18 四本貫手
白玉の『
「
「
「直ちに
ほんの一瞬――白浪が朝に
現在最短で事に当たれるのは、この貧弱な二小隊をおいて他ならない。鸞大将軍の判断を
本当に、何と言う事だろうか。
ここまでの
璋璞の憶えがある限り、否である。
二兵は、終始
中途の補給地点に待機している兵を動かしても、中隊までの編成が成るかどうか危うい。
頭を一つ振るうと、璋璞は顔を上げた。為すべきを為すしかなかった。
*
ふぅ、と
そうだな。これぐらい頑丈な作りの移送車なら、絶対に常人には突破できない。逃げられるはずがない。――常人ならば。
かつて
ゆっくりと眼を閉じ、三秒を数え、眼をあけた。
がきん、と
蓬莱まで戻っている時間も無駄だ。あちらはあちらで浩宇がなんとかしているはず。自分には自分の為すべき事がある。幸い
「よし、――やるか」
保食から禁軍が取り上げた武器類は、同じ移送車の前面、壁を
一息を吐くと、軽く腰を落とし、板と板の隙間に
その先にいた四頭馬を走らせる
馬の胴を脚に挟み上体を安定させ、左右に散る騎兵を
そこからは、ただ一方的な戦闘となった。馬の背に立ち上がり、跳躍した保食が全身を旋回させ兵達の頭部を、胴部を薙ぎ払ってゆく。地に足を着けた後の速攻は正に悪鬼の
正に地獄の様相だった。
せめて本来の騎兵中隊の規模があれば全滅は避けられずとも態勢の立て直しようがあったろうが、保食相手にたかが五十の小隊では
間もなく――二足で立つのは保食一人となった。
軽く周囲を見渡し、全兵を
馬は静かに保食の眼を見、軽くぶるると鼻を鳴らす。これは賢く落ち着いた馬だ。確信するともう一度その眼を見ながら鼻先を撫でた。と、懐に入れていたものの存在を思い出し、一つ取り出す。
それは
「今はこれだけなのよ。ごめんね、大本営にまで
ひらりと身軽く馬上へ上がると、保食は風防付の青い肩掛けで口元と鼻を覆い、手綱を引いた。
小隊はもう身動きできないだろう。追手が届く事もない。
ただ一つ、単騎だけが分かれた
「頼むわよ」
馬に声を掛けると、保食は
目指すは
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