ひかりの歩み

サツマイモ

第1話 はじまり

日本のとある高校で、ひとつ不思議な噂話がながれていた。


「ねえA組の子の噂…知ってる?」


「噂? なにそれしらない どんな噂なの?」


「んとね…その子、照井ひかりさんっていうんだけど…彼女……未来予知ができるんだって」





 東沢高等学校、1-A組の教室にて、俺こと宮下歩(みやした あゆむ)は椅子に座り、ぼんやりと机に積み上げれたノートの山を見ていた。


 さきほど帰りのHRも終わり、つい10分前までは人の声で溢れていた教室も今はあまり聞こえなくなっていた。


 そんな中、なぜ自分は教室に残っているのかというと、


「日直の仕事…めんどくさい」


 つい口からもれてしまう。


 今日は日直としてクラス全員分のノートを集めて、職員室までもっていかなければならないのだ。俺は机で積み上げれたノートを見ながら、ため息をつく。


 そんな時、


「そんな風にため息ばっかりついてると 幸せ逃げるぞ?」


 ふと顔を上げると、同じく日直の女子…照井ひかりさんが立っていた。


「あ……てるいさん…」


「さんはいらねえ。んじゃさっさともってくか」


 そういって俺の机に置いてあったノートの山から数冊を取り、歩き出す。


「ちょっと待って! なんでそれしか持ってないの⁉」


 彼女の持っているのは3,4冊のノートだけ。そんな彼女はこちらを振り返り、体をくねらせながら、


「えーだって私ー重くてこれ以上持てないんだもんー」


「数冊しか持ってない分際でなにいってんの⁉ せめてあと10冊は持ってよ!」


 彼女はちえーと言いながら、俺の机から再びノートを取っていった。


 ちえーじゃないよ。クラスが27人だとして、残り23冊を俺が持てと?と心の中でつっこんだみた。


 なんというか油断も隙も無い人。


 照井ひかりさん。少し眠たそうな垂れ目と男口調で話すのが特徴の女子。正確は明るく快活。クラス内でも陽キャの側に位置する人物。まあ平たく言うと自分とは正反対であり、こういった日直などの仕事がない限り、関わることのない人種でもある。


 ただ彼女はこうも言われている。


 ー未来を予知できる女だと


 だから俺も彼女に興味はあった。俺も自分の未来が知りたかったから。


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