第1話 猫
「‥ぷしゅ」
ふらふらとどう見ても具合が悪そうな灰色の子猫が目の前にいる。先ほどから一定のタイミングで咳なのかくしゃみなのかわからない音を鳴らしている。
「‥‥どうすりゃいいんだ?」
ぐったりとみるみる体調が悪化する子猫に戸惑いながら様々な考えが巡る。助けたはいいがその後はどうするのか?自分の家で飼える保証もないし、かといって見捨てるのもなんだかなぁとも思う。
「にゃー」
小さな小さな声だった。だが小さな声とは裏腹にその翡翠色の瞳は力強く前を見つめている。自分は必ず生きると言わんばかりの強い目だった。
その目をみて僕はいつのまにか子猫を抱き上げていた。
「とりあえず病院?に行けばいいのかな?」
スマホで最寄りの動物病院を探し連れて行くことにした。学校は間に合わなくなるがそもそも友達もろくにいないし一日サボっても自分の影の薄さからそんなに問題にはならないと思う。
子猫は暴れることもなく僕の腕の中ですぅすぅと寝息を立ている。
「‥‥大物になるよお前」
あまりの警戒心のなさにそこそこ呆れつつも通学路に動物病院が意外にもかなり近くにあった。意識しないとぜんぜんわからないものである。着いたはいいものの正直どうしていいかわからないため病院の受付に問い合わせてみようと思う。
「今回はどうされましたか?」
「えっと‥道端にいた子猫の具合が悪くて‥正直どうしていいかわからなくて‥」
「あらあら大変だわ。すぐに診察しましょう」
「ありがとうございます」
そう言って受付のお姉さんと一緒に診察室に向かうことになった。
灰色猫と僕 @max4545max
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