22 玉座簒奪
どれだけ急いで
ただし、それが
決して忘れてはならないのは、最善手というのは敵からもよく見える物だと言う事である。自らにとっての最善とは、敵からすれば最悪だ。そして、仙山頭首である
自らにとっての最善手を組み立てた上で、更にそれを斜めにずらした策を
仙山が描いた策はこうである。
先ずは
そして『
ここに至るまでの
璋璞が
まず、この全体で蓬莱を出立し、
その後、三小隊となったもので保食を捕縛。次いで、蓬莱に反逆の意図ありと判断の上、
ここから先は、完全に璋璞の想定外だろう。
二小隊が
これで璋璞が瀛洲へ向かわぬはずがない。
こうして移送と救出の二つの任を発生させ、更なる隊の分散を避けられなくさせた。
璋璞は、ここで
南に抜けるのを待ったのは、
最後の一小隊を璋璞は自ら率いて
決して失えない
なお、蓬莱で二小隊を合流させると言う計画は、保食がこの一小隊を討つ事で
想定外だったのは、白浪が時を同じくして
そして、仮にも右将軍である
――それが保食であったから、という点を思考の
その後は、計画通りに天照の娘を大将軍の元へ送り込んでもらえればいい。
保食は、小さく溜息を吐いた。
実際、寒気がする程、事は順調に運んでいる。ここまでうまくいくものだとは思っていなかった。
策を練っていた麻硝の横顔が脳裏に浮かぶ。やはりあの男は恐ろしい。一体どんな神経をしてこの世を、人間を
そして、最初にその大筋の案を描いて見せた禁軍大将軍――
「本当に、恐ろしいくらいに順調ですね」
まるで保食の心を読んだように
「――
突然の保食の謝罪に、
「突然どうなさいました?」
「
文によって彼の自死を報らされた事、そしてそれを
保食は、ずっと、
――しかし、
「
保食は後頭部を殴られたような衝撃を覚えた。
「――いやまて、じゃああの
全身を血流が駆け巡る。あれは――あれもまた偽報だったのだ。誰かが
――一体誰が? 何のために?
「あの、大姉?」
心配げに保食の顔を覗き込んできた
「急ごう。――あたしの仕事は、まだ終わっていない」
保食の態度を
保食はぐっと唇を引き結んだ。
今は、誰が何の為にこんな偽報を
二騎は更に西へ西へと駆けた。やがてその進む道は深い渓谷を見下ろす山間部に入った。その険しい道のりを注意深く抜けると、やがて視界が大きく開ける。過ぎた山間部は、その壁の役割を果たすものだったのだと理解できる。
薄淡く白く光る、なだらか過ぎる程なだらかな
天の色は
はじめてここへ脚を踏み入れた訳ではない。しかし、この頂を仰ぎ見る度に、
だからこそ一刀の下に切り捨てた。もう二度とかつての日々に戻りたいなどと思わぬよう。その為に、敢えて自らの手で断ち切ったのだ。
保食は大きく息を吸い込み、吐いた。
ここに、現在の
軌を
しかし今回の事は完全なる偶発ではない。正しくは、仙山に協力体制をとっていた禁軍大将軍の手の者により、大本営の所在をさぐる白浪の動きが察知され、その報が
白浪が仙山を探り始めたのであれば在所への到達は早いだろう。であれば当初の計画通り、
しかし、これが実行に移されれば
仙山、瓊高臼の両陣営が
禁軍大将軍による、
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