第一章 - その十



                 その十


「……ダーリン……」

「マサキ様……」

「……ゆ、勇者殿……」

 ウッ、ウーン……ンッ? お俺は寝ていたのか、そんじゃあ、俺が見ていたのは夢? そうだよな、なにせ賢者のじいさんが最初低い声のようにうなっていているばかりで早く話をしてくれればと思っていたんだけど、なんかそれからなぜか俺自身その場で見ているような錯覚のような感覚になって、めっちゃリアルだったし、それに俺が分かるような言葉なんてこの賢者さんに言えるわけないし、不謹慎なことに話が始まれば寝てしまった俺をみんなは怒って起こしたのだろうな。

「マサキ様、話はまだ先があるのですが……」

 ほらやっぱり、そうだ。まだ話は始まったばかり、それなのになんで寝てんねん、て俺を起こしたんだ。

「マサキ様、天魔の女王ヴォーナと勇者キール様に四人の妖精様のお話の途中ではございますが、私どもの賢者様のご容態が……」

 エッ、なに? ヴォーナにキールと妖精たちって俺の夢に出てきたやつらじゃん……って、俺はいつ寝てしまったんだ?。

「賢者様の様態が、ってどうしたの?」

 目の前で俺を見る賢者のじいさんはなんだか辛そうに肩で息をしていて目も虚ろになっている感じだ。なにがあったんだろう、とそれを訊こうとしたら賢者の弟子のミールシュバッツが話し始めた。

「賢者様は日頃お使いになられない心伝想送しんでんそうそうの術でマサキ様に知ってもらいたことを伝えておりました。しかし、この世界の一般的ひとの寿命は平均として百歳なのですが、マサキ様、貴方の勇者のお姿を見たい、とただその思いのためにこれまで不摂生ふせっしょうなことは遠ざけ、一途いちずに貴方様にお逢いし自身の言葉を伝えたいという思いでおりましたが、ゆえに今日は賢者様は思いのほか無理をしてしまい、体に過重な負担をかけてしまい体は悲鳴をきたしてしまい、キール様と妖精様たちの物語はまだまだ途中なのですが、それはもう今日は駄目なようで、今日のところは賢者様を休めたいのですが、マサキ様、今日のところはすみません、また今度にしてもらえないでしょうか、それにマサキ様にいたってもここまで来た疲労もたまっているかと思います。ですから今日はもうお休みなられては、と思いますが、如何でしょうか」

 賢者のじいさんを見れば、本当に辛そうで見ている俺もなんだか責任めいた負を感じる。

 どうしていいのか分からず、とりあえず、賢者のじいさんには早めに休んでくれ、と言い、それから俺とメルはその場に残され少し気まずい空気が流れ、その雰囲気にのまれそうになった時にチビの妖精候補たちが現れた。

「オイ、メル様の勇者らしきダーリン野郎、何を勝手に傷心ずらしてんだよ。メル様は久しく目に見えたメージュ様を見ることが出来て感無量って感じでその頃の想いにひたっているんだ。オメーがメル様の大事なダーリンなら、少しは肩を引き寄せハグなんか、とかしねぇのかよ……この馬鹿ダーリン」

 そうか、あの夢のような出来事を見たのは俺だけじゃあなかったんだ? そうなんだ、メルも俺と同じようにあの場を見ていたんだ。それりゃ久々に目に映るメージュというメルの師を見るからには想いもひとしおなのだろうな。メルを見ると頬には涙がながれたあとがあって、目には涙が残っていて、まだ頬を濡らしそうだ。

