006. 「ボクの進化論」の誤謬を糾す!
よくある言説として。「この世は弱肉強食、強い者が生き残る」「生存競争に敗れた奴は不要である」「勝者こそが、残った者こそが適応した者だ」
これらは全て誤りである。
ダーウィンは恐らく「適者生存」を言いたかったの(
004だったかな、カオスと非カオスの統合の部分で話した理論を活用する。
未だ私は数式的一般化に成功していないので具体例で述べると。
①この世にはr1、r2、r3という効率の種があるとする。
②ここでは後に詳述する理由につき、後安定期における効率をr1>r2>r3とする。
③前安定期に於いて、r1>r2>r3となる事実は知り得ないものとする。
004の話にも絡んでくるのだが、「選択と集中」戦略、「全域に分散」戦略の2つに分けて、どちらも一緒という事を示す。
「選択と集中」の場合、どれに集中するのかは分からないけれども、仮に後安定期に最高効率となるr1を無事選択する事に成功したとする。
この場合なら、「選択と集中」戦略が優れているのだろうか。
先に答えを言うと、否である。
インパクト(カオス的イベントの事)による、それぞれの種の死滅率を1/2 (予測のしようがないので1/2としている)を掛けると、話が変わってくるのである。
(ⅰ)「選択と集中」戦略の場合
種毎の効率はr1だけれども、生存・死滅率が1/2なので、r1を選ぶ確率を含めると
「将来性は r1 × 1/2 × 1/3」
と書く事ができる。
しかしこれはr2、r3についても言える話なので、最終的には、
「将来性は r1 × 1/2 × 1/3 + r2 × 1/2 × 1/3 + r3 × 1/2 × 1/3」
(ⅱ)「全域に分散」戦略の場合
種毎の効率はr1、r2、r3であり、これに分散したとする。
1/3ずつ分散すれば、とか個体数を考える事もあるが、この計算では敢えて
それぞれの将来性は「効率性×生存率」であり、生存率は1/2ずつであるので、
「将来性は r1×1/2 + r2 × 1/2 + r3 × 1/2」
と書く事ができる。
この数字だけ見れば、「選択と集中」戦略よりも「全域に分散」戦略の方が優れているように見えるだろう。「選択と集中」戦略に対して非難の声を浴びせる勢力の多くは、こうした点を注視している。
ここで、個体数の計算を入れてみよう。
(ⅰ)「選択と集中」戦略の場合
個体数は全て集中しているので「1」と考える。よって
「将来性は r1 × 1/2 × 1/3 × 1」
と書く事ができる。
同様にr2、r3の場合も考える事ができるので、最終的には
「将来性は r1 × 1/2 × 1/3 × 1 + r2 × 1/2 × 1/3 × 1 + r3 × 1/2 × 1/3 × 1」
(ⅱ)「全域に分散」戦略の場合
個体数は1/3ずつ (※選びようがない = 前安定期には効率順を知らず区別し得ない)に分散したと仮定すると、
「将来性は r1 × 1/2 ×1/3 + r2 × 1/2 × 1/3 + r3 × 1/2 × 1/3」
と書く事ができる。
ここで(ⅰ)と(ⅱ)を比較すると、等しい事が分かるだろう。
(ⅰ) = 効率 r1 × 生存率1/2 × 選ぶ確率1/3 × 個体数1
+ 効率r2 × 生存率1/2 × 選ぶ確率1/3 × 個体数1
+ 効率r3 × 生存率1/2 × 選ぶ確率1/3 × 個体数1
(ⅱ) = 効率r1 × 生存率1/2 ×個体数1/3
+ 効率r2 × 生存率1/2 × 個体数1/3
+ 効率r3 × 生存率1/2 × 個体数1/3
要は、「選択と集中」戦略では「選択する意味がない」、結局の所は前安定期に幾ら効率化を図ろうとも、インパクトが全ての法則をしっちゃかめっちゃかにして、後安定期には訳が分からなくなる。
だからこそ、前者での「選ぶ確率×個体数」= 後者での「分散度合い」となるのだ。
★ ☆ ★ ☆ ★
んで、本題は「選択と集中」戦略と「全域に分散」戦略の妥当性についてではない。
この考え方を用いて、「生存した個体が効率的」と言えるのかどうかを検証する。
どの戦略を採ろうとも、インパクト後の将来性が等しい事は示せた。
