第3話

「人型、蝙蝠、熊、蜥蜴。誰も実体を見ていなく、実害はない。そんな魔物いたかなぁ」

 図書館の受付カウンター内で、京介は呟く。

「実体がなく、不定形なら、影が本体の魔物だろう」

 パソコンで貸し出し図書のリスト整理を行っていた清住が、淡々とした口調で言う。

「もちろん、俺もそう思った。で、影に関する魔道書を全部調べたが、一冊も盗まれたり、無許可で閲覧されたりした形跡はなかったんだ」

 小学生のように、イスを傾けてブラブラとしながら京介は言った。

「やっぱりパワーダストじゃないのか?」

 清住の言葉に、京介は頷かない。

「どうかな。確かにパワーダストは黒い靄のような物質で形成されることが多いから、影と見間違う可能性はある。しかし、だ。保安局の連中がそれを断定しきれていないのが気になる」

「それもそうか。魔法を使った際に生じる過剰エネルギーが解消されないまま留まり、それらが集まって一つの形になり、時には意志さえ持つ現象、“魔法の残りカス(パワーダスト)”。本来、保管局はそれらを解消するのが専門だ。いくら生徒運営の組織とはいえ、彼らも僕らと同じく、校内での戦闘や魔法使用許可の権利を持っている生徒だ。彼らが解決できないということ自体、問題ではあるね」

 清住は言った。

「報告書によると、影への直接攻撃は試みたものの、手ごたえがなく、反応していない様子だったとか。どれも夕暮れや夜だったために、命中したかどうか確信はないとのことですが」

 別の机で調べ者をしていた透湖が二人の会話に割って入った。

「しかも、さきほど隊長の言われたとおり、立ち入り禁止のフロアの禁書、魔道書は、全て特に問題はなし。侵入の形跡もありません」

「う~ん、わからないな。とにかく、しばらく張り込んでみるか。面倒だけど」

 京介はそう言って、スマートフォンを取り出す。電話帳機能から、南雲解の名前を検索し、コール。

「あ、解? そうそう。えっと、仕事だよん。それも夕方から深夜にかけての張り込み。そう、うん。もちろん、解一人で。えー、やだよ、寒いし暗いじゃん」

 どうやら、解に一人で張り込みをさせる交渉命令をしているようだ。

「わかったよ、しょうがないな。みゅーっちと一緒でいいから。え? 大丈夫、大丈夫。許可は俺が取っておくよ」

 ピッと電話を切って、京介は透湖と清住に向き直った。

「張り込みは解君が『是非やらせて下さい』と志願してきてくれたよ。みゅーっちも一緒にね」

 押し付けておいて、よく言う、と、透湖は首を左右に振った。

「正体不明なら、僕たちが行くべきじゃないのか? 実戦経験が多い妃院ならまだしも、あの二人では危険すぎるだろう」

「過保護だな、清住は。そんなんじゃいつまで経っても、後輩が育たないじゃないか」

 カラッと無責任に笑う京介に、清住はまたため息をつく。

「そうは言うが、先の事件のようなイレギュラー要素も考えられるんだ。慎重になれよ」

 眼鏡を上げながら、清住は言う。

「あれは特異なケースさ。パワーダストでもない思念が意志をもって暴走するなんて、そうそうあることじゃない。それに、実害は出ていないんだし、大丈夫さ」

 そういえば一ヶ月前に、パワーダストでも誰かの魔法でも、召喚獣でもない魔法物質が具現化し、さらに意志をもって暴れるという事件があったが、それはまた別の話。京介の言うように、そんな稀なケースがこの短期間に二度も起こることはまずない。

「それより、休憩にしよう。もらい物だけどね、糖菓堂のカステラがあるんだ」

 京介は言いながら、ワークデスクの四番目、大型書類やファイル用の背の高い引き出しを開け、長細い箱を取り出した。重要書類から文房具、ゲーム雑誌はもちろんのこと、お菓子や缶詰、マグカップまで出てくる不思議な引き出しは、透湖や清住にとっても一種のミステリーである。異次元ポケットなのか?という仮説を結構本気で透湖は考えていたりする。

「透湖ちゃん、お茶入れてくれるかい?」

「そのカステラ、賞味期限は大丈夫なんでしょうね」

 透湖が訊くと、

「うん、二日前に切れたばかりだから、大丈夫だよ」

 透湖はため息をつきながら、お茶の準備をし始めた。


 嵐龍館の夜は静かである。

 門が閉まる午後八時を過ぎると昼の賑やかさは二割ほどに減り、寮の門限である午後十時を回るころには、静寂と言っていいほどの沈黙を見せることもある。特に図書館のある旧敷地の近辺は、外灯の少なさも合間って、不気味なほどに暗く、静まり返るのだ。

 図書館前の中庭は、レンガ模様の広場になっていて、噴水まである。ライトアップされる文化祭や音楽祭、クリスマスにはなんともロマンチックな素敵スポットになるのだが、薄ぼんやりとした外灯しかついていない今は、水の音さえ暗鬱な気分を誘う恐怖のポイントと言っても過言ではない。

 その絶賛の恐怖スポットに人影が二つ。南雲解と野中美兎のなかみうである。

 野中美兎もまた司書官隊の一人で、小柄で控え目で愛くるしく、名の通り『仔兎』のような女の子だというのは、解の主観を除いたとして、そう変動しない事実だろう。

 二人は噴水前のベンチに陣取り、周囲を警戒している、かと思いきや、その少年の顔には緊張、少女の顔には気まずさのようなものがはっきりと見て取れる。

 それでも、やはり何か話して空気を和ませておきたいと考えた少年は、不器用ながらも会話の切込みを入れる。

「野中、寒くないか?」

「う、うん、大丈夫」

 会話終了。

 撃沈だ。

 何を隠そう、南雲解は野中美兎が好きである。

 彼は「図書館」にも、「司書官隊」にも、特に興味はない。ただ、人よりも少しだけ、魔術の才能があった。それだけだ。それだけの彼が、エリート選抜試験を受けて、待遇は良いにしろ、時には命の危険すらある司書官隊に入ったのは、九割方、野中美兎が理由である。

 入学したての頃から、解は美兎が好きだった。

 一目惚れだった。

 童顔ながらも愛らしくて、小っちゃくて、どことなく保護欲をそそる、それでいて何か強い意志のようなものを垣間見ることもある。

 一度も話したことがないのに、そこまでわかるほど見詰めていた解は、一歩間違えば、立派なストーカーである。

 しかし、そう彼を責めてはいけない。

 こと恋愛に対しては奥手なシャイボーイである少年が、クラスも部活も委員会も、まったくと言っていいほど接点のない少女に一目惚れしたのだ。

 遠くから見詰める以外、何が出来ようか。

 そんな状況を打開すべく、彼は風の噂で耳にした「野中美兎は司書官隊の選抜試験を受ける」という情報に飛びついたのだ。

 その結果、解は美兎と同じく司書官隊に入れたものの、未だその仲を縮める行動には踏み切れていなかったりする。

「あ、そうだ。オレ、お茶持ってきたんだけど、飲む?」

 解の問いかけに、美兎は頷く。

 保温性の高い水筒から、熱々のお茶を紙コップに注ぐ。

「はい。熱いから気をつけてな」

「うん、ありがとう」

 美兎は受け取って、冷ましながら一口飲んだ。

「温かくて美味しい」

 ふわっと和らいだ表情に、解は見惚れてしまった。

「南雲君は、飲まないの?」

「あ、うん、オレも飲むよ」

 見惚れていたことを悟られまいと意識しすぎて、逆に不自然なカクカクした動きで自分用のお茶を注ぐ。そのままグビッと飲んで、

「うわっ熱ちちちちち!」

 案の定熱がる。

「だ、大丈夫?」

「ああ、平気平気」

 確実に口内は火傷状態だが、解は努めて平静を装った。

「南雲君て、気が利くんだね」

「え?」

「お茶の準備とか、そっちのそれ、毛布でしょ?それも二人分。準備がいいなって」

「そ、そうかな。備えあればなんとかっていうし、色々考えたら、必要な気がして。心配性なのかも」

 解が言うと、美兎は「そうなの?」と言って笑った。

「南雲君は、なんだと思う?」

「何が?」

「今回の事件。影がどうのっていうの」

 聞かれて、解はう~ん、と考える。正直な話、何の目的でここにいるのか、この時初めて思い出した。そうだ、自分たちは正体不明の影のなぞを解くため、張り込んでいるのだった。決して、美兎との親睦会ではない。

「よく分からないけど、普通のトラブルではないってことだよな。オレ達に回されるってことはさ。ま、単純に図書館付近での目撃が多いから、丸投げしたって可能性もあるけど」

 解が言うと、美兎は小さくため息をついた。

「ウチの学園って、図書館に関する話題には過敏よね。確かに魔道書や禁書の実物が保管されているから、警備を万全にするのは分かるけど。でも、どれも失われた魔術ロストマジックで、現代で使うことは不可能に近い。それなのに、なんでかなって」

 そう言われれば、そうだ。

 今回のように何らかの事件がおきると、念のため魔道書、禁書の封印を確認するが、そもそも現代と古代、はたまた中世とでは、魔法の素となるマナの性質が大きく異なるので、魔道書が復活する可能性は極めて低い。仮に封印が解かれ、復活したとしても、現代の微弱なマナでは本来の百分の一の力もでないことが多い。と、解も魔術の授業で聞いたことがある。

「もしかすると、隠し事があるのかもね」

「隠し事?」

「そう、もっと重大な、危険な秘密が……」

 と言いかけた時、解の目は動く何かに反応した。

「ちょ、あれ!」

 解は指をさして小声で叫ぶ。

「え?」

 驚きながら、美兎も指の先を見た。

「どこ?」

「ほら、あれだよ! 図書館の窓のこっち側!」

 解はそう言って立ち上がり、右手に左手を添えて狙いを定める。

「追撃する光のホーミング・レイ

 掛け声と共に、解の手のひらから青い稲妻のような光が打ち出される。

ごく初歩的な攻撃魔法。攻撃とは言っても、軽い打撃力と痺れ効果のある光球を打ち出す魔法で、それほどスピードもないが、追尾機能があるとこがなかなかに使いやすい。

青い光は速やかに影を追い、図書館の扉の前で見事命中した。

「やったか?」

 当たったようには見えた。しかし、どうだろうか。

「まって」

 解が確認しようと、図書館の扉の前に向かおうとすると、美兎が袖を引っ張ってそれを制した。

「どうしたの?早く捕まえないと」

 そう言って、美兎の方をみると、彼女はとても困惑したような、解せないといった表情で解を見ていた。

「どこにもいないよ?」

「え? いないって……」

 解が扉の方を見ると、確かにもう、そこには何もいなかった。

「どこ行ったんだ、アレ」

 キョロキョロと見渡す解の袖を、もう一度、美兎は引っ張った。

「いないよ、南雲君」

「逃げたんだよ。いやもしかすると、図書館の中か」

「違うの。いないの。最初から、私、見えなかったもん」

 その言葉を聞いて、解は固まった。

 美兎が見逃したのだろうか。

 いや、自分があの影を目で追っていた時、見失う前に、美兎も同じ方角を見ていたはず。それならば、彼女の視界にも必ず入っていなくてはおかしい。

「見えなかった?」

 改めて、解は尋ねた。

「うん」

「気配は? 見えなくても影の気配は感じただろ?」

「分からないけど、私たち以外には感じなかったよ?」

 確かにそうだ。

 対人、対魔法生物、対魔法の訓練は、充分にしている。戸村さんや隊長、妃院先輩ほどではないにしろ、自分だって気配には敏感なはずだ、と解は思う。だが、よく考えてみろ。先ほど影を目視した時、その気配を感じただろうか?