「メル、なんだよ。妖精になる前のメージュの姿を見れてうれしいんじゃないのかよ」

「もう……ダーリンはなんにも知らないからそういう風にいえるのよ……」

 メルはそう言い、少し言いよどんだ後言葉を続けようとした時、ミールシュバッツが戻ってきて俺たちはここと違う大きな木をくり抜き塔にしたような建物に入ってゆき、階段をのぼりそこの天辺てっぺんへと案内された。通された部屋はバドミントン・コートの半分くらいの広さで、天井はなく、数々の星々がまたたき、その天井の端から見える木々の陰には月がこの部屋を薄暗く照らしている。それに、この部屋の大半はキングサイズのベッドが占めていて、なんだかちょっとやばい感じがする。この空気にほだされ俺がメルに何かして……嫌々、するはずはないと思うが、それでもなんかおかしいことをしでかしそうで、俺自身理性を保てていられるか心細い感じがするほど、この部屋はリア充の恋人たちが喜びそうな場所だ。隣を見ればメルが目をとろんとして表情は恍惚こうこつとした顔をしている。

「マサキ様、ここは薄暗いでしょうから、このホタルたちをのこしておきます。それとよくお休みになられるようヌチ水もおいておきますから、のどが渇いたときにお飲みになって下さい。これは酒ではないですが、誘眠作用があるのと体の異常を整えることの出来る飲みものです。疲れた体を今日はこの飲みものをお飲みになって、どうぞお休みなって下さい・・・・・・アッ、それと多分マサキ様の住む世界にはこのホタルというものはなく、初めてお目にかかるものだと思いますが、このホタルは私の飼っているもので、人の心情を感じとり光をつよめたり、眠りに就く頃には光を閉じ邪魔にはなりませんし、何かあって目を覚ました時にはその人の思考に合わせまた光を出します」

 そう言うと俺に手のひらを見せ、その手のひらには俺の知っている蛍とは違い、以上に大きいサイズはカブト虫くらはあるものを見せ、俺の顔を見て少し顔を緩め手のひらのホタルを宙に解放した。ホタルたちは三匹は各々壁へと向かい、そこに定着すると光を出したが、結構な光源でいたが、それほど目には刺激はなく、やさしく部屋を照らし出している。それを見て、ミールシュバッツは床に置いていたかごから布をはらいだし、その布を懐にしまい、飲みもの出し俺とメルに手渡し、静かに部屋を出て行った。

俺は手にあるものを鼻先に持ってきて匂いを嗅いでみた。水と言っていただけに匂いなどない。少しだけ口をつけてみると、やはり水だ。しかし、のど越しの余韻よいんに微かだが甘みを感じ旨い。メルを見ると、彼女はベッドに腰かけ、俺に早く自分の傍に来るようにとベットを手のひらで叩いている。俺はそれを無視して手元の飲みものを一気に飲んだ。メルはふくれた顔で俺を見ている。俺は美味しかった手もとのコップに目を移し眺めていると・・・・・・。

「ダーリン、それ美味しいわよね。まだ飲みたかったら、その籠に急須があるから、自分で注いでのんだら?」

 足元の籠をのぞいたら、メルの言ったとおり急須があって、それを俺はコップに注だ。

「フ~ン、なんで分かったの? 籠に水が入っているって?」

「なに言ってるのよ。私はこれでも水属性の妖精で、これから女神になるっていってるに、水の在りかを知らないなんて、おかしいでしょう?」

 俺は、半分くらい口含みながらメルにお前も飲むか? と急須の口を向けると、メルはやばいことを言い出した。

「私は飲まないわ。私の分もダーリンにあげる。気にしないで、私の分も美味しく頂いて……」

 そう言いながら、手元のコップを俺のほうに差し出した。やばい、こいつ寝ないつもりだ。ってことは、こいつ俺が寝たあと好き放題するつもりだ。

「そうか、それならそれはいらないな?」

 そう言い、俺はメルから水を奪うようにとり、シェリーにその水を携帯していたバッグから皮の皿を取り出し、コップから水を移し飲ませた。。

 それから数十分の無言の時間が流れ、俺の視野が暗くなったのを感じた。ウッ、やばい。俺の心を読み壁のホタルたちが明るさを絞り暗くしようとしていったんだ。ってことは、俺はもうすぐ寝るとこだったんだ。メルのほうを見ると、彼女はベッドに腰かけうつらうつらとし眠そうにしている。ただ、俺にはひとつ疑問があった。それはメルは俺が目を覚ました時、彼女はなぜか目に涙をため悲しそうな表情をしていた。妖精時代のメージュを見て懐かしそうになるはずが、なぜ?……なぜメルは悲しい表情を俺に見せていたのだろうか、それが今どうしても訊きたくてメルに声をかけた。

