17 「真」と「擬」
*
急に車が停まり、体が
手足の自由を奪われている保食は、そのままころりと横に倒れた。すっかり寝入ってしまっていた。お陰で、頭の中は
座面に転がったまま、薄目を開けてあたりの様子を探る。ざわざわと
――事が動いたな。
あふり、と
無表情のまま瞼を閉じて、外の声に耳を澄ます。
捉えたのは
保食は後ろ手に
だのに、なぜこの時に事が動くのか。
その意味を知った時、お前達ははじめて世界の数量という恐ろしき本質を目の当たりにする事になる。
お前達の
寿命が長いというのは本当に気の毒だと心底思う。自身が選び世界に組み上げたものが世界から拒絶されるところを、己が眼で直視しなければならないのだから。いっそ
「――不幸だな」
保食の口元に、にい、と酷薄な笑みが浮かんだ。
*
早馬を走らせて
「
「まさか! ありえん!
「白浪の
「いや、しかし……」
戦慄と共に、
まさかそんなはずはない。誤報か、もしくは虚偽なのではと
しかし状況は瞬く間に変わった。
新たに
その報せもって駆け付けたのは、
国土の監視に
つまり――
禁軍の大隊は、現在
白玉は『
『真名』が呼び戻せば、最悪奪取は
『環』の断切である。
これを
しかし、それは真実ではない。
その内、「
そして、それを保持しているのが、
この本物の一振りにしか、器の切り分けは出来ない。そして「真」の寶刀は、月桃に断りなく瓊高臼から持ち出す事が赦されない。
つまり白玉の切り分けは、必ず瓊高臼で行われるのだ。
「
が、今回
もう一振りの「
間違いなく、断切によって
璋璞の内腑がぎりぎりと痛んだ。
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