 否――。

 感じていなかったのだ。

 だから『追撃する光のホーミング・レイ』を放った後、手ごたえを感じなった。もっと正確に言うと、そもそも気配を感じていなかったから気配の変化を感じられず、つまりは当たったかどうかさえ分からなかったのである。

 念を押すのであれば、感知能力に長けている美兎が気配を感じない時点で、おそらく実在していないか、何らかのトリックで気配を消しているのだ。

 そこで、解はふと、閃いた。

「野中、悪いけど、今すぐ隊長と妃院先輩に連絡を。一応図書館内のセキュリティの確認をしてもらって」

 落ち着いた口調で解は言った。

「それと、終わったらオレを包囲結界で括ってくれ」

 すでに携帯電話で報告をしようとしていた美兎が止まって、解のほうを見詰めた。

「それって、どういうこと?」

「いや、まずはオレを包囲結界で括るのが先だな。逃げられると困る」

 美兎は、まだ状況が飲み込めていないらしく、オロオロとしながら解を見ていた。

「早く!」

 急かされて、美兎は仕方なく解とその周辺三メートル四方を結界で囲んだ。

「サンキュ。じゃあ、よろしく頼む」

 少しおどおどとしていた美兎に解は優しく言った。

 美兎は頷き、先ほどから手にしていたスマートフォンで透湖の番号を鳴らす。

 と、その瞬間、どこからともなく、大きな人影が美兎の前に現われた。

「きゃっ!」

 突然のことに驚く美兎。しかし、怯えた表情は直後に安堵に変わった。

「やあ、こんばんは。ご苦労だったね、解くん、みゅーちゃん」

美兎の目の前でにやりと余裕の笑みを浮かべていたのは、夏八木京介だった。彼は美兎の携帯を取り上げると、ぽちっとコール終了ボタンを押して、再び持ち主に返す。

「あの、隊長。その、今、南雲君が!」

 支離滅裂に説明を始める美兎を「まぁまぁ、落ち着いて」と制し、解に向き直る。

「ほう。結界で括ったか。良い判断だ、解くん」

「隊長、どうしてここに?」

「ははは、夜風が俺を呼んだのさ」

 びしっと親指を立てて京介は爽やかに言う。

 静まり返る一同。

 真夜中でもハイテンションな男にそれ相応のリアクションを取れる心理的余裕のある者は、この場においては一人もいなかった。

 京介は「おっほん」とわざとらしい咳払いをして場を改める。

「決まっているじゃないか。かわいい後輩が夜中に張り込みをしているのが心配で心配で、居ても立ってもいられなくてね。様子を見に来たってわけさ」

 相変わらず、本当か嘘かさっぱり分からない表情で言う京介。

「ああ、ちなみに、先ほどみゅーちゃんが電話しようとしていた相手も、近くで見ているはずだよ?ま、俺が先に出てきちゃったから、出るタイミングを失って、今頃どうしたものかと物陰で機会を窺っている最中だとは思うがね」