r1>r2>r3と設定したのには、実は理由がある。r2が元々の効率で、突然変異などでr1とr3という、優等種と劣等種が生まれたという仮定である。
安定期に於いて、効率の高い種は効率の低い種を駆逐する。この前提条件の下で議論を重ねる。
前提として、「全域に分散」戦略に於いて、前安定期からカオス期に掛けてはr1~r3が競争していない、もっと言えば「カオス期の直前になって変異が生じた」「インパクトにまるで対応するかのように変異した」と考えて貰って構わない。
対して「選択と集中」戦略に於いては、全てがr1~r3に変異した」と考えてほしい。繰り返すが、ここでは前安定期に優位だったものが、後安定期に優位であるとは限らないという事である。そのため「選択と集中」戦略の場合は「事前に淘汰された」という解釈でも全然構わない。
インパクト後に生き残るかどうかは、それぞれ「生存率1/2 ×個体数1」「生存率1/2 ×個体数1/3」である。ここで再度重要事項を確認する。
①r1は、r2とr3を淘汰する。
②r2は、r3を淘汰する。
但しこれらは生き残っていたら、の話ではある。
まず「選択と集中」戦略の場合は、全ての確率が1/3である。後安定期に競争は起きないので、全てが1/3である。敢えて書き出すならば、以下の6パターンになる。
①r1として生存 (r1)
②r1として全滅
③r2として生存 (r2)
④r2として全滅
⑤r3として生存 (r3)
⑥r3として全滅
生存する種は当然括弧内の通りである。
①~⑥の確率はそれぞれ等しく1/6なので、
「将来性は 1/6 × r1 + 1/6 × r2 + 1/6 × r3」
と書く事ができる。
次に「全域に分散」戦略の場合は、後安定期に競争淘汰が生じるので、以下の8パターンが生じる。
①r1~r3が全部生存 (r1)
②r1のみが死滅 (r2)
③r1、r2が死滅 (r3)
④r1~r3が全滅
⑤r2のみが死滅 (r1)
⑥r2、r3が死滅 (r1)
⑦r3のみが死滅 (r1)
⑧r1、r3が死滅 (r2)
この場合、①~⑧の確率はそれぞれ等しく1/8なので、
「将来性は 1/2 × r1 + 1/4 × r2 + 1/8 × r3」
と書く事ができる。
r1~r3を「後安定期に於ける効率性」とした場合には、「全域に分散」が優位となる。
さて、「選択と集中」と「全域に分散」ではどういうメリデメがあるのだろうか。
(ⅰ)「選択と集中」の場合
①前安定期に於いては強い。
②後安定期に於いては「全域に分散」に劣る。
(ⅱ)「全域に分散」の場合
①前安定期に於いては弱い。
②後安定期に於いては「選択と集中」に勝る。
結局の所、「選択と集中」と「全域に分散」の違いとは、
「淘汰→インパクト」か、「インパクト→淘汰」かの違いでしかない。
詰まる所、
★ ☆ ★ ☆ ★
2800文字が経過したが、これが「ボクのかんがえた進化論解釈」の誤謬を糾すとはどういう事であろうか。
【よくある進化論解釈】
・淘汰の中で生き延びたものは効率的。故に残存種は効率的である。
・この世は弱肉強食なので、強いものが生き残る。
・この世は適者生存なので、適応したものが生き残る。
第一の命題については、生き延びたからといって効率的ではないので、明らかに誤りである。この誤りは、常に安定期であるという前提を元にした、安定の誤謬である。
続いて第二の命題について。弱肉強食ではない。弱肉強食であれば、弱者は完全に淘汰されてしまう。しかしそうなれば強者は喰らうものが無くなり、結果的に全てが滅んでしまう。言わば全滅の誤謬である。
最後に第三の命題について。これは「正しい」が誤解を招き易い。適応は自発的な行為ではない。適応というのは「結果」に過ぎず、適応できるかどうかは確率でしかない。襲い来るカオスを事前予測できるのであれば、それはカオスではない。
……と、あたかも事実であるかのようにここでは書いているが、全ては各者のismに依りけりである。(最後の最後になんて事を言うんだ)
取り敢えず毎日連載は多分ここで終わる。しかし完結済は付けずに、以降もテキトーに思った事をツラツラと書いていこうと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます