009. ちょっとしたメモ書き。

 「選択と集中」と「全域に分散」の妥当性について考えていたのだけど、結局の所はどっちも結果が変わらないのではないかと思った。


 まず時間軸を「見出した経験則が通用する時期」と「通用しなくなる時期」、「新たな経験則の時期」という風に分ける。安定(秩序)と混沌(無秩序)と考えてもOK。


 次に、条件を整理する。

 ・「新たな経験則の時期」についての情報は一切ない。(事前予測不能性)

である。


(ⅰ) 選択と集中の場合

 「選択と集中」とは、「見出した経験則が通用する時期」に人為的淘汰をさせるという事である。しかし「経験則が通用しなくなる時期」以降には、この特化は「単純に1つの選択肢を選んだだけ」となる。


(ⅱ) 全域に分散の場合

 「全域に分散」とは、「見出した経験則が通用する時期」に淘汰を防ぐよう働きかける事である。しかし「経験則が通用しなくなる時期」以降には、この保護は「単純に色んな種を保全しただけ」となる。


 さて、ここで「経験則が通用しなくなる時期」以降について考えてみる。この時に、(ⅰ)の場合は「選別した唯一の選択肢が滅ぶか滅ばないか」、(ⅱ)の場合は「全ての選択肢のうちどれが滅ぶか滅ばないか」を考える事になる。


 一見すると(ⅱ)の方が良いように見えるけれども、(ⅱ)の場合は結局「新たな経験則の時期」に淘汰が起こるので、総合的に見れば、

 (ⅰ) 選択圧による淘汰(種類減少) → 確率的生存

 (ⅱ) 確率的生存 → 選択圧による淘汰(種類減少)

という風に、結局同じなのではないかと私は考える。


 私はこれを「前安定期に淘汰 → カオス期の確率生存か、カオス期の確率生存 → 後安定期に淘汰か、の違いに過ぎない」とまとめた。


 (ⅰ)と(ⅱ)のメリデメをまとめるなら、

  (ⅰ): 経験則に基づく時期における繁栄。

     但し予測不能なカオスには弱い。

  (ⅱ): カオスに対するレジリエンス。

    但し平常時の繁栄は享受できない。

としか言い様がなくて、(ⅰ)と(ⅱ)のどちらが優れているかだなんて、このメリデメのどちらを重んじるかの思想対決にしかなり得ない。


 これは「恐竜が優れているか」を論じるようなもの。実にナンセンス。(ⅰ)の視点では「恐竜は中生代に空前の繁栄を遂げたから優れている」なんて言い方をするだろうし、(ⅱ)の視点では「恐竜は隕石で滅んだから劣っている」なんて言い方をすると思う。

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