「ネエ、メル。ちょっと訊いてもいいかな? どうしてメルはメージュを見て悲しそうにしていたんだ」

「ええ、ダーリンには分からないかもしれないけど、メージュ様は今日見たあの戦いの後、メージュ様は女神となられ、そのあと、女神になられたのがいけなかったのか……メージュ様だけお命をおとされたの。それはもう酷い最後で、キール様を一生懸命にかばいながら、それを見ていたキール様はもういいから、とメージュ様を押しのけて立ちメージュ様の前に立ちはだかり、だけどそのキール様のわき腹に閃光をはしらせ、そのわき腹を貫通させたうえ、更にその光はメージュ様に致命的となるもので、メージュ様の体を貫き、それを見たキール様は駆け寄り涙をお流しになられメージュ様の名を何度も叫んでいたわ。そして、メージュ様はなにかキール様に言葉をかけながらもキール様の腕の中で霧のように消えていったわ。その光景を私や他の精霊たちと見ていたの……それに悲しみにくれる暇もなくキール様の背後からまた閃光がきらめいた瞬間、キール様の体に大きな穴を開け、キール様はそのまま絶命してしまったわ」

 そう言い、メルは寄りかかっていたベッドに顔を押しつけ俺に涙を見せたくないのか、肩をふるわせしくしくと泣いていた。

メルが泣きだし数分が過ぎ、俺はどういう風にメルに声をかければいいのか分からず彼女の背中を見ていたが、やはり不憫ふびんに振るえるメルの肩に手を触れようとしたその時、メルが俺のほうを向きだした。

「ダーリン、もう大丈夫よ。ほんとはこれまでたくさんメージュ様を思うたびに涙を流したから、もう大丈夫なはずよ。心配しないで……っね」

「ああ、そうなのか? これからまたメージュのことで悲しくなったら、いつでも俺は胸を貸してやるよ……まあ、俺の胸でよければな」

「ウッ、ウン、ダーリン、ありがとう。今日はとても優しいのね。ねえ、ダーリン、今日はダーリンのとなりで寝てもいい? とりあえず、今日はその胸を貸してもらえないかな」

「なに言ってんだよ。お前、俺が寝て、起きたらいつも俺の胸に顔をのっけて寝てるんだろうが」

「アッ、そうだったわね……なら仕方ないわね。ホラ、チィーにヒュー、それにキャラーにみんな出てきてー。あなたたち、さぞお腹空いたわよね? さぁ、お食事の時間よー」

 そう言われ、俺の胸ポケットから次々にチィーたち精霊が出てきて、俺の前で背中の羽を蜂みたいにブンブン唸らせてメルの声を待っているようだった。

「おう、メル様のダーリン野郎、久しぶりだな。今日もおめぇが寝たあとやっと食事の時間と思っていたが、思っていたより早くその時間になっちまった……よろしくな」

「だめよ、チィー、そんな乱暴な言葉をダーリン様に言ったりなんかしたら……わたしね、今日は前々から気になっていたとこからダーリン様の精気をいただくのよ。だからダーリン様には気持ちよくしていただかないと、美味しい精気をもらえないわよ」

「なんだよ、キャラー、その気になるとこって、おめぇ、この前もダーリン野郎のズボンの中に入ろうとしてメル様に怒られたんじゃないかよ。もしかして他にもあんのかそんなとこが、あんなら俺っちにも教えてくれよ」

「どうしようかな~。どうせならわたしひとりの秘密にして独り占めしちゃおうかな、って思っていたんだけ……そこはね。わたしたちの胸にはダーリン様のようにあのポッチとした突起がないじゃあない。だから多分たくさんの精気が、ってね」