 そう言い放つと、中庭の花壇の奥が、ガサガサと揺れた。

「悪ぅございましたね。ええ、その通りですよ、今まさに私がいざ行かんとした瞬間に一足早くしゃしゃり出たものですから、もうこのまま帰ろうかと思っていたところです」

 言い訳めいた愚痴を言いながら、透湖が現われた。

「ほらね」

「妃院先輩まで来てたんですか?」

 驚く解。

「そんな、全然気配はしなかったのに。お二人とも流石です」

 美兎は純粋な尊敬の眼差しを向ける。

「あ、隊長、それよりも……」

 やっと本題を思い出した解が、京介に話しかける。

「そうだったね。今回は俺よりも先に、解くんが気付いたみたいだ」

「どういうことですか?」

 美兎が本当に分からない様子で京介に尋ねた。

「う~ん、その前に……透湖ちゃん」

「はい」

 呼ばれた透湖は頷くと、何やら小声で呪文を唱える。左手の人差し指と中指の二本を立てて、息を吹きかける。

「解呪(ディスエンチャント)」

 解の周囲でバチンッと小さく火花が散った。

「はい、これでどう? 解君。影の気配はもうしないはずだけど」

 透湖は言った。

「あ、本当だ。やっぱり、オレ自身に掛かっていたんですね」

 自分の体を見ながら、感覚を確認する解。

 美兎はまだ、説明を待つような目で京介たちを見ている。

「今回の件の『影』というのはね、実在しないものなんだ。実在しないから、追い詰めても逃げられる。攻撃も当たったように見えて手ごたえがない。実在しないから調べようもなく、確かめようもない。影の正体は、幻覚さ」

 スラスラと胡散臭い口調で言うが、これが京介のしゃべり方である。

「幻覚、ですか?」

 美兎はポカンとした表情で聞き返す。

「もちろん、普通の幻覚とはプロセスが違うんですけどね。おそらく、この影は、影を追おうとする段階で、自動でかけられる魔法、あるいは呪いの様なものです。しかも、中庭を中心として、図書館前までの間でのみ、幻覚を見せる呪い。ただ解せないのは、そんな幻覚を見せるだけの呪いに何の意味があるのかというところです。もしかすると、このまま放って置くと、実害が出たりする時限式の何かなのでしょうか?」

 ほほ杖を付くように手の甲をあごに当てて、首を傾げる透湖。このポーズがこのまま酷く絵になるのは、言うまでもない。

「いや、それはないだろう」

 透湖の懸念を京介は真っ向から否定する。

「どうしてそう言い切れますか?」

「こんなしようもない効果の呪いなのに、この呪いには酷く繊細に作りこまれた跡がある。ちょっとやそっとじゃバレない様な仕組みも施してある。その術式と、精密さと、このくだらなさ。こんなことをするやつを俺は一人しか知らない」

「え?それって、まさか!」

 透湖の顔が一瞬にして強張った。

「そう、笠原(かさはら)鬨森(ときもり)さ」

 京介が口にすると、透湖の表情がさらに険しいものになった。一方、美兎と解は何の話か分かっていないようで、ぽかんとした顔をしている。

「なんで、どうしてあの男が」

 透湖は苦虫を噛み潰したような表情で言う。

「そうだね。色々考えられるけど、今回はきっと、警告だろうね。彼はあれで、結構フェアな性格だからね。だまし討ちみたいなことを避けるためのものだろうさ」

 京介はニヤリとながら言った。

「では、近いうちに何かあると?」

「おそらくね」

 透湖の方は見ずに答える京介。

「さて、とりあえずこの件は解決だ。報告は俺がしておくよ。解、みゅーちゃん、ご苦労だったね。君たちの今回の判断はベストなものだった。この調子で頼むよ」

 いつものようにへらへらと笑いながら、声を掛ける。

「そして、透湖ちゃん。深く気にしすぎないように。まだ宣戦布告すらされてない。今から神経すり減らしてたら、身が持たないって」

 以上、解散、と言って、京介は男子寮の方へと消えて行った。

「あの、解散、なんすか?」

 解の問いに、透湖は大きく溜息を付いた後、

「そうね。今日はありがとう。詳しい話は明日、図書館でするから」

 と言った。

「では、美兎さん。寮へ戻りましょう」

「え、あ、はい」

 楚々として歩き出す透湖に、美兎も付いていく。だが数歩歩いたところで振りかえり、美兎は解に手を振った。

「お、おう」

 全く聞こえないくらいの声でそう漏らすと、解も手を振り返す。

 今ひとつしっくりこないが、今回の件は解決、のようである。

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