第33話:多様な価値観と認識 ③

現在もコロナ渦の影響と物価上昇率の高止まりが影響し、小売店が軒並み閉店等に追い込まれている。


 しかし、大手企業は値上げをしたとしても結果として“過去最高”というワードが並ぶほど利益を上げている。


なぜなら、大手企業の場合はある程度のブランド力があるため、すぐには購買率が下がらないという安定した地盤と下請け業者等に製造を委託しているため、ある程度原価を上げたとしても直接的な影響がないということが言えるだろう。


そのうえ、収益が上がっている企業の多くは大企業もしくは上位中小企業であり、値上げ当初はある程度の収益減は想定しておかなくてはいけないが、ある程度周知されたのちに元の安定的な購買率に戻っていくという事も十分に考えられるため、そこまでの期間における収益減が経営に影響しないように最悪の事態を想定した原資調達や売上率の低い製品を製造休止等によるなど不採算商品等の製造コストの調整もしくは削減など少し調整するだけで企業収益が安定し、結果として良い方向に向かうことも少なくない。


 しかし、これらの状況を支えているのは中小企業であり、これらの企業が安定的に経営を維持出来る状態でないと安定的な取引が出来ないだけでなく、働いている人を“幸せにする”のではなく“不幸にする”という状況になりかねないのだ。


 特に日本の場合は大企業もしくは上位中小企業が元請けとして、中小企業が下請けとして1つの事業を行っていることも多く、これらのパワーバランスが崩れることや立場の上下で各企業が得られる利益や社会的信用が変わってくる事、これらによる労働環境や労働待遇の変化などある一定レベル以下の状態は時間をかけて改善する、改革するという意識を持たなくてはいけないのだが、日本においてはこの部分の“マネー・ローテーション・システム”がうまく意識付けされていないことで“同一労働同一賃金”という認識よりも“同一労働格差賃金”という意識の方が定着している事が多い。


 そのため、これらの問題を見ていくとある業務では“正社員は月30万円・契約社員/派遣社員は20万円・パート/アルバイトは10万円”のように個人の責任や業務量なども異なっている事からこれらの算定基準による価格差が出る事は問題ないのだが、基本方針がしっかりしていないもしくは基本方針が差別的な価値観に基づいて作成されている疑いがあるなど社会的な問題に加えて、組織的な問題も関係してくることで改善するにも組織全体の価値観を変えていくことや社員に対する相対評価の実施など雇用形態が異なっていたとしてもその社員は“自社に貢献している社員である”ということには変わりない。


 そして、その社員を失う事で企業の経営が成り立たなくなるのなら社員を大切にすることが大事だと思うのだが、きちんとケアが出来ている企業というのはかなり少ないような印象を受ける。


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人を傷つけることはなぜ起きるのか NOTTI @masa_notti

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