「えっ、あのポッチってしたとこ? それならあたいはいつもそこからダーリンのものをいただいてんだけど?」

「エ、エェー、なんだよー、ヒュー、おめぇいつもダーリン野郎のそこからその精気を頂いていんのかよ……ってどうだよ。そこの精気の味は? もう元気バリバリって感じか? っていうか、おめぇそういやー最近まえよりの更に太った感じっていうか……って言うよりやっぱ太ったんじゃねぇ」

「エ、エエェー、いやだー、あたい太ってなんかないよー。チィーの目の錯覚だよ~……きっと」

「ねぇ、ヒューちゃん、ところで、ダーリン様のあそこのお味どうだった?……やはり芳醇ほうじゅんなものが口いっぱいにドパって感じ?……ってもうやだ、もう待ちきれないわ。わたし先に行っちゃう」

 そう言ってキャラーは、先に俺の首元を狙って一気に飛んできた。キャラーは、俺のシャツの首元から最短距離でお目当ての俺の乳首を目指すつもりだ。だが、それをメルが手のひらで阻止そしした。

「だめよ。キャラー、あなた、そんなよこしまな思いで私の大事なダーリンのものをいただこうなんて……そこは私だってまだ……って言うか、独り占めはダメ。だからみんな、あそこの壁に行って、そこに着いたら私が『いいわ』の合図をだすからそれを聞いたらスタートよ。いいわね?」

 それを聞いた瞬間、精霊たちはいっせいに壁に向かい、着くとなりメルの合図を待った。目はやはり俺の首元をやつらは狙っているようで、目がいつもの感じではない。

「ハイ、いいわよ」

 メルの合図を聞いた刹那、いっせいに飛んでく来るのは、やはり怖い。思わず俺は、体をけ、キャラーたちから逃げてしまった。ストップの効かない精霊たちは次々と俺の寄りかかっていたベッドに凄い音を立てながらベッドの中へとめり込んでいった。

「フンッ、いい気味よ。そこは今夜わたしのものだから……エッ、やだ~ダーリン、なにをそんな目でこっちを見てるのよ……ハイ、もうチィーたちー、もうダーリンからのお食事は終わりよ。出てきなさい」

 メルが言うと、チィーたち妖精がめり込んでいたベッドから不満たらたらで出てきた。

「なんですかー メル様、メル様がいい、って言ったから飛び込んでダーリン野郎の精気を吸い尽くしてメル様が今夜はもてあそべるように動けない状態にしてやろうと思っていたのに……」

「エッ、そうだったの? それならなんで早く私に教えてくれなかったの?……でもね、それはもいいわ。しかし、そのプラン頂くわ。でも今度ね。今夜はあなたたちあの窓の外が見えないの? あの窓の外にはあなたたちの好きな木々や花々が咲き誇っていって、あなたたちを待っているわ」

 それを聞いた瞬間、精霊たちの歓喜の声が響いた。

「なんだよー、オラッちの大好物があんなにたくさんあんじゃあねぇかよ~。そんじゃな、オラっちの大事なダーリン野郎、今夜は大事なメル様をやさしくしてあげなよ」

 そう言って、他の精霊たちと外へ飛んでゆく。だがひとりキャラーが俺の頬にキスしてきた。

「ダーリン様、名残惜しいです。ですが今夜はメル様にそこはお譲りいたしますわ……くれぐれもメル様にはジェントルマンとしてのやさしい手ほどきでのお誘いを、メル様はなにせそのようなことは初めてのこと……アッ、そうだわ。わたしがダーリン様とメル様の絶頂にいたすまでのわたくしめが今夜は……アッ、ガー」

 次の刹那、言葉の途中にメルが「あなたが一番邪魔よ」と言い、指で外へと弾き飛ばされてしまった。

「さぁ、ダーリン、寝る? もう寝る? ねぇ、寝るわよね?」

「ああ、寝るけど、メルは先に寝ていてくれないか? 俺はもう少ししてから寝るから」

「ウ~ン、もう早くきてね。私の傍に……」

 ああ~、なんだろう? 俺の貞操の危機が、男である俺がなんで? メルはリンに引けを取らない程のいい女だ、というのに……嫌々、これにはどうしても俺が男としてのケジメを果たさなくてならない宿命というものを背中に背負しょっているからで、メルが嫌いだということではなく……って、言うか、ここ数日メルと一緒にいてアイツの笑い顔とか見て確かにかわいいと思ったりもしたし、なによりメージュのことで悲しそうなアイツを見ていてほんとあの震えてた背中を抱きしめて少しでも軽くしてやりたいと思ったし、って、嫌々、まだまだ俺は騙されているのかも、アイツはチィーたちをけしかけて俺に痛いお思いをさせる算段をしていたちょっと性悪しょうわるなやつだということを忘れてはいけない。なにせ、サンドゴーレムたちとの戦いにおいてもアイツの悪魔的なとこも俺は覚えているし……でも、そういえばその後、メルとキスした時のアイツの唇、とても柔らくなにか甘いものを感じ、すごく気持ちよかったなぁ……って、俺はなんで今アイツののことばっか考えているんだ。

 何気に メルを見れば、アイツはベッドの上で横になり肩肘に顔を乗せ、左手で俺に早く来いと手招きしている。そんなアイツを見るとなぜか反抗したくなってくる。

「シェリー、俺はもうすぐ寝るから先にベッドに入っていて……」

 シェリーにそう言うと、シェリーは俺の言葉を理解したのか軽く返事してベッドに飛び乗りメルの傍に体を横たえた。

「ああぁ~、もう、くさい。もうシェリー、あなたすごく臭いんですけど……アッ、私はね、あなたが嫌いで言っているんじゃなくて、ここに来るまであなたがお風呂に入らず体をきれいにしてない、って言うか……」

 メルはシェリーに思わず言ったことを分かってもらおうと一生懸命に弁明の言葉を探してしまいには俺に助けを求めているのか、俺をチラチラ見ている。それにシェリーの方もメルの言ったことを分かっているのか、下をうつむいたままだった。俺は気に毒になったシェリーを呼び、頭をでながら顔を近づけると、メルの言ったように確かにくさい。今まで荒野に砂漠のようなところで野宿ばっかしていたからシェリーの傍で寝ていて気づかなかったけど、外で寝ていてもそこにはいつも風が吹いていたからシェリーの体臭は気にならなかったようだ。

俺は、のどが渇きコップに水をいれ飲んだ。そして、シェリーが落ち着いて眠れるようにと頭などを撫で、やがてシェリーはゆっくりと目を閉じ眠りにいた。やがて、俺もウトウトとして眠くなり気がつけば知らず知らずにメルの傍に俺は体を横たえていた。メルを見れば、彼女は寝ているのか、俺とは反対側を向いていて、どうやら寝ているようだった。

人の感情を感じとり光を調節するホタルの光がだんだんと暗くなってきたころ、俺も眠りに就こうとしたころメルが急に体を起こしだした。

やはり来た……俺はどうすればいいの分からず寝たふりをしてメルの動きを夜空の見える天井からす星明りに薄っすらと見えるメルを細めに開けた目でみていた。すると、彼女はおもむろに両の手で顔をおおいしくしくと泣きだしたようだ。俺は何も言わず、ただ俺も上半身をおこし、メルの両肩を引き寄せ彼女の顔を俺の胸に抱き込み、そのままふたりは横になった。

メルを引き寄せたのはいいが、俺はどうしていいのか分からず、ただ泣いている彼女の髪を撫で、早くメルの気が落ち着くのを待つしかなく、やがてメルは泣き疲れたのかそのまま眠りに落ちた。そして気を張っていた俺も誘われように眠りに就いた。

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ドラゴンズ・アンド・フェアリーズ 村上 雅 @miyabick23

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