うけれどね。

ルカ:この血にまみれた手に何が出来ると言うんだ。

アポロン:顔を上げなよ? 英雄。

ルカ:いやだ。もう何も見たくない。友の裏切りも。彼らの醜さも。世界の闇も。残酷な現実も。居心地の良い悪夢も。俺は何も見たくないんだ。

アポロン:おいおい、ワガママ言うなよ英雄。

ルカ:俺は英雄なんかじゃない。何も救えなかったんだ。もう放っておいてくれ! 俺には何も出来ない。出来るはずが無い!

アポロン:できるさ君の手なら。

ルカ:どうして! この手にはお前のような悪を握り潰した罰しか残ってないじゃないか!

アポロン:ならば僕の手にも罪が染みついているさ。何人の善人を殺したと思う? 世界を救うというお題目の為にいくつの正義を踏みにじったと思う? それは君と同じじゃないのか。

ルカ:違う。同じじゃない! 俺はお前とは違う。

アポロン:いいや手段が違っただけで、目的は同じだった。渡り合い、そして語り合った。そして今分かり合おうとしているんじゃ無いのか? ルカ・ラストホープ!

ルカ:アポロン……。

アポロン:さぁ、この僕の手をとって。


  アポロン、ルカに手を差し出す。


ルカ:それで今更何が出来る。世界はこれから消えて無くなるんだろ? その手を取ることに何の意味がある……!

アポロン:意味か。今は無い。

ルカ:だったら……!

アポロン:だから作るんだよ、僕らで。

ルカ:作るなんて、本気で言っているのか? この血に塗れ罪と罰に満ちた手で?

アポロン:ああ、そうさ。僕らの手にした罪と罰で、まっさらになった世界にこれから新たな世界を作ろうじゃないか。

ルカ:狂ってる、そんなの!

アポロン:元々この世界は狂ってたんだ。だから僕らがそれを壊す。いや、もう壊した。このままじゃただ滅びるのを待つばかりだ。でも、ここには僕らがいる。

ルカ:出来ると思うのか! 敵同士だったんだぞ?!

アポロン:敵同士だったからこそだ。僕らは対等なんだよ。

ルカ:対等?

アポロン:君と僕となら紛い物じゃない、本当の神にだってなれるさ。だから手を貸してくれ、ルカ。

ルカ:神になんてなれるものか!

アポロン:出来るさ!

ルカ:どうして! 根拠は!

アポロン:根拠なんて無い!

ルカ:な!?

アポロン:でも確信しているんだ。君と僕ならやれるって。

ルカ:……世界を救えるって?

アポロン:ああ。


アポロン:英雄と巨悪ならね。


ルカ:……対の神になるということか?

アポロン:そこまで大仰なことではないけれど。

ルカ:神になると言ったその口で言うのか?

アポロン:それもそうだね。

ルカ:お前の言葉の意味が分からない。

アポロン:僕も君の心が分からないけどね。

ルカ:何も分かってないじゃないか。そんなんでほんとにやれるのか?

アポロン:約束は出来ない。

ルカ:おい!

アポロン:でも、そんな感じがしないかい?

ルカ:そんな感じ?

アポロン:やれそうだって。

ルカ:……そうだな。

アポロン:お互いよく分からなくても君と僕なら何でもやれる。

ルカ:…………そうすれば世界は変えられるのか……?

アポロン:あぁ。手を取ってくれないか、ルカ・ラストホープ。

ルカ:わかった。


  ルカ、アポロンの手を掴む。


ルカ:この救われない世界を救おう。アポロン・マリーゴールド。

アポロン:ああ。もちろんさ。それが僕ら善と悪の本当の意味なんだよ。


 ■□□■

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善と悪の意味。 音佐りんご。 @ringo_otosa

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